第10話『モテ期が来たと思ったら全部ゴリラだった件』
地獄の昇給試練、一発目の舞台は――魔界奥地・筋肉と汗が支配する未開の村。
そこに住まうは、“ガチムチゴリラ族”。
……いや、正式名称は“筋霊族”とかいうらしいけど、見た目は完全にゴリラ。しかも全員が筋肉フェチの武闘派集団で、道案内の看板が“この先・己の筋肉で切り開け”とか書いてある時点で既に帰りたくなっている。
「うぉぉぉぉぉおおおッ!! 我、求むは心の筋肉美ッ!!」
「おい見ろあれ! 入村式が腕相撲大会だぞ!? 通行証代わりに大胸筋見せてるぞ!?」
「……あ、あのヨシオ? 私、筋肉よりハーブティー派です……」
魔王軍の参謀(?)にして自称“おっとり癒し系サポーター”のリリィは、筋肉過多の村に足を踏み入れた瞬間から、全方位から投げられるタンパク質の圧力に目を回していた。
「ぐっ……ここが昇給チャレンジ一発目とは、絶望しかねぇ……」
そこへ現れたのが、ゴリラ族の村長――もとい、筋霊族の長である“ゴルド長老”。
「見ぬ顔だな……貴様ら、何の用で我が筋霊族の村へ?」
「えーと、我々は昇給のための試練を……あの、こういう冊子を持ってきまして」
ヨシオが取り出したのは、例の“地獄の昇給試練100選”の冊子。その中でも今回のターゲットは――
『試練13:ゴリラ族の“筋肉認定証”を手に入れよ』。
「なるほど……“筋認証”か。簡単には渡せぬぞ。我ら筋霊族は、筋肉の美と正義を何より重んじる」
「そっち方面の宗教!? っていうか俺の身体、ヒョロガリだぞ!? 完全に試練詰んでるじゃん!」
「安心しろ、外部の者には特例として“友情バトル方式”での認定がある」
「友情って言いながら殴ってくるやつじゃん!?」
案の定、ヨシオは半ば強制的に“筋霊族の若者・バルク”との腕相撲対決へと引きずり込まれることになった。
そして――
「ぐぬぬぬ……なんで、ゴリラ族の腕って皮膚の下に岩が入ってんだよぉぉぉぉ!!」
「ふふふふふ……筋肉とは心だッ!!」
だが、ヨシオは諦めなかった。
(俺には魔力も才能もねぇ……でも、唯一あるのは、“負けても立ち上がるしぶとさ”だ!)
何度も叩きつけられながら、それでも立ち上がるヨシオの姿に、村人たちの目が変わっていく。
「……あれが、本当の筋肉か」
「いや、筋肉じゃなくて根性ってやつじゃ……」
「違う。心の筋肉こそが真の筋肉! 見ろ、やつの胸に浮かぶ“諦めない”という名の精神大胸筋をッ!!」
こうして――
「認定しよう。貴様の筋肉は……真の筋肉だ」
筋霊族の村で、まさかの“筋肉認定証”をゲットした俺。
リリィは泣きながら拍手してくれた。
「ヨシオ、すっごく……筋肉でしたっ!!」
「ありがとう、でも多分三本くらい骨いってる」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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