表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ムーンデビル  作者: 神山
SEASON 1
2/3

DAY 2 不慮の事故

 雷は今日も出勤して、朝礼後の体操をしていた。今回も同僚が横に並びムーンデビルの話を始めた。

「昨日のムーンデビル凄かったなぁ」

「またそれかよ」

「強盗凝らしめたんだぜ?」

「知ってるよ、お前があまりに煩いからニュース見たよ。相手、瀕死の重症だったんだろ?普通に犯罪じゃないか」

「ヒーロー番組見たことないのかよ?」

「あれはテレビ!ここは現実!ああいうのはいつか自分達に牙を向けるよ」

 同僚はつまらなさそうに相づちをうった。話題を変えようと切り替えた。

「そーだ、愛莉ちゃんだっけ?娘の。いくつになった?」

「あ~高校2年生に最近なったから…16歳だな」

「もうそんなに育ったか!早いね~ 養うの大変だろ?」

「そうでもないさ、幸い反抗期はまだ来てないよ。俺に気を遣ってるかもな」

「奥さんのことか…」

 雷の年齢は36歳 顔は童顔寄りの短髪、娘と歩いていてもカップルに見えるくらいの顔立ちである。仕事柄肉体労働もあり身体は引き締まっていた。

 そんな雷にも愛していた、いや今も愛している女性がいる。名前は芽衣(めい)、雷と同い年であった。

 十数年前、雷と芽衣と愛莉で山へ遊びに行っときに、不慮の事故で亡くなった"ことになっている"。特に事件性もなく事故として片付けられている。


 仕事が終わった雷はスーパーに寄り、夕食の食材を買い家に帰った。愛莉と週替わりで食事当番をしている。この日は愛莉の帰りが遅かった。いつもなら夕食前後には帰るはず。ここ最近の様子も少し変わった気がする。見た目のこだわりが増えたような…。

 少しソワソワしながら、連絡をするが返信なく21時を回っていた。すると、玄関の開く音がした。雷は急いで玄関へ向かうと愛莉が靴を脱いでいた。

 愛莉は幼い顔で目は母親似のキリッとしている。髪は胸くらいの長さで、よく色んなヘアアレンジをしながら出掛ける。

「どこほっつき歩いてたんだ?」

「ちょっと友達と遊んでただけ」

「ならちゃんと返信するんだ、心配するだろ?」

「はいはいごめんねパパ」

「…」

 話し半分で流す所は雷とよく似ている。それは雷も実感しており、沁みたのか小さく小刻みに頷いた。

「夜ご飯は?」

「食べてきたから明日の朝食べる」

「お弁当箱だして、洗うから。その間に風呂入ってきな」

「はーい」

「適当な…誰に似たんだか」

 ブレザーを脱ぎながら夜のニュースを見ている愛莉に、早く風呂に行けと急かす雷。

「ムーンデビルってなんかカッコいいよね」

「愛莉もか…学校でも流行ってるのか?」

「まあね、特に男子には」 

「愛莉くらいの多感な時期に、こういうのは良い影響を与えない。興味持つな」

「でも、カッコよくない?」

「まさか…こういうのが好みなのか!?お、ちょ、待て!危険な男に付いていきたくなる気持ちは分からんでもないが、絶対ダメだぞ!」

「わーわー」

 愛莉は両耳をタップしながら、そそくさと風呂に逃げていった。

「パパは絶対許さんぞー!」

 愛人込めて育てた自分の娘を、こんな危険な奴のような者に取られるのと思うと、身震いして怒りが込み上げてくる気持ちで一杯になった。すると、またふらっと眠気に襲われる感覚に陥った。

「この時間になると眠気が…早寝過ぎるぞ…そんなにまだ年食ってないぞ?」


 風呂から出た愛莉は、髪を拭きながらキャミソールとパンツスタイルでリビングを歩いた。

「あれ?パパ?パパー?」

 先程までリビングで音がしていたような気がしたが、今はバラエティー番組の音しか聞こえない。

 愛莉は雷の部屋を覗くと、パジャマはベッドの上に乱雑に置かれていた。

「コンビニ行ったのかな?」

ありがとうございました。

雷の親バカのようなムーブは面白いですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ