第82章 勇者・リリネッドの新たなパーティ
勇者・リリネッドは現在、世界からよくわからない立場にいた。
魔帝王は勇者を探し、一部の国から抹殺を考えている者が現れ、また一部の国からは指名手配にされ、冒険者からは捕獲しようと企む者もいる。
ただ、勇者・リリネッドはその危機感を感じてなく、平然と旅をしていた。
現在の勇者の目的は『双方山にいる大妖精の復活』である。それを覚えているのかは、わからないがとりあえず、双方山に行くという目的だけで動いている可能性がある。
双方山には魔物よりモンスターが多くいる。果たして、勇者・リリネッドは安全に行く事が出来るのか。
いや、無理である・・・・。
そこはどこかのコンサートの舞台の上。
お客さんがいないその舞台の上には大きなソファの上に偉そうに座る、皮ジャンにブーツを履いた"神"。
「一応、言い訳を聞こうか…勇者・リリネッドよ」
土下座の格好をした感じのポーズに頭の上に足を置かれた状態で話をふられた。
「ち、違うんですよ」
「何がだ?」
「うっ…う、う~ん」
神は乗せている足をコンコンと頭を軽く叩く。
「だっ、だって~」
「ああ?」
勇者・リリネッド死んだ。死因は森の中を彷徨い奥へ奥へと歩いている時、足をつまずき、倒れた先が底なし沼だった。そのまま息が出来ず沈んだ。生き返るも沼の中のため、連続死。
神は呆れて頭に手を置く。
「前話があらすじで、新規の方がここからでも読めるよって感じでやって次開いたら、勇者が死んだ? 笑えないよ。急に神とか生き返る主人公とか、新規の人が置いてかれるだろうが」
リリネッドは何を言っているのか理解できなかったので黙っていた。
「もっと細かく書くこともできたがそんなもん誰も観ねぇ~だろう?」
「ごめんなさい、先ほどから何を言っているのですか?」
「お前の活躍を振り返りたいと思う俺様の使いの神見習い達の為の話だ? 何だと思ってんだ?」
「わ、わからないです」
「神候補のエンナムも、まだまだだからなぁ~。まあいい。話を戻そう。勇者よ」
「はい?」
「とりあえず、お前の体はどうにしておく、俺らはお前たちの世界に勧誘できないからな」
「俺ら?」
「気にするな。とにかく、戻れ。俺達もそんなに暇ではない」
●●●
リリネッドは目を覚ますと木の枝にぶら下がって逆様でいた。
手には剣が握られていた。
「よく、わからないけど、なんかあって、助かったんだぁ~」
リリネッドは足に絡まった枝を剣で斬って、くるっと回り着地する。
が、その下は底なし沼。
「うっええ!、やっちった」
となっても慌てずにただただ、じっーと沈んでいくのを感じていた。
「あ、そうか」
剣を真上に投げて柄頭の部分に魔力の紐を付けて引っ張られるように上に飛ぶ。上に飛んで剣を掴み真横に飛ばしてそのまま飛んで行く。
ある程度、移動して疲れたリリネッドはその辺に生えている草やキノコをムシャムシャと食べ始め、雨水の様な泥水を飲み食事を終わらせた。
「よし、行こうか」
と言いながら先ほどいた場所に歩き始めた。
「どっちの山だっけ? あの山ぁ~~だっけ?」
歩こうとした時、リリネッドの肩の上にひょっんと、猫の様な魔物の様なモンスターが乗った。
「勇者よ、貴様はバカなのか?」
「あ、猫?」
「久しぶり、魔帝界の十三ヶ騎士団・ザクタマ。覚えてる?」
「う、うん。オボエテルヨ」
「お前さんは、わかりやすい子だね」
肩に乗られたリリネッドは少し嫌な顔をする。
「おいおい、そんな顔をするなよ。ドラモンの事は水に流そうぜ」
「ごめん」
「だから、気にするな。とりあえず、後ろ振り返って上を見て前にある山の右を見て進め」
「あ、はい (こっちだったんだ~)」
●●●
リリネッドの後ろをずっと付いてきている二人がいた。
「やっぱりおもろいわ、勇者」
「アサノが言っていた通り、生き返った」
木の柱で隠れながら後追っていた、ユウ と アサノ。
「せやろ、奇跡的な感じで底なし沼から出て来た時は感動したね」
「肩に乗ってる魔物はペットかな?」
「どうやろうな、タイミングを見て話を掛けようか」
ユウとアサノが隠れながらリリネッドを付けていると、リボンがバッと走って行った。
「勇者様! 勇者さまぁ~!!」
リリネッドは振り返り足を止める。
リボンはリリネッドの前に片膝を付いて大きな声で言った。
「勇者様、不躾なお願いですが自分を旅のお供に加えてくれませんか!!」
「え、いy」
「お願いっス!!」
物凄い圧によってリリネッドは断れず、okを出した。
「ありがとうございます」
「気にしないで」
「(コイツ、一回断ろうとしたよな) にゃわ、ザクタマだ」
「猫が喋った!!」
二人と1匹の会話を隠れながら見ているユウとアサノ。
ユウはお腹空いたのか先ほどリリネッドを食べていたキノコを口に仕様とした時、アサノが止める。
「辞めておけき、死ぬで」
「え?」
「それ毒キノコやで」
ユウはすぐにキノコから手を離す。
「本当に? でも勇者は」
「せやから、おもろいって言うとんねん。口にしたらすぐにあの世生きのもんを食べても死ねへんなん、すごない?」
「それが勇者に選ばれたのかな?」
ユウは俯く。それをみてアサノはユウの服の下に手を突っ込んでくすぐる。
「ちっょっとぉぉおおお!!」
「そんな顔をするな 逃しはしないから…絶対にユウちゃんを勇者にしてみせるから。今の勇者を殺してでも」
アサノはユウを抱きしめ耳元にささやく様に言った。
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安全なルートを歩く、リリネッド、リボン、ザクタマ。の所に待ち合わせに遅れた友達の様になれなれしくアサノが手を振りながら、ユウの腕を引っ張り走って来た。
「おーーーい! 待ってや」
勇者は嫌な顔をする。リボンはきょとんとした表情でみる。
「ボクゥらも一緒に旅の仲間になりたいんやけどええかな? ええよね。 いや~懐が深くって助かるわ。ねぇ~ユウちゃん」
「いいの? 嫌だったら断ってもいいよ」
リリネッドはだいぶ考えたが、考えても面倒と思い「うん、いいよ。一緒に行こう」と言った。
「で、どこを目指して歩いてますの」
「なんだっけ…え~と…ああ、そうだ。思い出した、双方山にいる大妖精を解放しに行くんだった」
「「「「(大丈夫か、この勇者…)」」」」
「ボクゥ達は勇者のお供をしたいだけやから、気が済んだらぬけるさかい」
ユウは黙っている。
「自分は師匠のラグルさんが迎えに来るまで勇者といなさいと言われたので、それまで勇者といます」
「にゃわ、十三ヶ騎士団を倒してくれるまでだね」
それぞれの目的を話し歩き出す、新たな勇者のパーティ。
勇者・リリネッド、『天使の願い』『無限の命』『一定時間無力化』『影を使って疑似モンスターを作っれる』『世界最強万能型強烈甲賀剣』などを使うチート持ち。
魔法剣士・ユウ、『魔法と剣士の魔術』を使える冒険者。
遊び人・アサノ、『仲間の向上』を強くする職種の人。
武闘家・リボン『肉体強化』型の冒険者。
ザクタマ『十三ヶ騎士団』の猫の様な魔物?
4人と一匹は双方山にいる大妖精を解放しに歩き出した。
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リリネッドが入った森に怪しげな4人が入って来た。
「いいか、アサノは俺達を裏切り、勇者に接触しているようだ」
「ポンピンの霊術師はマジで使えるジャン」
「マジでマジかマジマジ、ニョロリンコはどうしたい?」
グラサンをクイッと上げる、ニョロリンコと言われている男は3人の前に立ち、森を見る。
「兎に角、アサノもケジメを付けさせる。勇者も捕らえる。『両方』こなすのがカリスマだろう」
ニョロリンコチームも森に入って行った。




