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勇者を利用する者たちの冒険  作者: とり飼ジン
双方山の冒険篇
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第80章 クロウは何しに魔帝界へ?


 リリネッドが機関車に乗っている時に、クロウはオルガの部屋から抜け出していた。

「いつまでも俺がガキと遊んでいると思うなよ」


 チバロ、エレピは逆に縛られている。

移動するクロウはそこそこ城内で歩く魔帝界に鉢合ないようにこそこそと隠れながら進むと目の前からメイド服を着た少女3名が荷物を持って歩いてきた。

一人は長髪の真面目そうな表情で二人目はツリ目の短髪、3人目は三つ編みで眼鏡を掛けた少女である。


「早く持って行かない、ルギアラ様に怒られてしまうフォー」

「大丈夫だってルギアラ様、アタシらに怒らねぇ~ってんだい」

「それはそうだお」


クロウは天井に張り付きながら3人が行くのを待つ。

「そういえばフォー?」

「なに?」

「また変な話でもしいれてだお」

「変じゃないフォー、ちゃんとした話フォー」

「なんだってんだい」


 クロウは3人の話を最後まで聞くのが堪えられなくなり移動する。

「(変な語尾でしゃべるな! 頭が痛くなる)」


 城の外に出て周りに誰もいないことを確認して走り出す。

「全く、ここの幹部はロリコンか? 傍に置いてある相手がほぼロリってヤバい組織だった」



 城の中庭みたいな場所から外へと出て行こうとしているところ大きな魔物が目の前に出てくる。

クロウは舌打ちをしながら魔術を使って魔物を軽々と倒す。

「邪魔だ、雑魚が」


 城を囲む柵をジャンプで乗り越えようよ構えた瞬間、エネルギー砲がクロウの足元に撃ち込まれる。

飛んできた場所を見るとそこには魔帝王の幹部のヴォワゴレレがテラスの屋根の上にアイマスクを付けて寝転んでいた。

「おやおや、どこかで見たような?」

「気のせいだ」

「ふ~ん」


 そこにオルガが走ってきて叫ぶ。

「コイツに手出すな、ヴォワゴレレ!!」


 ヴォワゴレレはアイマスクをクイッと上げてオルガを見る。

「オルガん、どうしたの? そんな奴を助ける気かい?」

「違ぇ~よ。コイツは俺の獲物だ」

「獲物? つまりここにいる事をわかったうえで泳がせていたって事? ここが簡単に入ってこれないって知ってるよね? オルガん、もしかしてなんか変なこと考えてない?」

「くっう!!」


 口を閉ざすオルガにクロウがボソッとしゃべる。

「おい、言い返せよ」

「黙ってろ!」

「中がよさそうだねぇ、お二人さん。眠らせたろうかあ?」

「いらねぇ~逆に添い寝してやろうか?」

 クロウはイキッて言った。


 ヴォワゴレレは寝転びながら腕を上にあげてクイッとすると大きな魔物が2体現れ、クロウに向かって来たので両手に魔法陣を張って攻撃の体制で立ち向かう。


「何をしている?」


と2体のも魔物がビリビリ動けなくなった。声の人物は冷たい目で魔物を見つめる。

「いやいや、ルギアラちゃん、驚かせないでよ~内の可愛い子たちを」

「お前の子供ならもう少し教育が必要なのでは?」


 魔帝王幹部のルギアラが立っていていつの間にか抜いていた剣を鞘に押さめる。

と同時に魔物が2体斬られて消えた。

「おいおい、せっかくの私の魔物が」

「俺の前に出したお前が悪い」


とルギアラは振り返るとそこにはクロウがいた。

「なぜ、ここに勇者の仲間が?」

「「今かよ」」

「消す!」


 ルギアラが剣を抜いてクロウに斬撃を飛ばすもそれをオルガを防ぐ。

「どいうつもりだ」

「だから、俺の相手だって言ってんだよ」

「斬るぞ」

「ぶん殴るぞ」


 クロウはそのうちに逃げようと動く、その行動を見てオルガとルギアラは動く。

柵を上から通りすぎた時に目の前に魔帝王、幹部のステンバーがそれを止めた。

「3人もいて何をしている」

「!?」


クロウは元場所に戻る。

「まさか!?」


オルガ、ルギアラ、ヴォワゴレレ、ステンバー、幹部が全員そろった。

「おい、お前らコイツはオレがどうにかするから手を出すなってなんかいえばいィーーんんだああぁぁぁあああああ!!!!」

「うるさいぞ、オルガ」

「全く、お前らは」

「いやいや、ステンバーが悪いよ」



 クロウはボソッと早口で詠唱呪文を唱えた。

「まあ~まあ~、俺の為に争うな、全員同時に相手してやるよ」


 4人の頭上から大きな細長い黒塊落ちて来た。

4人は素早く移動したが触手が伸びてそれぞれ捕まる。

「なんだこれはああ~~~よぉおお!!」


 オルガは自身の力の火で溶かそうとするも全く効果がなかった。

ヴォワゴレレはなすがままに大きな細長い黒塊に取り込まれた。

ステンバーも同様、なすすべがなく同じように取り込まれる。

ルギアラは毒の爪や風を起こす剣で引き剥がそうとするが離れないだけではなく攻撃を与えるたびにどんどん取り込まれて行く。


「上級魔法の一つ『塔の方が安全(タワー・オブ・グレー)』。これに取り込まれた者は魔力を完全になくなるまで出る事が出来ない魔術だ。触手は自身の魔力と同じぐらいの強度となる。攻撃すればその分自分に帰ってくるってやつよ。取り込んで、取り込んで、取り込んじゃって」


と独り言全開でしゃべていると『塔の方が安全(タワー・オブ・グレー)』が少しつづ膨張し始めそのまま破裂した。

「ま、まさか…。」


 クロウがアホずらした顔で見ていると4人が平然と出て来た。


ヴォワゴレレは自身で作り出した異様な形の獣の魔物の口の中か滑りながら出て来た。


ルギアラは背中に大きな左翼を生やし、手には弓矢をもって。


オルガは炎の仮面とマフラーを靡かせて。


ステンバーは特に変わった様子はないが剣を鞘に納めた。


 4人は先ほどより魔力もエネルギーも群を抜いて上がっていた。

クロウの体に印が刻まれ始めた。

「(やっぱ、解説アリは死亡フラグだな) さて、どうしたものか?」


4人は一斉にクロウに向かって行く、クロウも一気に魔力を上げて行こうとしたその時、ザイリュウが戻ってきた。


「お前ら、何してんだ?」


 オルガ、ルギアラ、ヴォワゴレレ、そしてクロウがその声の方へ見た隙に、ステンバーがクロウを掴んでその場から消える。


「なんだ? 挨拶無視かよ。で、何してんだ…お前ら」


 ザイリュウは最後だけ威嚇していった。

「ザイリュウさん」

「オルガ、説明」

「い、いや~」


とルギアラ達の方を見るもすでに消えていた。

「あ、アイツら!!」

「オルガ」

「は、はい」

「俺抜きで面白そうなことしていたのか?」

「は、ははは」


オルガは笑ってごまかそうとしたが無理だった。



 ●●●



 ステンバーはクロウを魔力封じる首輪をつけて牢屋に入れた。

「てめぇ~ここは?」

「俺の国だ」

「お前の国だぁ?」

「おとなしくしてろ」


ステンバーはその場を去る。

「まった、閉じ込められるのかよ。でどこの国だよ、ここはよ~!!」


と癇癪を起していると同じそ牢屋に入っている人物が口を開く。

「ここ()()()()()だ」

「びっくりした誰かいたのか…うん?、今なんて?」

「リンテン国だ。中央国の姉妹国のなぁ」


クロウは暗くて見えなかった良くその人物を見ると黒い翼を生やしていた。

「お前、まさか」

「ああ、俺は天空人だ。元だけどな」



壁際で寄りかかる男の黒い翼からヒラヒラと羽が地面に落ちる。


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