第78章 スモモ電鉄 ー緊急停止と王妃の巻ー
現在の列車の中は。
〈1号車〉
・屋根の上
・リリネッド(勇者)
・ヴァンゲンハイム
・ハーヴェイ(操縦者)
・シズ & ノビオ(冒険者パーティ)
・ユウ & アサノ(冒険者パーティ)
〈2号車〉
・クエービィ & バンバ(雇われボディーガード)
・カリン(???)
・他2名
〈3号車〉
・ポンピン、パンペ、ポリンシャン(勇者を狙う冒険者)
・モナナ(魔物)
〈4号車〉(天井全開)
・ラグル & リボン(冒険者パーティ)
・ショーヒダ & ライ(冒険者パーティ)
・スターンズ & タエコ(冒険者パーティ)
〈5号車〉
・屋根の上:ザイリュウ(魔帝王の側近)
・乗客数人(5号車の乗客もいる)
〈6号車〉(死体だらけ)
・乗客数人(5号車の乗客もいる)
〈7号車〉(半破損)
〈8号車〉
〈9号車〉(半破損)
〈貨物車1〉
〈貨物車2〉
機関車はミザール村が見えて来たのを気が付いたハーヴェイは機関室のいるもう一人に指示する。
「ブレーキを掛けろ!!」
機関車はよっくりと走り出して駅に着く少し前に停車した。
乗客以外のみんなが降りた。
ザイリュウはリリネッドをみる。
「お前だな…目が違う。この中では、お前だけが違う…。勇者かぁ…これが」
「だれ?」
「俺が気になるのかぁ」
「いや、そこまでは」
「面白れぇ~女だぁ~」
とそこでヴァンゲンハイムがザイリュウの前に出る。
「俺の女に何、やらしい目を向けてんの」
「なんだぁ~てめぇー? 人間じゃ~ないなぁ~。というか…」
ザイリュウは周りを見渡して言う。
「よくもまぁ~、こんなカオスな状態になっていたのかぁ~」
ザイリュウとヴァンゲンハイムが話していると、リリネッドの近くに冒険者達が集まる。
「貴方が勇者か、子供が?」
「で~も~こんな子に剣が抜けたのオカシクねぇ~」
「タエコ」
「だってぇ~、聖人のスターンズが抜けたいのおかしいじゃん」
「俺では無理で、この子にはできるってこの剣がそう決めたんじゃないのか?」
リリネッドは目を背ける。それを見てライは何か知っているかのように笑う。
「初めまして僕はライ、こっちの格好つけているのが僕の相棒のショーヒダ」
「どうも」
「ああ~どうも」
ラグルが近寄って言う。
「勇者さん、あっしらは、いざヤルぞって空気なったのに急に機関車が止まってしまってやる気がなくなりやしたので、あっちの奴、任せていいですか?」
「え・・・いいよ」
ラグルはその返答に笑顔で返して〈4号車〉の座席で眠らせているリボンを一瞬だけ見た後、冒険者たちを集める。
「みなさん、聞いてください」
ザイリュウとヴァンゲンハイムが話していると、ヴァンゲンハイムが魔術のチェーンで捕まりどこかに引っ張られていった。
ザイリュウが驚いている隙にリリネッドが剣を投げつけた。だが、ザイリュウは剣を掴んで攻撃を防いだ剣の重さで右手が地面に勢いよく下がる。
「重め!!」
リリネッドは手をかざして剣を操り、掴んでいるザイリュウを引きずりながらグルグルと回したり、上にあげて下に落下させて叩き付けたりとダメージを与えているがザイリュウはあくびをしながら小指で耳の掃除をしていた。
●●●
少し離れた場所でヴァンゲンハイムが縛られた状態で冒険者達に囲まれていた。
「おいおい、俺一人にこの大勢って。あっちの方が強いだろう」
「何を言ってんだい、アンタ」
「ああ?」
「あっしらはアイツからアンタを守ってんだい」
「はあ?」
「アンタ、冒険とかしたことがないだろう? アイツがアンタに殺気を向けていたのに気が付いてないどう。それにあっしと戦っている間はあんな殺気を向けてはいなかったんだ。だからアンタを守ってんだい」
「あの子を一人で戦わせる気かアンタら」
ラグルはヴァンゲンハイムに強く頑固たる信念の言葉で言う。
「あの人は勇者、いずれこの世界を救う人だ。それにあっしにはわかるんですよ。閉じてしまったこの目からでもわかるほど、最初に会ったころよりも格別に…強くなっている。この中にいる誰よりも強い。だから、任せたんですよ。(それに、あの敵さんは先ほどから…。)」
ラグルはリリネッドの方を感じ取りそっちの方向を見る。
他の冒険者たちもそれに合わせてみる。
●●●
と同じ時の〈2号車〉にいるカリンが外へと出る。
「危ないですよ! カリンお嬢様」
「何が危ないのですか! ほかの人たちが危機状況に王妃である私が動かなくって誰が動くのですか」
「貴方様は、この辺の国の者ではないんですよ!!」
「関係ありませんよ、ババンさん」
「バンバです」
「この機関車は国と国を繋ぐものならそこに乗りあわせた者が他国を救ってはいけないなんておかしいじゃ~ないですか、パパさん」
「バンバです、俺に未婚です」
「状況が知りたい」
カリンはラグル達がいる方へと走り出す。
●●●
丁度、同じ時〈3号車〉で気絶するモナナの後ろに引っかかっているポンピン、パンペ、ポリンシャンは話している。
「これ、今どうなってるジャン?」
「わかるわけねぇ~だろうが」
「マジでマジかマジマジ、止まってない?」
「兎に角、ここから脱出してあの胡散臭い男を見つけるぞ」
「でもよ~、ポンピン」
「なんだ?」
「この状況でどうやって脱出するジャン」
「知るか!! お前も考えろ!!」
「マジでマジかマジマジ、腹減った~」
「うっさい!!」
3人が騒ぐ中、モナナが目を覚ます。




