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第71章 機関車でゴー!!


 駅ロビー内はまだ建設中だが、食べ物屋、衣服などが売られていた。

「ここで住めるね、シンノスケ」

「そうですね」

「入国取り消されて間漬け状態になってしまえばええ」


 その二人の会話にツッコみを入れるアサノ。

「あれ糸目」


 リリネッドが指を差して言った。その指を払って話をする。

「これはこれは強そうな用心棒を連れとんなぁ」

「リリネッド、この人は」

「確か~アサリさん?」

「誰が友情と家族愛に溢れた主人公やあ。違う違う、アサノです」


 アサノが名乗ったあと次にシンノスケが言う。

「リリネッド、アサノの後ろにいる、首輪に鎖を付けて繋がれている人は誰ですか?」

「ユウちゃん? ユウくん? ユウだよ」

「そうでしたか、これはこれは内のがお世話になりまして」

「なんや、ユウの事は覚えとるかい」


ユウは思う。「なぜ誰もこの状況、気にしないのか」と。


 話は続きアサノがハキハキとした口調でわざとらしく問う。

「ところで、なんも変装せんと大丈夫なんか? 勇者」


ニコニコしていたシンノスケがキリっと目を変えてリリネッドの前に立つ。

「いやいや、遅いわ。今のボクゥが攻撃しとったら終わっとったで。安心したってや敵対行動はないから。ほんまやで」


 アサノの笑顔を見てシンノスケがリリネッドに言う。

「この人、何となくクロウに似てますね」

「そうなんだよね、特に胡散臭いこの笑顔」

「はい、この騙してますよって作り笑顔」

「聞こえとるで」


 話している時、ユウがアサノに話す。

「もういいでしょ、行こうよ」

「ユウちゃんは冷たい子やね。ほな先行くわ。ほなな」


 アサノは鎖を引っ張りながらユウを連れて先に車両にのった。

「そう言えば、駅員に会うんだっけ?」

「はい、先ほどのアサノという者が言っていたとおり僕たちはお尋ね者なので、偽名で入らないとダメなので」


 数分後、駅長のプハムが走りながら近づいできた。

「申し訳ございません、遅れました。なんせ初めてな事なので、いろいろ手続きが大変で。で、これが特別許可書です。えぇ~とこちらが『リサ』さんの許可書でこれが『ノビオ』さんのです。絶対に無くさないように。駅は全部で7駅があります。そこにいる私の兄弟に見せてください」

「「兄弟?」」

「はい、7人兄弟の5つ子なのですぐにわかりますよ。二人の兄と姉は最終駅とその一個前にいます」


 プハム(末っ子)にシンノスケはルート時間帯などを聞いた。

「今回が初めてお客さんを乗せるので何時かという具体的なものははっきりとは言えませんが5日6日は掛かるかと思います」

「結構時間かかるのですね」

「安全性などの確認も視野に入れてますので。それでルートはですね、一番最初に着くのは『()()()()()』、その次は『()()()()()』に着きます。この辺は荷物や乗客などを降ろしたり乗せたりするための止まります。その次が()()()()()()()()()()()()()の街に付き、レグブイ国の『フェクダ』街に着き、メラク村を着き、最後の終着駅がリンテン国の『ドゥーベ』街になります。予定や天候、などが上手くいけば5日6日という話なので、それだけ頭に入れといてください。 お二人の席は車両番号で1号車になります。特等席ですね。では私はやる事が有るので」


 そう言って、プハム(末っ子)は走って行ってしまった。

「とりあえず、僕は『ノビオ』と名乗りますね。どこにもいなそうな名前にしました。リリネッドのその名前でよかったんですよね?」

「うん、『リサ』で大丈夫だよ」


 二人はとりあえず、1号車に向かった。

それと同時刻に9号車に中央国の紋章をマントに張り付けている者が乗り込んだ。


その後も、一般の人や数人に冒険者などが乗り込んでいった。


「そうか、9号車までで、あとの2つが貨物車かあ~。もしも本当にこんな鉄の塊が上手くいったら誰でもいろんな国に簡単に侵入出来るってはるなあ」


ヴァンゲンハイムは役人たちに指示する。

「冒険者達でも一般客でもいい席をもらえ。俺の席はもう決まっている」


 そう言ってヴァンゲンハイムも車両に入って行った。


 その後に扉が閉まりそうな時に大きな声で「待ってぇ!!」と叫ぶ者。


「早く、入ってくださいよ、ラグルさん」

「待ってください、あっしは盲目でして」

「知ってるっスよ、早くしないと置いてかれますよ」

「大丈夫だよ、あっしの魔法が有れば」

「魔法じゃない移動魔法がいいんっスよ!!」

「年頃の子のはわからないなぁ~」


リボン、ラグルもギリギリ乗車してすぐに扉が閉まり、動き出した。



 ●●●


 <1号車>内にはお金がありそうな者達が座っていた。

ふわふわのソファにバーの様な所、トイレなどが備え付けられていた。

「どうやら、2号車までが特別席となっているようですがこの1号車がそれよりもランクが上の車両らしいですね」


とシンノスケが話していると、この車両の護衛の為に乗り込んだ冒険者が話しかけて来た。

「アンタ達金持ちに見えないが、不正乗車じゃ~ないだろうな?」

「ダメよそんな事、言ってわ。ごめんなさい。こう言う人なの。悪気はないの」


 少しムカッとしたシンノスケは特別許可書を見せた。

「僕達はちゃんと許可をもらって乗ってます」


その許可書を見て驚く二人。

「ど、どうしました?」

「いや、お前、『ノビオ』って言うんだな」

「あ、ああ。はい、そうですノビオです」

「マジか!!、いや~、偶然ってのはあるんだな」

「ん?」

「俺も()()()って言うんだ!」

「(マジで!!?) あ、あ~そうなんですか。偶然ですね」

「でも、お前、ノビオって言うより、シンノスケって顔してるな」

「どんな顔ですか?」


とノビオの仲間の女性も頷く。

「うん、シンノスケって顔してるわ」

「だから、どんな顔ですか?」

「じゃ~シンノスケでややこしくなるから」


とそのノリでリリネッドは乗っかり話を進めた。

「ちょっ、リリ…リサ。勝手なことを」

「面倒だし」

「意味ないじゃ~ないですか」


 二人が話している中で女性の方も名乗りだした。

「シンノスケと、リサちゃんね。私は()()。長旅になるからよろしく」

「よろしく」


 シンノスケは大きなため息としてソファに指定席に座る。

とそこにヴァンゲンハイムが現れた。

「いや~、お嬢ちゃん。また会ったね」

「あ!!」

「覚えててくれたんですね、うれしいよ」


ヴァンゲンハイムがリリネッドに触ろうと手を伸ばす手を払うシンノスケ。

「触るな!」

「まったぁ~邪魔するのかお前は」


二人が睨みあっていると、後方車両が爆発が起きた。

「なんだ!?」


その音でシンノスケが気を逸らした瞬間、ヴァンゲンハイムは拳を大きくしてシンノスケを車両の壁をぶち破るぐらいの勢いでそのまま吹き飛んで走る列車の飛ばされて降ろされた。

「シンノスケ!!」

「これでやっと邪魔がいなくなったね」


ヴァンゲンハイムがリリネッドに触れようとした時、男女パーティのノビオよシズがリリネッドを引き下げる。

「貴方、何者?」

「コイツにさわるんじゃ~ねぇ~よ。ロリコン野郎が!!」

「やれやれ、また邪魔ものが」



 ●●●



列車の勢いで飛ばされるシンノスケは飛ばされながら全車両をの中で騒ぎが起きているのを確認できた。

「一体何が起きているんだ!!」


列車に掴もうと手を伸ばした瞬間、車両の上に乗っていた、中央国の紋章をマントに張り付けている者がいて、その者に邪魔されて掴むことが出来ずそのまま完全に置いてかれてしまった。


 シンノスケはすぐに立ち上がるも遠ざかっていく列車を見る事しかできなかった。

それでもシンノスケが走り出そうとした時、肩を掴まれた。

シンノスケが振り向くとそこにはジミニーが立っていた。

「シンノスケ、お前は運がいいぞ」

「ジミニ―さん、もしかしてあの列車に追いつくことが…」

「いや、関係ない」

「は?」

「お前の命を戻すの忘れてた」

「!!」


 シンノスケは、リリネッドと離れてしまった。


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