第61章 誰も掴めなかったそれを彼女は掴んだ
凍り付いたナギは少しつづ、ヒビが入始めたが、猛スピードでナギの回りを氷の空間を作り出したクロウ。
ナギの近くで汗をかき苦しそうに倒れるクロウに近づくシンノスケ。
「本当に良かった、クロウが下の階で倒れていてくれて」
「好きで倒れていたわけじゃ~ねぇ~よ。それより」
「はい、このままでは危険ですよね」
氷の空間でも芯まで凍り付いたナギは少しつづと溶けて始める。
「この温度ではナギが溶けてしまいますよ」
クロウは悩みながら決断する。
「これしかないなら…」
「え?」
「俺が最後の魔力を使ってナギを最も冷える場所に移動する」
「それではクロウの命が!」
「いいんだ、ナギを助けるためだ」
とそこにボロボロの姿のユーリが現れた。
「話は聞いたよなら、僕も連れて行ってくれないか?」
「お前が?」
「話はあと早く移動しないと」
クロウはユーリを怪しんだが考えている場合ではないと思って移動魔法を自分とナギ、そしてユーリに掛けた。
「シンノスケ」
「はい、リリネッドは僕に任せてください」
「すまない」
「僕たちはパーティじゃないですか」
「ありがとう」
クロウ達は光の速度でいなくなった。
シンノスケは足元に落ちたナギの刀を見つけて拾い上げる。
●●●
リリネッドが最上階でウロチョロしていた。
リヴァナラの姿が無いのでどこかに隠れているかもしれないと思い、物陰や引き出しの中、ツボの中、玉座の後ろなどを見るもいなかった。
地震の様な揺れや、戦ている人たちの声が遠くから聞こえて感じてきていた。
「どうしよう、戻るかな」
リリネッドは階段の方へと向かおうと歩き出すその時に地面を突き破り、拳を突き上げながらリヴァナラが現れた。
「ジュワッ!!」
リヴァナラはスッと最上階の地面に着地してリリネッドの方を見る。
「待たせたねぇ」
「え? うん、まぁーまぁーかな」
「うんうん、これが今の勇者か…かなり顔は整っているねぇ。あぁ~別に前の勇者が整っていなかったって訳ではないよ」
「何も言ってないよ」
リヴァナラ満面の笑みでねっとりとした声で問いかけた。
「で、ヤル?」
戦闘をする構えをするリヴァナラ。
戦闘をする空気を感じ取っていなかったリリネッドはリヴァナラが出て来た穴の下を見る。
「下、すごいことになってる。みんな大丈夫かな?」
「おいおいおい、勇者さんよぉ~」
「ああ、ごめんなさい。なんでしょう?」
「ヤルかって話」
「ああ、うん、みんなの託されたから」
「そうなんだ~、誰かに背中を押されなければ前に進めないんだ~君は」
「否定はできない」
「いいね、弱い自分を認める所、前の勇者とは全然違う」
戦闘をする構えを辞めてリヴァナラ突っ立ている形にする。
リリネッドは剣を構えて油断しないようにリヴァナラから目を逸らさないようにしっかりと見つめている。そう、見つめていたはずなのにリリネッドの胸からリヴァナラの左腕が貫いて出て来た。
見つめていたリヴァナラはドロドロに溶けて消えていった。
リリネッドは喀血しながら振り向く。
「いやあ~」
リヴァナラ、右手を挙げて笑顔で言った。
リリネッドはそこで意識を失う。
「あれ?終わり、残念だなあ~、もっと楽しめると思ったのに」
突き破った左手を引き抜きリリネッドを足蹴りして離す。
「さて、下の方もささっと終わらせて、俺の国を再開するか」
リヴァナラがリリネッドが倒れる方から階段の方へと目を逸らした瞬間、リリネッドが剣でリヴァナラの心臓を突き破る。
「ほ~う、勇者は不死身かぁ~」
剣で貫かれながら突き破ったはずの胸は塞がっているのを確認するリヴァナラは真上に飛び上がり剣から体をスライドさせながら引き抜く。
「ふぅ~2回死んだな」
リヴァナラの体から光の煙が湧き上がる。
まるで魂が天に上るかのよう感じをとったリリネッド。
「へぇ~、驚かないのか…いや事前に聞いていたのかな?」
「王様、殺したの?」
「ああ、ここの国のねぇ」
「なんで?」
「面白いじゃん。もう死んでいる王様は称えているとか。それにもう何百年もだよ」
「ん!!」
「俺が次の王を決めて俺がその王になる。子供が居たらそいつを殺して俺がなる。それを続けていた」
「面白い? それ」
「やってみなよ、いろいろ試せて面白いよ」
「私は国の興味ないし」
「そう、じゃ~再開しようか殺し合いを」
リヴァナラはハッとリリネッドの目の前に現れて首を飛ばした。
だが、リヴァナラが瞬きと共にリリネッドは復活して剣でリヴァナラの首を飛ばす。
宙に飛びながらリヴァナラはしゃべる。
「戦闘は初めてかい? 全然だめだね勇者」
首がない体は別の人間の体へと変わりドロドロに溶けて消えた。
首だけのリヴァナラは体を生やして復活する。
「(さて、俺は後1642万回は死ねるとして、あの勇者はどれだけ死ねるかな?限界はあるのか?) 本当に楽しめる相手だ」
リヴァナラはサッとリリネッドの前に立つ、リリネッドはすぐに剣を構えて攻撃を繰り出そうとするも動きが遅く先にリヴァナラが反撃をした。
リリネッドの目を抉り左手を強く握り口に向かって拳を突きリリネッドはまた倒れる。
リヴァナラは瞬きをしないで見つめていたがまた一瞬にして復活して剣を口に貫かれていた。
「なあ!!」
リヴァナラはすぐに剣から離れながら両手を広げてリリネッドの顔を貫く。
そんな命を削る戦うが続いた。
●●●
リリネッドが目を覚ますとそこは何もない場所。いや、椅子が一つ。そこに女が座っている。
「これで7回目だ。なんども言うのは嫌いなのだけどもまぁ~、一応」
女は女神。あきれた顔で、見下した顔で、ウンザリした顔で言う。
「勇者よ、死んでしまうとは何事だ?」
リリネッドはすぐに戻る。
●●●
リリネッドが目を覚ますと空の上、浮いていた。そこに一つの椅子に座る男。
「勇者よ、死んでしまうとは何事だ?」
男は神。愛想を尽かす顔で、嫌になる顔で、声にならない顔で言う。
「相手は10回、お前はもう30回だ」
リリネッドはすぐにもどる。
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女神は言う。
「おいおい」
リリネッドは。
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神は言う。
「すこし待て」
リリネッドは。
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女神は。
「もう待て」
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神は。
「おい」
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女神
「待ったく」
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神
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女神
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か
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め
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リリネッドが目覚めた時、そこは黒く薄暗い場所にいた。
『世界最強万能型強烈甲賀剣』の中の物と対話するために来ていた場所にいた。
黒い影はリリネッドを掴んで言う。
「死にすぎ、さすがに心配になる」
リリネッドは298回死んで、リヴァナラは61回死んだ。
圧倒的に戦闘力の違いで負けていた。
「でも、まだやれるよ」
リリネッドは真顔でそれを言い切った。
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女神の場所。
リリネッドが起き上がりまた行こうとしたので止めた。
「貴様、私をバカにしているのか、ここを通り道と勘違いしているのか」
リリネッドは話を聞かずに行く。
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神の場所。
神はリリネッドを拘束した。
「はなして」
「離さない、そして話を聞け」
「早くいかないと、早く終わらさないと」
「命を無駄にするなって言いたいところだが聞け」
リリネッドは神をみる。
「お前の前勇者、旧勇者というべきか…」
「なあ~にい」
「まあ~、最初に転生者について離さないといけないか…面倒だがいまは離さないといけないな」
神は話す、リリネッドは抜け出せないし戻れないので仕方がなく話を聞く。
神は話しだす、この世界は始まりをそしてそこに ” 転生者 ” の事を。
「魔帝王が現れたのは100年前の事は知っているか? 知らない!? 知らなわけがないはずだ。話しているはずだ。まあ~とりあえず、進めるとだ。魔帝王がこの世界を支配する前に怪物の王と呼ばれるバケモノがいた。そいつを倒す為に女神が勝手に別の世界の別の次元の人間を読んでこの世界に呼んだ。なぜ、この世界の奴からではないのかって? そんなもん知らん。まぁ~この世界の奴らにするといろいろと面倒だからだろうな。知らんけど。とりまあ~、別の世界の人間が産ませ変ったり、そのままこの世界に来ている物を転生や転移と呼ぶのだが転移はごく数名しかいない。それは気にするな。ちなみにユーリはオレが転移させた一人だ。それは気に知るな。話をつづけるぞ。怪物の王は1000年前以上君臨していた。その間はどれだけの転生したものがいるか。やっとこ倒したのが100年前ってなぁ、笑えるだろう? なんだよその顔は。いいから本題に入れだぁ? 仕方がねぇ~なぁ~。女神が読んだ転生者にはそれぞれ不思議な力を与えていたんだ。怪物の王を倒す為に、例えば『創造する力』や『魔力値自動回復』とかなぁ。だがそんな力を持っても倒せずに死んでいくんだ。ちゃんとレベル上げて知識や経験を積んでいかないといけないのになぁ~。そしてここからがやっと本題だ。お前が今、戦っている敵のリヴァナラは何人かの転生人を吸収しているんだ。 なんだよ敵の力もちゃんと聞いてないのか? なんでボス戦してるんだお前は…。みんなが勇者の力を使えば倒せるって? 全く…とりあえず、リヴァナラの力は吸収した奴の知識や技を使うことができる。そして吸収した奴の数だけアイツがライフにしている。そして吸収した奴にもなれる。つまり言いたい事は、お前は勝てないってことだこのままだとなあ」
神はリリネッドの近づき言う。
「せっかく俺様がお前に不死身を与えてやったのに。女神の企みを阻止するために…」
神が何かゴニョニョ言っている間にリリネッドは、戻る。
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女神は高笑いをする。
「神の奴が転生者の話をねぇ~…まあいい、勇者よ。私も暇ではないのだ。いい加減、あの愚か者を倒してくれ。無駄に死なせるために貴様に、不死身の力を与えたわけではないのだ。元々は別の奴を勇者にするつもりだったのに貴様が邪魔をしたのだ。私の計画を邪魔したのだ利用させてもらうわ」
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黒い影はリリネッドに言う。
「この剣を使う奴がこれ以上死ぬな。品が落ちる。さすがに持ち主を再生させる力があるとは言え、やりすぎ。」
リリネッドはすぐに戻ろうとした。
「待てってまず、『世界最強万能型強烈甲賀剣』でなぜ奴が倒せないのかとかの…オイ!!」
リリネッドはいなくなった。
「全く、変な奴が勇者になったぜ。本当は別に奴にするつもりだったのになんで…」
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場所は変わり、深海底国からさらに西にある氷の洞窟の地下にクロウとユーリそして凍り付くナギがいた。クロウとユーリは暖かい服を着てはいるがマイナス80℃ある場所では物足りなかったが状況から仕方がなかった。
ナギのヒビはユーリが修復していた。その間、うつ伏せで倒れながら話しだした。
「俺はリリネッドに『意思命緬疎通』を掛けた。俺の寿命を削る事でリリネッドのライフ増やす、禁術魔法。だが、俺、以外にもリリネッドに魔法掛けた奴がいた。複数の魔法が混ざり合って説明ができない魔術が出来上がってるんだ」
クロウは…。
「リリネッド。アイツは…何者なんだ。なんで…」
ユーリはクロウに問いかける。
「クロウ、君は神と女神にどっちについている? 知っているんだ。君が…」
クロウのユーリを目の端で一瞬観たが、今は脳裏にはリリネッドの事しか今は考えていなかった。




