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勇者を利用する者たちの冒険  作者: とり飼ジン
リヴァナラ篇 ~激戦開戦~
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第56章 変わりたい国、変えたい時代

 深海底国はリチャード・フィングス海の底で残った者達と連絡を終えてヒキトのいる場所に近寄る。

「下で残った者達と話し合った結果、この(いくさ)の結界でここで留まるか海に戻るという事になった」

「勇者が勝てばこのまま、負ければまた人間達と決別ということですね」

「100年以上前に決別したのは人間とは解り合えないと決めた私の父の気持ちもわからなくもない…それでも信じたいのだ。変りたいのだ、変えたいのだ…国を」

「王…」


二人は歩きながらそんな話をしていた。

そして二人は反逆者のルイバーが投獄された場所に着く。


俯き黙るルイバーは二人を一瞬見るもまた俯いた。

「ルイバー、君に話さないといけない話があるだ! 俺は…君の…」

「いい」

「え?」

「もういいんだ。どうでもいい」


 ヒキトは口を閉じた。


「この国は人間を受け入れる。それが国の方針になるのならどうでもいい。俺は変わらない。変らず人間を嫌い続ける。お前が何を伝えようとも説明しようともそれを聞いて好きになんてならない」


ルイバーは顔を上げて目を閉じ、続ける。


「だが全員じゃない。あの勇者は好きになってもいい。そう思った…リチャード・フィングス王よ、法律はちゃんと見直しとけよ。ルールを守らないのは人間だけじゃない。()()()()()()()()。嫌いだから目立つ。好きだと許してしまう。ちゃんとしとけ、俺みたいなものはまだまだ出てくる」


二人は黙って聞いていると隣の牢屋から海賊の冒険者のサイチェフ・ジェイドの笑い声が聞こえて来た。

「ギャハララァ!! どこの国も悩みは変わらないってことだな! 国と国は解り合えるけど国民は無理だ。100人いれば100通りの考え方があるっていいだろうがよくはならない」

「お前!!」


ヒキトがジェイドを見て怒鳴る。

「だがなぁ、そんな夢が本当に実現できるのであれば…俺は見て観たい」

「海賊のお前が?」

「それは差別発言だぞ」

「うっ…すまない」


とそこに慌てた様子の兵士が報告に来た。

「すみません、報告が!!」

「どうした?」

「魔帝の幹部が乗り込んできました!!」

「「「「!!?」」」」




 ●●●




リヴァナラは次はズボンのポケットに手を入れながら歩く。周りから武器で構えながら。

「王様~~~お・は・な・し・がありま~~~す」


 リチャード・フィングスは少し考えたが出ることにした。

みんなに止められながら。

「どうした」

「やっぱり気持ちが悪いなぁ~」

「ん」

「あのさぁ~、いま、ホワブラ国と戦争?戦?ん~~知ってるじゃん」

「ああ」

「やめない?その方がどっちも救われない」

「お主に問うぞ」

「なになに?」

「お主はゼラム王とレゼシラ王子を殺したのか?」


リヴァナラはニヤニヤ顔から少しだけ笑みが消えた。

「ふ~~~ん、俺じゃないよ。殺したのは勇者でしょ」

「お主がやったという目撃をした者がいる」

「ありゃ」

「それは本当か」


リヴァナラはふざけたポーズで答えた。

「うん、そうだよ。俺が二人を殺した。そしてここにいるみんな俺が殺す」


 リヴァナラは目に見えないスピードでリチャード・フィングスのまぢかまで来ていた。

「これで俺は二つの王となり、君が望む国を作ってあげるよ。バイバイ」


 リヴァナラは素手でリチャード・フィングスの胸をえぐりに狙って右手を伸ばした瞬間、その手を光の速度で斬り落とす成人の姿のポウラ。

「大丈夫か王!!」

「おお!!?」


 目にも止まらない速さでリヴァナラは抵抗もできなかった。

斬られ地面に落ちた自分の手を見る。


「なんてことをするんだ。これでは女の子を抱けなくなったじゃないか?」

「貴様に抱かれた女の恨みだと思え」

「ひどい」


少し遅れてポウラのパーティメンバーが集まる。

「ふ~~~ん、楽に殺せると思ったのになぁ~…まあいいや」


リヴァナラは口を手で覆って叫ぶ。

「人間に恨みのあるお魚のみなさ~~~~ん。俺の協力して」


するとぞろぞろ出て来た。

「みなどうして?」


リチャード・フィングスは出て来た同族の問いかけた。


「人間は死ぬべきだ」

「そうだ元々は人間が悪いんだ」

「俺たちは国の為に」


リヴァナラは城へとつながるゲートに指を差す。

「あそこから入れるよ。あの中に入る人間はみんな殺していいよ」

「なぜゲートがまだ開いているのだ!!」


ゲートを作った魔法使いはリヴァナラの部下が脅し開きっぱなしにしていた。


魚人や人魚達は急に叫びだしながら走り出してゲートに向う。

そこにヒキトが立ちふさがる。

「みな止まれ!!」


止まらない同族にヒキトは最初に向かって来た者を関節技を決めて気絶させる。

それを続けて行く時に気が付く。


同族の首筋にキノコの様な物が生えていることに。

「これは?」


考えている暇はなくゲートに入ろうとする同族を止める。

「(まさか…操られている?)」


 ヒキトはリヴァナラに目線が行く、するとリヴァナラはニヤリと笑い始めたと思ったら手を顔の所まで上げたと思ったらバイバイと手を振った。


 ヒキトは困惑していると押し倒した同族達が急にヒキトに集まりだし、首筋のキノコが光りだして大爆発を起こした。


 みんなが爆発に気を取られている時、リヴァナラはその場を離れた。


 爆発の黒い煙が立ち撒く。

エクエスは爆発が起きな中に飛び込むも皆に意識はなかった。

そこにヒキトが手を挙げた。エクエスは駆け寄り抱える。

「大丈夫か! おい、意識を保て!! 誰か来てくれ!!」


ヒキトはかすかな声でしゃべりエクエスは耳を近づける。

「る…ルイばぁ…n…に」

「どうした」

「ご…ごめん…さいいって…」


ヒキトは意識を失う。

エクエスが悔しがる中、頭上から大きな魔物が3体現れた。


エクエスは華麗に避けて、安全な場所にヒキトを静かに寝かせる。


ルーベルとキュルアも横に並び、成人した姿のポウラが戦時をきって魔物に向かった。




 ●●●




リチャード・フィングスは牢屋に戻り、黙ってルイバーを出す。

「どーいうつもりだ?」

「この国を救ってほしい」

「?」

「どっちにしろ運命は…」


リチャード・フィングスは隣の牢屋を見た。




 ●●●




 ホワブラ国の城の中、10階。

シンノスケとリリネッドはまだ眠っていた。




 ●●●




 死体のかまくらにいた子供は血を吐いて倒れる。

「人違いですか…。よかった、いやよくないここはどこだ」


シンノスケはある気だそうとした時、場所が一瞬にして変わった。

先程いた場所より離れた場所、霧は変わらないが道がある場所に立っていた。

道の先には建物らしき物がありシンノスケはそこへ体が動く。


また、気が付くと中に入っていた。

カビとコケで虫などもうじゃうじゃいる。隅には遺体がたおれている。

電気はビビビィっと鳴らしながら点灯している。


いくつかの部屋を覗くとなんかしらの研究室のようだった。

培養ポットの部屋は、拷問部屋などもあった。シンノスケは歩き続ける。


そして一つの部屋にたどり着いた。その部屋にたった一人で小窓から差す月の光を浴びる白いワンピースの様な服を着た3.4歳ぐらいの子供がいた。


子供は髪が長く顔が見えない。

よく見ると手足は火傷や注射後、切断してくっつけた様な肌の色が違う手足。

血を垂らしフラフラと歩きながらその子供はその建物を出る。


シンノスケは黙って後を追う。

少し歩いた時、子供は振り返り建物を見る。

カスカスの唇で何か言ったのかわからないが口が動いた。シンノスケはその後の子供の未来を見ていていきそして目を覚ます。




 ●●●



 ヴォワゴレレはすっくりと足をバタバタとして待っていた。

「どうだった、仲間の闇は?」

「ええ、そうですね」


シンノスケは眠るリリネッドの頭を撫でて言う。

「さらに命を捧げたくなりました」


とシンノスケの中からスっと霧の様な物が出てきてヴォワゴレレの左手に集まる。

「これが君が見た最もデカい感情か…思ったよりいいねぇ。悲しい感情がデカい」


それをヴォワゴレレは粘土みたいにこねて真上に投げた瞬間、魔物が生まれた。

「この子は君の感情から生まれた子だよ。勝てるかな?」


シンノスケはリリネッドを少し離れた場所に移動させて、僧侶の魔術を掛けて守る。

「さぁ、やりましょうか」

「紹介が遅れたね、私はヴォワゴレレ」

「僕はシンノスケ。さっさと終わらせます」



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