第53章 汝平和を欲さば、戦への備えをせよ
リヴァナラはレゼシラの姿になっている。レゼシラ(リヴァナラ)は困った顔で言う。
「この戦争の意味?」
レゼシラ(リヴァナラ)の前に兵士長が聞いていた。
「申し訳ございませんがこの戦争のやる意味とはなんですか? 我々も深海底国も何一つとして命を捨てる意味とは!!」
兵士長が言い終わると同時にが吹き飛んだ。アイが周りの兵士に殺気を放ちながら話す。
「アタイが言ったよねぇ。深海底国は我々の王を殺してこの国を消すために。命を取りに来るこの国を消潰すために深海底国に恩を売り、仲間にして責めに来るってさぁー」
アイと同時に動き出す隊長格のオーロ、イェーリ、エッチェンそして魔帝国の幹部の一人、ヴォワゴレレ。
坊主頭の所に蚊に刺されて一部がぷくっと膨らんでいる所を掻く、オーロ。
「この国を守るのが俺たちの仕事だ、そして隊長格で用心棒だったユーリが裏切ったいま、気を引き締めなければな」
猫なで声で可愛く見せ、レゼシラ(リヴァナラ)の肩に胸を押し付けて甘えるイェーリ。
「私怖いですね、でもヤレるなら…頑張ります」
緑色のローブを着て白いひげに光でメガネのレンズを光らせる、ザ老魔法使いのエッチェン。
「さぁ、彼方さんも動きたがっているようで」
レゼシラ(リヴァナラ)は満面な笑顔で何度も頷き。
「そうだ、そうだ、そうだよね。戦争は楽しんだこそだ」
両手を広げ勝ち誇った口調で言う。
「戦争ではなく、戦呼びにしてにほしいなあ~」
アイは刀を肩に担ぎ言う。レゼシラ(リヴァナラ)は変な振り向きポーズで問う。
「どっちでもよくない?」
「いいがそっちの方がかっこいいじゃん」
「う~~~~~~ん、まあいいか」
オーロはそんな会話よりずっと広い皇室に一人、布団を敷いてアイマスクを付け鼻提灯を膨らませて寝ているヴォワゴレレが気になっていたが誰も触れないので終わる。
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深海底国。城の特別室(客室)にて、リリネッドパーティが久しぶり集まった。
部屋の窓から勇者リリネッドをイメージした旗が風で靡く。
それを椅子の座りながらリリネッドは観て「うっえぇ…」と言った。
他の3人は座り込んでいろいろ話し合ってい時にナギがリリネッドの額の傷に気が付く。
「リリネッド、その顔の傷!!!」
「あ、これ気が付いた? 少し髪で隠れているから見えないと思ったのに」
「誰じゃ!! 誰がやった!!」
ナギが暴れだそうとした時、シンノスケがそれを止める。
「というか、シンノスケなぜ、治さない!!」
「治そうとしたんですけど、リリネッドが治さなくって良いっていうので」
「どうしてじゃ?」
シンノスケはリリネッドの方を見て、ナギもその目線を追うようにリリネッドの方を見た。
「勲章!」
傷の所を親指で差して決め顔でリリネッドは言った。
「リリネッドが気にしないのであれば、ワシは何も言わんよ」
クロウが足を延ばし天井を眺めながら言う。
「まあ~、ナギが言うように戦をしないといけないのか?」
「ああ、あっちから果たし状が来たんじゃから」
「この戦とやらで勝ったあと僕たちに何が残りますか?」
「リリネッドは助かるだけじゃな」
「僕たちはこの戦をやるメリットはありません。退散すべきです」
クロウがシンノスケの回答に少し驚く。
「元神父がそんなこと言っていいのか」
「どこの国が亡ぼうか我々には関係ない。リリネッドは魔帝王を倒すのが…いえ、話し合うのがゴール。ここで時間を潰すよりは」
とシンノスケが言い終わる前にリリネッドが口を開いた。
「違うよ、シンノスケ」
「え?」
「この国は私のせいで巻き込まれたんだ。私が弱いからこんな大事になった。ホワブラ国も私が気を抜いていたから戦う羽目になった。幹部の思惑道理になった。止めないとダメなんだよ。犠牲は出るけど、これよりひどいことにならないようにここで止めなきゃ、ダメなんだよ」
「リリネッド…」
シンノスケはリリネッドの発言に少し驚き心配があったかそれに従う。
クロウは「(まさか、こんな事を言うようになるとは)」と思う。
「まあー確かに、お前は弱くって、バカで、すぐ攫われるし、捕まるし、たまにまともなことを言うけど、勇者だもんなあ。勇者だったら自分が犯した罪は自分で蹴りつけなきゃな。だから…」
クロウは立ち上がり、リリネッドの頭に手を置き顔を近づかせて言う。
「今度は、まぐれでもたまたまでもない、お前自身で幹部を倒せ」
「え」
「お前がやるんだ!どんな犠牲が出ても。どれだけの生き物が死んでもだ。それが戦だ」
強く真っ直ぐな目でクロウはリリネッドを見る。
リリネッドは同じく真っ直ぐな目で言う。
「わかった、やるよ。私がホワブラ国を救うよ」
それから4人は久しぶりに和気藹々の会話をして数時間後の始まる戦へと立つ。




