第41章 勇者の呪い
深海底国は地上で手に入るものがすべて珍しく、その中でも野菜は魚人と人魚にとって大変珍しい者だった。
深海底国の王のリチャード・フィングスは魔帝王に送ってほしいと頼んだことで毎日送ってもらっていた。が、その野菜を栽培していた十三ヶ騎士団のヒジナシ、その栽培を複成していたデラーズが勇者リリネッドに倒れてしまった事で生産がストップとなり。
深海底国に送る野菜がなくなってしまった。深海底国は良い野菜が育たないのと変わりの野菜を送ってもおいしさが違うということで魔帝国と深海底国は現在、小競り合いをおこしていた。
リチャード・フィングスはこうなったのは勇者の所為だと思った。
「もし勇者がこの国に足を踏み入れたら、死刑だ!! 数百年前に起きた太陽を奪った旧勇者の罪も背をってもらう」
数百年前、深海底国は天に浮く太陽の様な宝石のエネルギーを使って生活を送っていた。
だが、旧勇者がそれを奪った事でエネルギー源をなくした深海底国は滅びかかったところに魔帝王が変わりのエネルギー源をもらったことで国を救ってもらった。
魔帝王は「助けた御礼として平和条約を結んでほしい」そういった経緯で深海底国は魔帝国と手を組んだ。
リチャード・フィングスは勇者を恨み嫌っていた。
●●●
リリネッドは頭にフードを被り、色ありの眼鏡をかけて堂々と歩き始めていた。
「人魚や魚人が沢山いる。人がいないけどどうなってんの?」
とリリネッドが歩いていると魚人の子供とぶつかった。
「大丈夫?」
子供は泣き叫ぶ、膝を見ると血が出ていた。
「あ!」
リリネッドはポケットから絆創膏を取り出して子供に張ってあげた。
「これで大丈夫だよ」
リリネッドは子供の頭を撫でる。子供は泣くのをやめてた
「ありがとう、おねぇさん、人ですか」
「え、う、うん」
「本当に?」
「そうだよ、なんでなんかまずい?」
「いや、初めて見たから」
「そうなんだ」
「王様がもう人をこの国に入れないって宣言したって学校で言っていたから」
「王様が?」
リリネッドは少し考えたあと、子供に質問した。
「王様はどこにいるの?」
「あの上にいると思うよ」
子供は街の中央の壁のさらに上にある壁の方へ指を差した。
「ありがとう、ごめんね、今度は気を付けるから」
といってリリネッドは城に向かった。
魚人の子供は絆創膏を触っていた時、他の子供が隠れていたのか物陰から出てきて近寄って来た。
「大丈夫だった?」
「あの人この国の人じゃなかったよね、魔帝国の者?」
「ううん、人間だった…優しい人間。あたたかい手の人だった」
●●●
リリネッドはまたもや堂々と歩き始めているとそこに一人の魚人の兵士がリリネッドを見て止める。
「お前、通行所は?」
「うっえぇ、つ、通行所?」
「不法侵入した者がいることがわかったんだ、その調査のためだ。協力を」
「(ど、どうしょう)」
リリネッドが困っているのを見逃さなかった兵士はリリネッドを不法侵入者と確信して腕を掴む。
「貴様だな!!」
「(や、ヤバいよ)」
兵士はリリネッドを押し倒そうとした時、リリネッドは陰からモコモコした羊の様な物を呼び出して兵士を突き飛ばす。倒れる兵士の地面にモコモコ呼び出して兵士受け止めさせる。
リリネッドはその場を逃げる為に剣を振り回して投げる。
剣の柄に魔力のロープの様な物を結んでそのまま一緒に飛ばされるリリネッド。
兵士はすぐに起き上がり、他の兵士を呼び寄せた。
「あのセンスの悪い奴を追え!!」
●●●
なんとか物陰に隠れながら逃げとおしたリリネッドはクロウ達が来るまでここに身を隠そうと座り始めた時、狭い通路から話し声がした。
気になったリリネッドはこっそりと聞き耳を立てた。
「どいうことだ、なぜ、お前がそっちにいるんだ!!」
『………』
どうやら誰かと連絡を取っているようは話し声だった。
そこにいるのは女性の声の顔や手に全身包帯で撒かれた人がいた。
「私をだましたのか」
『……』
「そうか、そうならいい私も考えがある。私は前々からお前のやり方が気に食わなかった。それは他の奴も同様だ。お前の計画は私が止める。たとえこの国と戦争になっても」
話している女は連絡を切ってその場を去ろうとした時に頭の包帯がどこかに引っかかって取れてしまった。
リリネッドはその素顔を見てしまい思わず声を出してしまった。
それに気が付いた包帯の女性、魔帝王の幹部も一人のアウロはその声の方を見て言った。
「観たね、私の姿を」
「ご、ごめんなさい!」
「いいや、許さないし、逃がさない。誰も見せることなくここまで来たのに…貴様だけはゆるさない!!」
アウロは包帯を巻きなおして大きな声で叫ぶ。
「ヴォンズ、来なさい!!」
すると壁を次々と壊して現れた、魔帝王の幹部の一人、ゼルアゼンヌ・ヴォンズ。
「アウロ、どうした?」
「こいつを消したい」
「だ、だだ、誰だい、この人?」
リリネッドは驚いて尻もちをして動けずにいた。
騒ぎに気が付いた兵士たちも集まって来た。
リリネッドは立ち上がった時にフードが取れて眼鏡も落としてしまう。
幹部二人と国の兵士に囲みながらその人物が勇者リリネッドだとわかった。
「勇者がなんでここにいるんだ!?」
「でも都合がいいわ、運は私に向いているようね。捕えるわよ」
幹部の二人が話す。
兵士たちは勇者と分かったとたん武器を構え、さらに兵士を集めだした。
リリネッドはただ茫然と立ち尽くす。
そこに深海底国の隊長で魚人のヘラレスが現れ周りを落ち着かせた。
「皆、落ち着け。勇者・リリネッドだな」
「まぁーそうです」
「そなたは世界大犯罪者として扱われているのはご理解しているね」
「いや~理解はまだ」
「なら、裁判をやる」
「え?」
「魔帝王の幹部の二人ともここは我々の国だ、何か文句があるなら我が話を聞く」
ヘラレスは胸を張り鋭い目でアウロ達を見る。
アウロとヴォンズは一旦引くことにしてその場を去る。
●●●
リリネッドは深海底国の裁判を台に立たされていた。両手を手錠でつながされて。
「数百年前、人間と我ら海に生きる者たちシアラーは仲良く生活をしていたが彼らはまるで自分の国かのようにルールを破り、勝手なことを繰り返しその上、旧勇者が太陽を奪った。それから我らの国は魔帝王に頭が上がらなくなった。すべては人間の所為だ」
弁護士の様に立ち回る人魚はリリネッドの回り歩きまわる
「だがそれでも平和に暮らしていた…が我々の生活の一つとなっていた野菜の生産のストップ。またしてもそれを邪魔をしたのは人間だ!!ここで人間には我々の強さを知らせるのはどうでしょう。この勇者を死刑にして世界に知らせるのはどうですか?」
傍観者たちは大きな拍手をする。
「以上です。裁判官」
頭を下げて自分の席に座る弁護士風の魚人。
「では、判決を決めようか、勇者・リリネッドの死を世界に知らせる。彼女の名前は世界が知っていて勇者という事だけで世界は耳を傾ける。ではここで彼女の死刑を」
裁判官が決める前に手を挙げるヘラレス。
「待ってください、裁判官」
「ヘラレスさん、どうしました?」
「少しお時間いいですか」
「ええ、あなたなら」
「ありがとうございます」
ヘラレスはリリネッドの横に立つ。
「彼女をここで死刑にしていいのですか?」
と弁護士風の魚人が手を挙げて発言する。
「人間の味方になるんですか?」
「味方ですか…なら私の敵は誰ですか?」
「何ィ?」
「敵は人間ですか?魔帝王ですか?違います。彼女の死は戦争の火種になる。彼女の血は世界の終わりを告げる」
「そんな事!!」
「人間たちを受け入れて、ルールを破る人間はいたけど守っていた者もいたのは事実。守っていた彼らも守っていない者たちを注意をしていたはず。でも私達も守っていない物もあるはずです。人間だからというのはやめませんか?」
「なっ!!」
「守れないなら守れない理由もあるしないかもしれない。それを止められる人を作ればいい止められるような空気を作ればいい。ルールだからではなく、そう言った世界を少しつづ変えて行こうじゃないか。遅くても犠牲が出てもだって、すぐには世界は変わらない。戦争でどうにかなる国に未来はない国を守るのは我々生きとし生きる生き物だ!!」
「じゃ~その勇者の罪は!!!」
ヘラレスはリリネッドの方を見て話す。
「君はなんの為にこの国に?」
「わ、私はこの上にある国に捕まっていたドラゴンを助けて、そのドラゴンに連れてかれました。ドラゴンは魚人?に殺されて、ドラゴンは私はここまで助けてくれました」
「じゃ~、自分からは来てないんですね?」
「は、はい」
弁護士風の魚人は発言をする。
「そんな出まかせ!!」
ヘラレスが話を続ける。
「彼女が街で子供を助けたのを見ました。怪しんだ兵士を突き飛ばしたあと助けますか?旧勇者はこの国に来て一番最初にしたのは我々の神である太陽を奪った。彼女は違う、彼女は何もしてない。戦うことも破壊することもしていない」
「まだ、してないだけでは!!」
「じゃ言わせてもらいます、彼女は前の勇者と同じだと思いますか?あなたが思う人間と同じだと言えますか?我は思わない。彼女はむしろもしかして…」
ヘラレスがリリネッドを見ると同時に警告ランプがなり始めた。
「どうした?」
「ヘラレス様、魔帝国の魔物と人間がが暴れています」
「なんだって!!!」




