第36章 閉じた目と閉ざされた壁
街に入った一行はすぐに冒険者たちに追われてしまった。
そしていつものことながらはぐれてしまい。
クロウは一人、入り口周辺に間取り、その近くの高い時計台の上に隠れていた。
どさくさに剥ぎ取った新聞を見る。
「勇者を差し出して1億、そのパーティ仲間を差し出せば1000万ってばかにしてくれちゃって。舐めてるわ。何っ何、深海底国の栽培工場を勇者が止めたことで深海底国への提供が出来なきなった? なんだそりゃ? てかこの記事に掛かれているのだいたいがでっち上げじゃ~ねぇ~か。まったく運がいいのか悪いのかわからんな、リリネッドの奴」
クロウは新聞をぐちゃぐちゃにして魔術で一瞬にして燃やした後、寝転ぶ。
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街の路地裏にて。
ナギは刀を鞘から出さずに複数の冒険者を次々と倒していく。
「いい加減にせい!! お主たちではワシは倒せん!!」
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街の広場のところで3人の女性につかまるシンノスケ。
「こいつ、無抵抗で捕まったけど、どうしましょ?」
「情報通りならこいつは勇者…いえ元勇者のパーティだけど」
「お姉ちゃん達、気を付けてコイツから人の以外のオーラーが見えるから」
口元をマスクで隠してある陰キャラぽい女性といろいろ大きな女性と金髪そばかす少女が話している中、シンノスケは脱出を考える。
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リリネッドは街の奥の所まで来ていた。大きな壁に塞がれている置くのに城があるのが見えた。
「ここって国だったんだ」
大きな壁のせいか日陰となっていて人子一人いなかった。
リリネッドは何も考えずに走り続けて、後ろも観ず回りも気にしないで走っていた為、どこからきてどこへ行っていいいのわからずその場に座り始めた。
「まあ~、クロウ達が助けに来るか」
ゆっくりと空を見上げていると一人の杖を使って歩いてくる高身長で赤髪の男性が話しかけて来た。
「すみません、この辺で女の子を見ませんでしたか?」
リリネッドが男性の目が見えていないことがわかった。
「観てないけど」
「そうでしたか、すみません」
「一緒に探そうか?」
リリネッドがそう言ったと同時に自分の状況を考えたらやっている場合じゃないと思ったが言ってしまったのどーしようという感じになった。
だが、男性はそれを感じ取ったのか断った。
「気持ちだけもらっておきます」
そう言ってその場を去ろうとしたが、リリネッドは立ち上がって横に歩く。
「迷惑かけるけど、手伝えるからやるよ。その方が早くない?」
「これはこれは、親切にありがとうございます」
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リリネッドは前にクロウに渡された色が入ったメガネを掛け、フードを頭にかぶり探す。
「探している子ってどういった子ですか」
「観ての通りあっしは盲目で、今の服装とか見た目などはわかりませんが、元気な女の子で…そうだそうだ、額にバンダナを付けているはずです」
「元気な子に額にバンダナ…」
リリネッドが周りを見渡しているとそれっぽい子が大きな荷物をもって回り見渡していた。
「あの子かな?」
「どこですか?」
「ちょっと待ってて」
リリネッドが盲目の男性から離れていった。
「さてと…誰ですか、先ほどから後ろから付いてきて」
盲目の男性が振り向いたさきに5.6人の盗賊らしきガラの悪い輩が現れた。
「おっさんもアイツの首狙いだろう?」
「その目を使ってアイツを中央国に奴らに引き渡す考えだったんだろ?」
「はて、何のことやら」
ガラの悪い輩の一人が盲目の男性の胸ぐらを掴む。
「関係ないなら邪魔するな、盲目のジジィ」
ガラの悪い輩の一人は盲目の男性の付き飛ばす。
「今のうちだらちるぞ」
倒れ込んでいた盲目の男性はスッと立ち上がり服などについた埃を見えないけど掃う。
「やれやれ、そんなにかっか、していたら早死にしますぜ、お若いの」
「ああ?」
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リリネッドは誰かを探しているような女の子に近寄り話しかける。
「な、なんでっスか貴方は!!」
「あ、あの怪しい者だけど話聞いてくれる?」
「怪しい者って自分で言うんっスか?」
「まあ、本当の事っだし」
「正直者っスね、でも大丈夫っス。自分は強いので何かしたら貴方をぶっ飛ばっスす。で、話とは?」
「もしかして盲目の男の人を捜している?」
「そうっスけど…ラグルさんに何か!!」
「(ラグルさんって言うのかな? 名前聞くの忘れてた) 赤い髪の」
「ラグルさんっス!!絶対!!」
「その人があそこに」
リリネッドが指を指す前にこちらに向かって来ていた盲目の男、名はラグル。
「リボンさん、すみません」
「どこ行っていたんっスか?」
「気になる事があってつい」
「そうだったら声ぐらいかけてほしいっス」
「ごめんごめん、この方が助けてくれて」
ラグルはリリネッドの方に手を出す。
「これはこれはありがとうございます。怪しい人」
「あ、いいえでは」
リリネッドはその場を移動してラグル達から離れた。
「名も名乗らず、立ち去るなんてカッコイイっス」
「そうだね、まさしく勇者に相応しい人だね」
「そういえば、勇者の誰でしたっけ」
リボンはポケットの中の指名手配書を取り出してみる。
「そうそうリリネッドがこの街にいるって噂を聞きました。どうしますか?」
「それはもう済んだ。兎に角この街の壁の中に入ろう」
「勇者はいいんっスか?ああ、元勇者か」
「リボン、修行が足りないよ。もう少し人を観察しなと」
「? どいうことっスか?」
ラグルとリボンはリリネッドとは違う方へと歩き始める。
「(この目を閉じて初めて感じた、まさか勇者さん、あなたは大きな宿命を背をってしまっていまずぜ、気を付けるんこった)」
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リリネッドが街の壁の門に近づく。
「あのここ通りたいんですけど、いろんな人に追われていて」
門番の二人が顔を合わせてから一人が言う。
「此処を通りたければ紹介書かなにかあるか?」
「あれ? 私は勇者です。勇者は手続きなしで通れるって聞いたんだけど?」
リリネッドは色付きのメガネと頭のフードを取って顔を見せる。
門番は顔をみて指名手配になったリリネッドと一致していたのを思い出して武器を構える。
「き、貴様!!」
「リリネッドだな!! 動くな!!」
「うっえぇ!!なんで!?」
と危機的な状況の時に門が勝手に開き始める。
門番は誰が明けたと叫んでいると門の中から一人の男がゆっくり歩いて向かってくる。
「あ、あの人は!?」
リリネッド前に現れたのは死聖の森で出会った、剣聖のユースだった。
「ようこそ、リリネッド。ホワブラ国へ」
ユースは門番の顔を見て「私に任せろ」と言って国の中に入れさせた。
リリネッドをお姫様抱っこで抱えて走り出すユース。
リリネッドは戸惑っている中、ユースは真面目な顔でリリネッドの耳、近くでコソコソとしゃべる。
「すみません勇者・リリネッド。あなたに頼みがあります」
「何?、もう沢山頼み事されているから大丈夫だよ」
「さすが、みんなに頼られるひとだ」
「で何?」
「一緒にこの国をぶっ壊しませんか?」
ユースは太陽の様な涼しそうな笑顔で言い切った。




