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第29章 勇者は静かに怒った


リリネッドのいるところへと向かっていると最中にクロウがしゃがみ込む。

「どうした?」

「いや、大丈夫だ」

「まさか、もう限界か?」

「うんなわけねぇ~よ」

「なら立て!! 早くリリネッドの所へ行かなければ」

「わかってる。あのバカはすぐに人の意見に流されやすいから、敵になんか吹き込まれる前に」


そう言ってクロウは立ち上がる。

ナギはその回答に少し違和感を感じた。

「最初にあった時はそう思ったが最近は違うと思うんじゃが」

「ちょっとだけならな。まだ決断ができな。他人に決断を任せている」

「クロウは…」

「なんだ?」


ナギはニヤっとして言った。

「結構、心配性じゃの~」


クロウはイラっとしたが兎に角、先に進むことにした。

「もし誰かにそそのかされて間違いが起きたら…」

クロウはボソッと言ったがナギは気にしないで進む。



 ●●●



シンノスケは縛られている手をほどいて、リリネッドをお姫様抱っこしながら走る。

だが、すぐにデラーズが近くに現れてしまい逃げられなかった。

「やはり、ダメですか」

「普通に考えて無理だろうよ」

「なら」


シンノスケはリリネッド後ろに投げて、デラーズに攻撃を繰り出す。

デラーズもつづけて攻撃をだす。

「君は俺に勝てない。それはわかっているはずだ」

「ええ、僕の体にはあなたの細胞を植え付けられている」

「ならなぜ?」

「逆になぜ、僕を殺さない? この細胞があれば簡単にできるはずなのに」

「これもまた実験だよ。どうなるか観察しているんだ」

「このマッドサイエンティストが!!」


二人の戦いを座りながら見ているリリネッド。

「私、もしかし邪魔?」


リリネッドは立ち上がり嫌々ながらも手を伸ばしてどこかに置て行ってしまった剣を呼び寄せた。

遠くから何かを壊しながら向かっているのはわかった。

心のそこからリリネッドは謝った。

「ごめんなさい」


と伸ばしている手の方向とは違うところから飛んできてリリネッドがそっちの手を向けた。

剣はシンノスケとデラーズの戦闘の間を通ってリリネッドに向かってきてそれを華麗にキャッチするリリネッド。

「おお!」


とその瞬間、デラーズが襲って来ていた。

リリネッドがそれに反応する前にシンノスケが前に立ち守った。

「ビビったー!!」

「小娘が!!」

「小娘では無い。この方、勇者ですよ」

「勇者…こいつが勇者に見えるのか?」

「…?」

「聞けば誰も抜くとが出来なかった剣をただ抜いただけ。昔の旧勇者が救った栄光をただ受け継いだだけだ。こいつは何もしていない。コイツは勇者を名乗っているだけだ!!そしてなぜか不思議な力を持っているのはその剣に何かがるあるとみている。アルトもそうだがある一定の冒険者には不思議な力を持つ者がいるそうだ、なら旧勇者も何かしらの力を持っていたはずだ。魔帝王ですら手も足もでなかった怪物の王を倒したその剣がそれだと読んだ。それを踏まえて改めて言わせてもらおう」


デラーズはリリネッドに指をさして言った。

「貴様は何ものでもない」


リリネッドはまっすぐデラーズを見た。

「なんだその目は」


見つめるリリネッド。

「なんだと言っているんだ!!」


それでも見つめるリリネッド。

「貴様から何か感じるがそれは剣からだと思ったが違うなあこれは、貴様からだ。そうこれは殺意だ。貴様を見ている殺意がわいてくる」


話を聞き続けていたリリネッド。

「その剣をぶち壊してから、その顔をズタズタにしてやる。な~に大丈夫、ココの顔にしてやるから安心しろ」



リリネッドは口を開く。

「私は勇者だよ」

「そうか」


デラーズは右腕に爪で引っ掻き傷を作り血を出した。

「シンノスケ、お前はいつでもやれる」


そう言うとシンノスケは体が硬くなり動けなくなった。

「こ、これは!!」

「俺の細胞がお前の脳に信号を送り、動きを止めた。そこで勇者が消えるのをみてろ」

「ま、待って!!」


デラーズは血を鞭の様に振り回した。血は硬く、柱や壁、地面を切り裂くほど鋭かった。

リリネッドに向かって鋭い血の鞭の攻撃を繰り出した。

リリネッドは剣を構えたがどうしたらいいのかわからず立ちんぼしていると声がした。

リリネッドしか聞こえない声が。

『左の血その横の血の間に避けろ』


その声の指示にしたがって避けて攻撃をかわした。

「本当に避けられた」

「何!?」


デラーズは続けて攻撃をするもリリネッドは避けていく。

「なぜ、当たらない!? ならば」


デラーズは血を丸い大きな塊を作りそれを破裂せると無数の蝙蝠の様な物が飛び出してリリネッドに向かって飛んで行った。

『剣を地面に差して柄頭を両手で触れ』

「え、こ、こうかな?」


言われた通りにするとリリネッドの周囲にシールドが張られ、蝙蝠たちがそのシールドに激突すると蝙蝠たちは爆発を起こした。すべてを防ぐとシールドは消えた。

「すごい、こんな事までできたんだ」

「やはり、先にその剣から壊さなければならないようだな」

「ど~しよう」


とその時、リリネッドの意識が剣に入り、急に剣と対話が始まった。



 ●●●



ぼやけた場所でリリネッドとその前に黒い影のシルエットが立つ。

『やあ~勇者』

「え~~~と、剣の人?」

『剣で簡単に片づけないでくれよ。世界最強(せかいさいきょう)万能型(ばんのうがた)強烈甲賀剣(きょうれつこうがけん)だ。その辺に奴と一緒にするな』

「そうかあ…というかなんか用?」

『用があるからここに呼んだんだよ。ああ、安心してくれ外の方は問題ない。出たころには数秒ぐらいしかたっていないから』

「で、用事って?」


黒い影のシルエットはリリネッドの回りを歩く。

『君にはこの前の使用者の様に世界に知らせなければならない。その為には強さが必要なんだぜ』

「そうだね」

『わかってる? 俺がいないと君はすぐ死んでしまうんだぜ』

「う、うんそうだね」

『手を貸してやる。俺が居れば君は前の勇者と同じ力を使い世界を平和にできる』

「私は貴方の指示で動けばいいの?」

『そうだよ、じゃないと仲間も関係者も死ぬぞ』

「…それはダメだよ」

『なら話は早いさぁ、剣を握り、敵を倒さないとなあ』


黒い影のシルエットはリリネッドに近づくき、剣の構えにすこし修正をくわえ、立ち方などをも教えた。

『そうそう、それでいい。じゃ~戻すぞ』

「う、うん」

『指示道理に動けそうすれば君はみんなが思う、世間が思う、世界が待ち望んでる勇者へとなる。さぁー戦うのだ、リリネッド』



 ●●●



リリネッドは意識が戻っり先ほどの場所に戻った。

シンノスケがデラーズを掴みかかって止めていた。

「大丈夫ですか? 勇者様」


と剣の声が聞こえた。

『振り向け』


リリネッドは構えたまま振り向くとそこにはココが向かって来ていて止まることが出来ず、ココは突き刺さる。

「「え?」」



 ●●●



時間は戻り、クロウやナギ、シンノスケが戦闘中の事。彼らの戦いを見ていた、ココに取り付かれたリリネッドは心の中で対話していた。

ココ(貴方)は幽霊なの?」

「なに、急に話かけてきて…そうよ」

「なんで、そんな姿に?」

「アンタなんかに話す事じゃない」

「でも、話を聞けば私はこの体をあなたに預けてもいいと思うかもよ」

「そんなのないでしょ」

「私は別にいいよ」

「アンタ、バカ?」

「うっえぇ?」

「…私はデラーズ様が悩み苦しんでいたから助けてあげようと…助手の様に横に立ちたかった…彼女だけど、一緒に横で、一緒に夢を、一緒に…でも失敗しっちゃった…もっと困らせてしまった。デラーズ様は実験が好きで興味や関心が高まると自分の手でどうにかしないとダメな人だったの。でも魔帝王の幹部になってからは自分の好きなことが出来なくなり魔帝国の発展の研究や発明、そして魔帝王の無茶な開発に私の体の研究まで…」

「体…」

「私の体に合う人間を探していたんだ。惜しい人間はいたけどダメだった。シンノスケも使えなかった。でもアンタがいた。アンタは私にあう人間。だから…」

「そう…なんだ…。だったら別にいいよ」

「はあ!!」

「その理由なら私は…」


と話しているとクロウ達の戦闘が激しくなっていて話は終わってしまった。



 ●●●



剣で胸を突き刺したココ。

「な、な、なんで?」


ココは口から血を流した。

自分の手を見ると透けてなく自分の体が戻った事をわかった。

「っぐっふわぁあ!!」


ココは血を吐き、血しぶきがリリネッドに掛かる。

リリネッドは驚いたまま固まっていた。



ゆっくりデラーズのいる方を向くココは自らの力で剣を引き抜き、ボタボタと血を流しながら近づいていく。

「で、デラー…ズさ…ま」

「こ、ココ」


ココは倒れこむ前にデラーズがしっかりと掴んだ。

「ココ!!」

「み、みてよ。わた、私、か、体あるよ」

「あ、ああ」

「や、やったね。これで貴方とい、いられる」

「ああ」

「わ、私をあn…で…にし」

「なんだよ、聞こえ…ないぞ」

「そう…す…デラ…さ…ま」


デラーズは涙を流す、ココの体温が少しつづ冷たくなるのがわかった。

「は…やく」


ココは薄れゆく見えなくなっていくデラーズの姿。

「で…ずさ…あi」

「ココ、愛している」


デラーズは優しくそういった。それを聞いてココはにっこりと笑って。

そっとデラーズの頬を触って「やっと貴方のその顔が見れた…」そう言ってココは倒れた。

完全に意識が消えた瞬間、灰の様に消えていった。


デラーズは静かに立ち上がると同時に多量の魔力を放出させる。

「許さん、もう貴様だけは!!!」


怒り狂ったデラーズがリリネッドの方を向き見る。


と同時にシンノスケが一瞬の隙を見せたデラーズの背後に立ち、尖った鋭い爪を背中に差してそのま心臓を掴んで突き破る。

「くっわあ!!」

「ごめんさい、でも今見逃したらチャンスがないと思ったので」


シンノスケは心臓を握りつぶし、高く飛び上がり蹴りを繰り出して頭を狙った。

デラーズの頭は体と離れ、ボールの様に宙を回り床に転がり落ちてシンノスケが踏みつぶす。


「ふぅー」

シンノスケは息を吐く。そしてリリネッドの方を見る。


リリネッドは剣を床に思いっ切り突き刺した。

『ああ?』


リリネッドは静かに怒った。



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