第28章 またも神は無抵抗で倒れる
デラーズは診察台にリリネッドを縛り寝かせてその近くに立つ。
スヤスヤと寝ているリリネッドは時折、豚の鳴き声のような物を鳴らしながら。
「勇者、勇者、リリネッド。なぜだがお前からは何かを感じさせる」
デラーズはリリネッドをジロジロと見ているとシンノスケに取り付いたココが現れ、デラーズの体を押す。
「何してるの!」
「ココ…どうやら体を手に入れたようだな」
「ええ、でこの体どうするの?」
「シンノスケの体は貴重なサンプルとしていたがフンガに勝ったことでコイツの体を俺が貰おう事にした」
「デラーズ様がこの姿になるの?」
「コイツの体は貴重だがコイツ自身の人格が邪魔だだが殺すことはできないが俺の細胞が脳と心臓に張りりついているからそれを太陽の下に放り出せばこいつは死ぬ、そして体は溶液カプセルに入れる。まあ~それでどうなるか問題だけどな。勇者はコピーの体を魔帝王に渡して終わりだ」
「さすがデラーズ様」
デラーズは小さな溶液カプセルを取り出して、その中に入っている目玉を取り出す。
「それは…」
「アルトの本物の目だ。アイツが付けているのはコピー品だ」
「どうするの?」
「勇者の仲間がこちらに向かっているんだ、こんなチャンスは滅多にないから実験としてなあ。ココ、シンノスケの体はどうだ?」
「コイツの体は朽ち果てるけど再生があるから今のところは問題ない」
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ナギは次々とドアを見かければ開けて閉めるを繰り返してリリネッドを探していた。
「どこだ!!」
クロウはため息をしながらそれを見ていた。
「どこじゃ!!!」
「なぁ~」
「なんじゃ!!」
「勇者・リリネッドにGPSなるものを付けているのだが」
「じ~ぴいえんす?…なんじゃそれは!?」
「勇者がどこかにいるのかわかる奴だ」
「ならっそ~いえいやあ」
と次の部屋のドアを開けると十三ヶ騎士団の一人のリネブウが正座してラーメンを食べていた。
ナギがおもいっきりドアを開けた音で驚いてみていた。
「なんじゃ、お主」
「私は十三ヶ騎士団が一人、リネブウ78号だい」
「俺は62号」
「僕は19号」
「アッシは41号」
「アタイは39号」
と名のると何処からともなく沢山のリネブウが出現した。
「な、なんじゃ?」
「本体は魔帝王の城で実験中でここ50年間は僕ら分身体がここの建築などを行っています」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「貴方は何方ですか?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「「ここのボスをぶっと飛ばしに来た者だ」」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ええぇ~!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
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リリネッドは目を覚ました。横を見るとシンノスケが縛れていた。
「あれ、シンノスケじゃんどうしたの?」
「勇者様はお気楽なんですね」
リリネッドの前にデラーズが立って大太剣をリリネッドの頭の上に構える。
シンノスケが動こうとしたらココが憑依して止める。
「安心しろ綺麗に斬って殺してやる」
「また、縦線だぁ」
勇者・リリネッドは真っ二つになって死んだ。
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雲の上の様なふわふわしてすこし煙い場所でリリネッドは目を覚ます。
金髪の少女が何か怒鳴りながらリリネッドに向かって叫ぶ。
「さっきから私の声聞こえてます?」
「ああ、うん。誰?」
「だ、誰って…さっきも言いましたよね。神の使いのエンナムです」
「エンナムさん?」
「とりあえず、お決まりなので言わせてもらいます」
「?」
「勇者というものが死んでしまうとは何事だ」
エンナムはポケットからめちゃくちゃ折ってある紙を取り出し読みながら言った。
「か、神様に言えって言われてるんですよ」
恥ずかしそうな感じで言ったエンナムはリリネッドを見る。
「とりあえず、神様からの伝言を二つ」
「はいはい」
「『勇者としているなら無抵抗で死ぬのはやめろ』と…」
急にリリネッドは眠くなり倒れ掛けた時、誰かに寄りかかったが顔を見る事が出来なかったが声だけが聞こえた。
「『女神の話を聞くな』よく覚えとけ」
リリネッドは完全に目を閉じる前に最後に一言だけ聞こえた。
「思い出せ、大妖精から貰った力を」
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リリネッドは目を覚ますとデラーズが血の気の引いた顔で驚いていた。
「な、なんで生き返った!! いま…どうやって…わからない。なんでだ…貴様は一体なんだ!!!誰だ、何者なんだ!!!」
「え~と…う~~~んと…ああ、勇者です。勇者・リリネッドです」
シンノスケもココも驚きを隠せなかった。
「人智を越えている。これが勇者?」
「ありえない。死んだ人間がこんな簡単に」
「幽霊とアンデッドに言われても…」
デラーズは薄ら笑いして言った。
「勇者として選ばれたものがこうなるのか、それとも選ばれる前からそうなのか。君をもっと調べたい」
デラーズはリリネッドに近づき、ココの声すら聞こえないほど夢中になっていた。
「(やっぱクロウがなんかしたのかな?) ああ~、話をしませんか?」
「いいよ、君を調べながらならな」
シンノスケは縛られながらも足を動かし裏回し蹴りでデラーズに攻撃をする。
デラーズは片腕でガードして防ぐ。
「なんだ?」
シンノスケは立ち上がりリリネッドの襟部分を口で掴んでそのまま知りだす。
デラーズはアルトの目を自分の目と融合する。
「さてと、やるか」




