第27章 腹黒魔法使いは嫌な笑みを浮かべた
クロウはアルトとサッカーボールでパス練習していた。
「俺はこんなことしている場合ではなのでは? “よしやるぞ”って空気を作っても次のパートだとなんか飯を食ったり、遊んでたりって…」
「問題ない。そういったパートは必要だよ、クロウくん」
「嫌いなやつもいるだろうそう言ったのが」
「君はどっち派だい?」
クロウはおもいっきりボールに蹴り上げてアルトの顔面を狙って打ち込む。
アルトは液体の触手でボールを叩き割る。
「もう遊んでくれないのかい?」
「さっさと、勇者を助けに行けぇ~んと行かないのでな」
「『頭痛が痛い』みたいな言いかして」
クロウは面倒だなって顔で杖を取り出して魔術で攻撃を繰り出す。
アルトは素早く移動して避ける。
「魔法使いのバトルって以外と地味だと思わないかい? クロウくん」
「あ?」
「文字にしても表すにしても」
クロウの後ろにいつの間にか現れた液体の触手に魔法陣が現れその中央からレーザーのようなものが出てきた。
クロウはそれを魔術のシールドはってガードする。
「クロウ君、なぜ詠唱しないで魔術を使うんだい?」
「面倒だからだよ」
「違うなあ」
「はあ?」
「設定が固まっていないからだろう、そして今それを作るとそれで縛られてしまうからだ、俺はよく知っている」
「(コイツさっきから大人の事情を喋りやがって…今後の俺のパートがおかしいな奴縛りになったら
どうするんだ!)」
そう思いながらレーザーの魔術を打ち込むクロウ。
「ははあん、それでは俺を倒せないぞ、クロウ」
「(さっきから、名前を呼びやがって、キャラが若干似ているからか?、誰に向けてのアピールだよ!!)というかメタ発言をもう辞めやがれ!!」
クロウはアルトの両端に魔法陣を作り出して鎖出してアルトの動きを止めた。
「ほう!?」
「これで終いだな」
「それはどうかな? クロウ君」
「?」
アルトの背中から複数の触手が飛び出して鎖を破った。
「てめえ!!」
「俺が分かりやすくするために名前を呼んでいたと思っているのかい、クロウ君」
「違うのか」
「君の事を監視していたからだよ」
「何をここにきてそんなにいなかったはずだが」
「違う違う、俺は見ればわかるんだ」
「?」
「君ならわかるはずだよ…女神と言えばな」
「はあ゙ぁ、女神だと!!!」
「やっぱり、君は俺と境遇は同じだったねぇ」
クロウはムスッとした顔で無数の魔法陣だしてレーザーを放つ。
アルトは高笑いをしながらすべてを弾く。
「いい、いいぞクロウ。君と出会ったのは奇跡だ。誰もそれを口にしない。まるで縛れているような感じで消えないけど、わかるんだ。君もそうだった!!」
「キモゥ」
クロウは回りにある瓦礫を浮かせてアルトに向かってぶつける。
「無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ!!!!」
液体の触手で次々と弾いていったとき、瓦礫でクロウが姿をアルトから見えなくして近づくぎりぎりの所で横に移動してレーザーを放った。がアルトはそれを読んでいたようでレーザーを弾く。
クロウはすぐに距離を取ったあと煙幕の魔術を作って身を隠した。
「そんな事をしても無駄だよ、クロウ。俺には女神から貰った真実の目があるんだ。これはすべてを見通す」
少し離れた場所でクロウは隠れて話聞いていた。
「マジか、面倒なことを…それにアイツ瓦礫の破片が当たったのに傷が塞がり始めてやがる。って事はアンデッドかよ。めんどうだぁ~。さて、どうしたもんか」
ヤンキー座りしながら考えている触手が襲い掛かってきた。
「ってかこれはなんだ!!」
クロウは火と電気系の魔術をぶつけていくつかの触手を破壊する。
「属性系をきくのか、レーザーは魔力をあまり使わないからいいけど属性系はかなり持ってかれるからやなんだけど」
クロウは回り気にしながら移動をする。アルトに気付かれないように移動を繰り返すも触手が次々と襲ってくる。
「マジで面倒だなあ!!!」
とアルトが既に近くに来ていて鎖の魔術を出してきた。
「な、なに!!」
「俺も冒険者だったって言ってなかったか?」
「マジか!!」
「そして職業は魔法使いだ」
「ああ、面倒だ。口癖が面倒だキャラになってしまった、クソが!!」
クロウは鎖に縛れてしまい身動きができない状態になった。その上に座るアルト。
「さて、これでよっくりと喋ろうよ、クロウ君」
「ああ、はいはい、何でしょうか?」
「俺はアルトと言うんだ」
「はいはい」
「そして、元魔法使いで、スライムとアンデッドのハイブリッドのクォーターだ」
「なんだ、最近覚えた言葉か?」
アルトはニコニコした顔でクロウに殴る。
「君は口がよく回るねぇ」
「人のこと言えないだろうが!」
「俺はいいんだよ、でだよ」
「はい?」
「俺的にはもっと激しい戦いがしたいんだ」
「というと?」
「この世界に来ても強い奴と戦う前にデラーズ…様?につかまってしまいこんな姿にさせられてしまって、どこにも旅も出れないわけ」
「で」
「つまり、退屈なんだ」
「最終的に」
「君を殺して、俺の一生の遊び相手にしようと思ってねぇ」
「それは俺が負ける前提の話だよなあ」
「勝てると思っているのかい」
「ああ」
「この目とこの力を持つ俺に?」
「『オフコース!』」
「そのバンドは解散したろうが」
「『がんばっていきまっしょい』」
「なんで急に映画の女子ボート部のタイトルを」
「アニメの方でもいいのに」
「あにめ?」
「なるほど、その世代か?」
「はあ?」
クロウは魔術で作り出した剣で鎖を破り、アルトは剣から身を守るために離れた。
「さてと、遊びは」
「「終わりだ」か?」
クロウは舌打ちをして杖を取り出して詠唱と唱える。
「六つの心に六つの魂が円を描く。天は我の」
「無駄だよ、それでは俺は倒せな…ハッあ!!」
アルトは上を向いた時、クロウはニヤリと笑う。
真上には無数の氷のナイフが振り降りて来た。
アルトは無数のナイフを触手で防ぐ次々と凍っていく触手に体に向かって来たので触手を切り離した。
下に落ちたナイフが床を氷に変えアルトの立つところさえも氷漬けになっていく。
「や、やばい」
アルトがその場を離れようとしたがクロウが氷の壁を囲み作って逃げ場なくした。
「お前は先見るのではなく、俺の事を知っるだけで別に未来が見ているわけではなさそうだな。相手の事を知れるだけ。意味がない能力だな」
「何を…」
「ほら、先までの威勢がなくなってるぞ」
「はあ!!」
「もしかして舐めプしてると思った?残念だったなぁ~…俺が舐めプしてたんだよ~」
腹立つ顔でクロウは言ったあと、囲んだ外側にシールドを張ったあと、内側にもシールドを張った。
そして全面からレーザー砲を一斉に打ち込んでアルトに向かって飛んで行った。
クロウはいつの間にか外に出て行ってアルトがクロウの方を見て来たのでクロウはニヤケずらで返した。
氷の中に閉じ込められたアルトははレーザー砲のハチの巣になった。
「どうせ、まだ負けてないんだろうなぁ~」
と言っていると謎の空間がクロウを包みこまれ氷の空間をぶち壊して出て来たアルトは体の一部が液体の様に垂れていた。
「もういい、見せてやるよ。俺の本気の姿を」
アルトはデラーズの細胞の塊を3つほど取り出してそれを食べて飲み込むとアルトの体が大きくなり触手も無数に出て体が完全に液体のようになった。
「この空間は外の奴らに魔力を感じさせないから好きな空間なんだぁ。君を仲間にしたらこの空間で戦い続けよう、クロウ君」
「嫌だって…待て、この空間は外の奴らに感じ取られないのか?」
「ああ、そうだよ。だから君…を?」
クロウは杖を肩に担ぎ、魔力を全開に開放し始めると同時に下の方が全体が揺れた。
「どうやら、下の奴らも終わりそうだな。さっさと終わらせるぞ。この無駄な時間を」
「勝った気になるなよ、まだ俺も本気を出していないんだから」
「いや、大丈夫だよ。咬ませキャラとして終わらせてやるからよ。この忌々しい呪いが邪魔で本気になれなかったんだ〜、でもシンノスケがこの呪いを多少なりにもよくしてくれたから」
「?」
「俺もお前も仲間に隠し事をする同士だけど、俺は…仲間を殺すような事を絶対にしないと誓える」
「誰に誓うんだ? 神か? 女神か?」
「勇者にだ」
クロウとアルトはぶつかる。
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数分後、ナギは地下5階まで降りてリリネッドを探していた。
「どこじゃ!!」
と天井が崩れ落ちてきてそれと一緒にクロウが下りて来た。
「おお、ナギ生きていたか」
「お主…」
クロウのウキウキした顔が気になるナギ。
「どうしてそんなに元気そうなんじゃ?」
「そうか!?」
「まあ~いい、倒したのじゃなあ」
「そっちも」
二人は拳を合わせてリリネッドを探しに行った。
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地下2階でアルトは瓦礫山の上で体の再生ができずに倒れていた。
左腕や一部がたら~んと垂れていた。
「まさか、あんな力を隠していたんて」
デラーズの細胞が灰となり消えていったのが目に入いった。
「なんで、こんなことになったんだっけ?」
アルトは薄れゆく意識ので目もぼやけていく、3人の影が前に現れた。
「だ、誰だい? なんだこの懐かしい感じ」
一人の人物がアルトに手を伸ばす。
アルトは最後の力を振り絞りその手を握ろうとして意識がなくなって紫の炎に燃えて灰の様に消えていった。




