第2章 リリネッドは勇者である
冒険者で勇者のリリネッドと兵士のクロウが街を出て2日が経った朝頃。
「あ、」
「どうしたのクロウ?」
「城に忘れ物した」
「ええ~、結構歩いたよ」
「大丈夫、大丈夫。一瞬で飛ぶんで」
そう言って兵士・クロウは消えた。
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トダイカ国のギョク王城の中。
クロウは自分の荷物とまとめているときに話し声が廊下から聞こえてきた。
「あの勇者って元はここの侍女だったらしいな」
「そうそう、目の前で剣を引き抜いたところを見たんだ。でもあれは引き抜いたというより…」
「まあ~、誰だろうと勇者は勇者だ。引き抜いたその日に住人と世界にその名を広めたな。俺たちはバタバタだったなあ」
「王様が早く戦士たちを城から追い出したかったんだろうな。あいつらが来てから城の回りがゴミや風紀が乱れていたから」
「それにこの国はできてまだ100年も満たさない国だから何かと話題が欲しかったんだろうな。勇者がこの国に生まれたって過程が欲しかったんだろうな」
「なんにせよ、もう忙しくならなくなってすみそうだ」
二人の話し声はどんどん遠のいていった。クロウは話が聞こえなくなったため勇者のいるところへと戻った。
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リリネッドの元に戻ったクロウ。
「リリネ、食料も持ってきた。飯にしよう」
「うわぁ~、急なあだ名呼び、別にいいけど。魚ある?」
「ああ、鮎が4匹ある。米は?」
「サクッと食べたいから鮎のみで」
焚火を用意して鮎を木の棒に差し塩を適当に着けて火の近くにおいて焼く。
「そういえば、クロウは魔法使いなんだよね?」
「そうだなあ」
「魔法使いは何となくわかるけど勇者ってどんな職業なの」
「今はたしか、通行所がいらないし国境も普通に通過できるほどの効果があったかな?」
「それだけ?」
「あまり思い出せないだけだ」
「てか、私が勇者ってわかるかなぁ~」
「世界に知られてますし、冒険者として登録しているので問題ない」
「登録した覚えがないんですけど」
「城に戻った時にやっといたんだよ。本当は旅に出る前にやりたかったけど、あの王がさっさと追い出したから。(本当に早く追い出したかったんだな。あのクソ王~)」
「じゃ~本当に私は勇者なんだね。へぇ~」
「なんで他人ごとなんだ?」
「ははは」
「冒険者として登録しとかないとあとあと、メンド~だからやったんだよ」
「ふう~ん」
「登録しとかないとクエストもできないし、国境も越えられない。金も稼げない」
「お金ならあるよ、王様から貰った5万ゴールドが」
「少くねぇ~。 なめてんのか!」
「じゃ~旅の途中ですれ違う鎧とか付けている人たち冒険者なんだ」
「いや、冒険者だけって訳ではないよ。 ほかにも…」
と話していると3人の盗賊が現れた。
「お前が勇者だな、一緒に来てもらおう」
「これが冒険者として登録できなかった者だ。盗賊って言うコソ泥になる」
「っるっせ!!、てめぇーはいらねぇ!!」
盗賊の一人はクロウに斬りかかってきたがクロウは華麗によけ杖を取り出して盗賊の一人の足を引っかけて転ばし、倒れた盗賊の脇あたりを蹴り飛ばす。
他の盗賊はビビッて動けずにいた。
「やんのか?」
クロウは盗賊に聞いた。盗賊はビビッて逃げて行った。蹴られた盗賊も脇あたりを抑えながら遅れて逃げて行った。
「アレが盗賊ですよ。3人ってことはリリネッドを入れればパーティが完成していたってことか」
「パーティ?」
「冒険者として作れるチームの事だよ」
「なんで私を?」
「さっきも言ったけど勇者ってもは何しても許される風潮みたいなのがあるんだよ。今後もこんなの沢山くるぞ」
「いやだなぁ~」
「俺もこんなのが沢山来ると疲れるんで仲間を作ろう」
「それもいやだぁ~」
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その頃、魔帝城では。
魔帝王は映像で離れた幹部の一人と話していた。
「天界国、深海帝国、との規定共闘契約で我は動けないんだから」
『わかっています。現在の勇者の次に行くであろう位置はわかっています』
「ほう、ならお前に任せるぞ、ルギアラ」
『承知しました』
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リリネッドとクロウの前にごつごつして丸いモンスターが現れた。
「面倒だ、リリネ、剣をちゃんと握とけよ」
「え、なんで?」
クロウは魔法で作った紐をリリネッドに巻き付けたあとに、巻き付いたリリネッドを振り回してから、上にあげた後にそのままごつごつしたモンスターに剣が当たるように叩き落した。剣に斬られたモンスターは煙のように消えた。
「よし、うまくいった」
「ううううう、まくいったぁあぁぁ、じゃないよ‼、目が回る」
「しかたがなかったんですよー勇者様。アレはレベルが高いから勇者様では勝てないと思ったんですよ。勇者の職業は仲間のパーティーが倒したモンスターの経験値は入らないので。なら勇者様が倒したことにするためにはこの方法がいいかと。俺はその剣持てませんし」
「それなら、事前に言えばいいじゃん。あの魔物は動きが遅いタイプみたいだし!!」
「それじゃー面白くないだろうが!!」
「いや、面白さぁ、いらないから」
こうして勇者リリネッドと魔法使いクロウの冒険が本格的に動き始めたのである。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
1話と2話は説明口調が多くなってしまいました。
とりあえずは、3話からはキャラクターを重視して書いていきたいと思います。
ということで序章はここまです。次からもがんばって週1で書いていきます。
応援よろしくお願いします。