第10章 神などにたのまれる勇者
横に倒れながらリリネッドが目を覚ました。横を見ると剣が倒れていた。
リリネッドは剣を掴んで立ち上がり体を伸ばした腕を伸ばして体をゆっくり真横に腰をひねった時、フェビーワンに当たってしまった。
フェビーワンは唸りながら煙のように消えて行ったあとコブラの姿をしたモンスターがポトリと落ちた。
「ありゃ、やっちゃった」
「則巻のロボットみたいに言うな」
「クロウ…」
クロウは何も言わずにリリネッドを見ていた。あとナギがリリネッドに飛びついた。
「リリネッド!!、大丈夫か!!」
「クロウ、何があったの?」
「リリネッド、お前は真っ二つになったあとに一瞬にして体が戻っただけだ」
「へぇ~」
「誰かと会ったか?」
「なんで?」
「いや、別に」
少し沈黙があったあと、ネルラが近寄って来た。
「何が何やらわからないが倒したのだな」
「あ~うん。意図してないけど」
とその瞬間、洞窟全体が光に包まれガラスの中に閉じ込められた大妖精が出てきた。
「ありがとうございます、勇者リリネッド。よくあの魔物を倒してくれました」
「意図してないけどね!」
「妖精たちもこれで自由にこの中を移動できるようになりました。そしてあの魔物によって呪いに掛かった者たちも救われたようです」
「なんでそんなことがわかるのじゃ?」
「外には見えていないだけでそこら中いますよ。洞窟の中は私の力が強く姿が見えてしまいますが。妖精たちは私と繋がっているのでどこにいても話が出来るのですよ」
リリネッドとナギがある人物を思い出す。
「あの盗賊さん、治ったんだ」
「あの盗賊」
「カイジョーさんな、忘れるな」
大妖精は3人の前に立ったあとに座り込んで頭を下げた。
「この度は、本当に助けてもらいましてありがとうどざいます。そして無理なお願いであることは承知の上なのですが私と同じく大妖精があと3名いるのですがその3名とも連絡が取れずいるのです。妖精たちも近寄ることができず、わからずにいるのです」
「もしかしてそれを確認しに行ってくれって事?」
「はい」
嫌そうな表情を一瞬、出たリリネッドだった。
ネルラも大妖精に続き、頭を下げる。
「私からもお願いするよ」
「ネルラ!」
3人は顔を合わせたあとクロウが聞く。
「遠いいのか?」
「一人は深海帝国の近くにある森の奥の樹海、二人目は天界国に行くための塔の中に、そして3人目はここからはるか遠くの南の方にある双方山の中央にいます」
「一番近いのは天界国の塔だが、たしか今は入国禁止じゃなかったか?」
「なら、南に行くか、深海帝国に向かうかじゃが」
「だが、深海帝国は毒系や呪い系のモンスターがいるからそういった専門の僧侶が必要だぞ」
「なら、僧侶を仲間にすればいいだけじゃな」
とクロウとナギが話しているとリリネッドが苦痛そうな顔をしていた。
「「そんなに嫌か」」
「なんか…やることが多くって嫌だ!」
「あぁん! 3つの場所を行くだけだろうが」
「それと魔帝王を倒すじゃな」
リリネッドは女神から言われたことを思い出す。
「それだけじゃ~ないんだけどね。それにまたどんどん増えていきそうで」
「勇者ってそんなもんだろう」
「勇者の定義って何?…まあー、いいや、とにかくやろう。やらないといけないんでしょ…勇者だし」
クロウとナギはヤレヤレみたいな顔をした。
大妖精がリリネッドに近寄る。
「勇者様、お聞きくださってありがとうございます。勇者様には私の力で潜在能力を上げさせてあげます」
「急に何?」
「私(俺)たちは」」
「残念ですが」
「嘘だろう、コストの問題か?」
クロウが変なことを言ったあと、リリネッドの頭に手を置いた大妖精。
そして数時間が経った。
洞窟のダンジョンを制覇したクロウは妖精達と仲良くなったナギとリリネッドの様子を見に来た。
「「ネルラ 終わった?」」
「人ん家に来た感覚で言うな、終わってるぞ」
どう変わったのか楽しみにしていた二人はワクワクドキドキしながら見ると、リリネッドと大妖精がちゃぶ台でお茶とお菓子で楽しんでした。
「あ、クロウ、ナギ」
「何してんだ勇者様」
「いや~、立っているのが疲れたから座ってたら妖精たちが用意してくれて」
「面倒だからスルーするけど、あまり見かけは変わってないな」
「そうだね」
大妖精が口をハンカチで口を拭いて話す。
「リリネッド様の潜在能力はあまりにも小さくお時間がかかりました」
「勇者って自覚がないからなぁ」
「ですが、さすが勇者です。彼女には隠された力がりました」
「隠された力? なんじゃそれは?」
「アビリティ です。これを持つ者は選ばれたものだけです、私が知る限り、勇者・リリネッド様と前の勇者様だけです」
「前の勇者を知っているの?」
「それは…」
話を遮るようにクロウが話す。
「そういえば、ネルラ。 お前がさっきは一緒にダンジョンめぐっているときに話していたやつをリリネッドに話してやれよ」
「ああ、忘れてた」
ネルラがリリネッドに近寄る。
「勇者、貴方の職種の機能?って奴には他の職種のコピーが使えるらしいのよ。まあー私も噂を聞いただけなんだけどね」
「なんかいろいろと新しいことが増えてきた…」
「実は私の職種は猛獣使いなんだ」
「猛獣使い?」
「生き物をあやしたり、操ったり、魔力を使って作り出したりできるの」
「へぇ~、まぁ~もらえるなら貰うけど」
なんやかんやでリリネッドはサブ職種に『猛獣使い』を獲得した。
3人はとりあえず、僧侶を探しを決めて出発の準備をし始めているとき、大妖精が来た。
「皆様、すみません度々、妖精達も御礼がしたいらしく」
「貰いすぎだチートキャラにさせたいのかぁ」
クロウがツッコんだがリリネッドはとりあえず貰うことにした。
「妖精の護りです。それは貴方の魔力に妖精たちが分け与える貰うものです。魔力と同じエネルギー様なものだと思ってください」
「早く言えば魔力不足の時に使えば全回復するってことか? いいなぁ~俺も欲しいなあ」
妖精達はリリネッドにしがみついた
「そうですね。逆に言えば余分にある状態が作れるってことです」
「まあ~、クロウが貰ってもほぼ役に立たないから私が貰うよ。貰ってばかりだけど」
3人は洞窟のダンジョンを出た。少し歩いた後で洞窟の方を見るとネルラがこちらを見て手を振っていた。
「とりあえず、どっちく?」
「う~~~ん、なら天界の塔に行こうよで、嫌だけどいい僧侶がいたら仲間にしよう」
3人は新たな旅へと歩き出す。




