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追放されしニート。土地持ちとなり、異世界との交易で村興しをする  作者: バッド
4章 再会を楽しもう

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80話 ハンター3と僕

 ノリノリで作ったハンター3。その力は魔王をも遥かに上回る。ちょうどバルモグラがあって良かったよ。作る手間が省けた。


 アスモデウス様の加護の力で、このゴーレムの操作方法が頭に入ってくる。


「むぅ、馬鹿げた大きさのゴーレムを作るとは………だが、それで儂に勝てるかな? 儂もゴーレム程度作れるのじゃよ」


 シェムハザさんが杖を掲げると、魔法陣が描かれて、周囲の瓦礫が集まっていく。


『審判の時、全てを監視するもの、魔を討滅する存在。出でよ、サンダルフォン!』


 その『力ある言葉』に従い、ハンター3人と同じような大きさのゴーレムが作られる。金属製のゴーレムで、堕天使のように白き翼を備えた鎧を着た騎士のように見える。


 シェムハザさんはサンダルフォンの胸元に吸い込まれて、サンダルフォンの目に光が灯り、生命が灯る。


「ふふふ、面白くなってきたようじゃな。印の力が大天使と同等か確かめる時!」


「ムーッ、あ~ちゃん負けないもん!」


 シェムハザさんの言葉にあ~ちゃんがペチペチとコンソールを叩いて不機嫌な顔になっちゃう。魔王が大天使の力を試そうとは、たしかに不遜だ。ここはお仕置きをするしかないだろう。


「いくよ、ハンター3!」


「力をみせよ、サンダルフォン!」


 お互いが叫び、僕はレバーを握るとサンダルフォンに立ち向かう。


「まずはロロの出番うさ! ラビットミサーイル!」


 ロロが目の前のコンソールに手を伸ばしポチリとボタンを押す。ハンター3の肩が開き、先端がミニウサギの顔を模したミサイルが大量に発射される。


「なんの! ホーリーアイビームッ!」


 サンダルフォンが対抗して、目からビームを放つ。空を飛んで迫るミサイル群は白きビームにより薙ぎ払われて、空中で爆発していく。


「とやぁぁ!」


 僕はスラスターを噴射させてハンター3を一気にサンダルフォンへと突撃させる。サンダルフォンも翼を展開させて、地上スレスレに飛んでくる。


 お互いのパンチが顔に当たり、ハンター3の機体が激しく揺れる。負けずにパンチを繰り出し、お互いに殴り合っていく。


「くっ、お互いのパワーは互角のようだね」


「むぅ、これだけのパワーを引き出せるのか」


 ハンター3とサンダルフォンが殴り合いを止めて、少しの間合いを取り、僕とシェムハザさんは唸る。まさかアスモデウス様のパワーでも押しきれないとは予想外だ。


「あ~ちゃんは負けないもん! チェーンジハンター3!」


 ポチリとボタンをあ~ちゃんが押すと、ハンター3が分離して、戦闘機に変わると、すぐに合体する。今度はあ~ちゃんの座る椅子がセンターに変わり、ハンター3の姿も騎士のような姿から、丸っこい幼女の姿に変わった。


「むぉーっ! あ~ちゃん、メガトンパーンチ!」


 あ~ちゃんが叫ぶと幼女モードの足が爆発するように膨大なエネルギーのスラスターが噴出されて突撃する。ちっこい幼女タイプなのに、繰り出したパンチがサンダルフォンに命中すると、サンダルフォンの身体が大きく凹み吹き飛ぶ。


「ぬぐうっ! 先程とは違うパワーを出すだと! ならばこれで!」


『魔を討滅せし天使の羽よ、光となり展開せよ』


 シェムハザさんが動揺の声をあげて、魔法を発動させる。サンダルフォンの翼が分解されて、羽が飛び立つと、ハンター3の周囲を高速で舞う。


 そして羽からビームが放たれてきて、ハンター3の身体に命中していく。


「むー、はやくてあ~ちゃんあたらない!」


 ビームを放つ羽を壊そうと幼女パンチを繰り出すけど、羽の動きは速くてまったく当たらない。むーむーとあ~ちゃんは怒るけど、パワー主体の幼女モードは限界のようだ。


「なら、ここはロロの出番うさね! チェーンジハンター2うさ!」


 今度はロロが鼻をスンスン鳴らして、ボタンをポチッと押す。幼女モードが分解されて、次の変形はウサギモードへと変わる。コックピットのセンターはロロ。うさが主人公うさよと、ペタペタ足をステップさせてご機嫌ウサギだ。


「ラビットステップ!」


 ロロがレバーを握ると、ウサギモードの姿がかき消えて、羽から放たれたビームが空を切る。敵を見失った羽がウロウロとするが、その横にウサギモードが姿を現して、ラビットキックを喰らわして破壊しちゃう。残骸が落ちていく中で他の羽がウサギモードをロックしようとするが、また姿を消すと、羽の横に姿を見せてラビットパンチで破壊する。


 ハンター2ラビットモード。超高速機動が可能なウサギモードなのだ。その機動に羽はまったくついていけない。


「超高速機動じゃと!? くっ、指示が追いつかぬ!」


 シェムハザさんは視認できているようだが、羽へと指示を送るとなるとタイムラグが発生し、ウサギモードはそんな時間を与えない。


「うさーっ! ひっさーつ、ラビットキラーキック!」


 ロロがレバーを倒して、前のめりすぎてコロリと椅子から落ちちゃう。けれどもラビットモードはしっかりと発動すると、ぴょんと空高くへとジャンプする。そして、短いウサギ脚をサンダルフォンへと向けると、加速して突撃する。高速での一撃。風よりも速く、音速を超えて迫るウサギモードにサンダルフォンは体をひねり回避しようとするが、右腕を含めて肩ごとごっそりと削られてよろめくのだった。


「ぬぅぅぅ、これだけのパワーを出せるとは! アスモデウスの力というわけか」


 肉体を削られた個所から放電しよろめきながらも、サンダルフォンは戦いを諦めることなく、残った左腕から光の剣を生み出して構える。


「まだだ、まだサンダルフォンは力を残しておる。負けるわけにはいかぬ!」


「シェムハザさんの諦めないところは称賛するけど、そろそろ終わりにするよ! 僕の出番だ! チェーンジハンター1!」


 再び3機の戦闘機に変わると、高空へと僕らは合体して騎士モードへと戻っていく。


「きゃー、あ~ちゃんが、ひっさつわじゃ、ひっさつわじゃつかうの、つーかうのー」


 そして、必殺技はあ~ちゃんが担当したい模様。だいたい予想していたから、仕方ないなと譲ってあげる。


「ひとびとにあいのちからをあたえりゅ、あすでもうすぱわーちゅーにゅー!」


 ペチとコンソールに手をつけると、あ~ちゃんは自分のエネルギーを注入していく。パワーゲインがどんどん伸びていき、百%を越えていく。


「アスモデウスパワー百%を超えたうさ!」


「オーケだ! それじゃ、あ~ちゃん、ロロ、トドメの一撃を出すよ!」


「りょーかい!」


「らじゃー」


 ロロとあ~ちゃんの返事が返ってきて、二人と一羽はレバーを握り、コンソールにある赤いボタンを同時に押す。


「シェムハザさん、これがアスモデウス様の力。愛の力だ!」


 ハンター3の身体がエネルギーに満ちていき、足元から黄金色へと変わっていく。周囲の空間がハンター3の膨大なエネルギーの余波で歪んでいき、掌に光の剣が生み出される。


「ぬぅぅぅ、サンダルフォンよ、全てを滅する力を見せよ!」


 ハンター3が黄金色に変わっていき、そのエネルギーが莫大であることに気づき、サンダルフォンが飛び上がり、剣を振り上げて迫ってくる。


 だけどそれは少し遅い。僕は剣を掲げると、すべてのエネルギーを込める。


「今、僕らの愛の力を一つに!」


「人参への愛うさ!」


「しゅーくりーむ、あ~ちゃんはきょうはしゅーくりーむへのあい!」


「神様への愛!」

 

 二人と一羽の心はたぶん一つになり、剣が世界を照らすように光り輝き、剣身が空を貫くように伸びていく。


「ひっさっーつ!」


「らぶらぶせかいぎりー!」


「うさー」


 天を支えるかのような巨大な光の柱となった剣を振り下ろし、受け止めようとするサンダルフォンを剣ごと光の柱で押し潰す。そうして、サンダルフォンは光の中で身体が崩壊し、存在を消滅させられるのであった。


 地上に太陽が生まれたかのように爆発し、暴風が巻き起こる。地上にクレーターが生まれて、やがて静寂が訪れる。そして、ハンター3は日差しの中でキラリと輝き、その姿を消すのであった。


           ◇


「勝った………かな?」


 万魂の魔王シェムハザのせいでクレーターとなって、どこまで深いか分からない穴を見ながら僕は辺りを見回す。残念ながら、魔王の力によりそびえ立ったビル群は消滅し、だいぶ見晴らしがよくなっていた。シェムハザさんめ、なんというひどいことをするんだ。


 念の為に辺りを確認するけど、シェムハザさんが現れる様子はない。でも━━━。


「シェムハザはどうやら逃げたうさ。たぶんサンダルフォンを突撃させた時にうさよ」


「だよねぇ〜。そうじゃないかなとは思ってたよ。断末魔の悲鳴も、辞世の句も口にしなかったしさ」


 ロロの言葉にへたり込んで座ってしまう。あれだけの巨体だ。囮にするのは簡単だっただろう。こっちは切り札を使ったのになぁ。


 がっかりして、肩を落としていると


『シェムハザが隠していた高位ダンジョンを攻略しました。跡形もなく消滅させたので、中の魔物を含めてダンジョンコアの破壊も計算しまーす』


 神様のお気楽な言葉が届いてきて、さらにファンファーレが鳴り響く。


『てれれてっててー、愚民の階位を51まで上げた!』


 一気に階位が上がり、身体に力が満ち溢れていく。どうやら、クレーターにした所にシェムハザさんがダンジョンを設置していたらしい。全てを消滅させたので、経験値に変換してくれたらしい。ありがとう神様。


 愛していますと祈りを捧げる僕。これでステータス面では魔王にも負けなくなった。まぁ、問題は他にもあるんだけどね。


「まーくーん、大丈夫だったー?」


 避難していたあかねさんたちが、手を振りながら走ってくる。どうやら心配をかけてしまったようだ。


「大丈夫でーす。シェムハザさんのせいで、名古屋は更地になってしまいましたが。シェムハザさんが更地にしましたが」


 大事なことなので2回繰り返しつつ、笑顔で手を振る。激戦だった。だけど僕らは生きている。


「命がある。生き残れた。皆は復興に向けて希望を持つと思うよ」


 空を見上げて、僕は微笑むのであった。更地となった元都市に穏やかなる風が吹いてきた。

アースウィズダンジョンの漫画一巻が2025/01/24に発売します!どうかよろしくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
ハンター「3」で3人乗りだから無敵超人かな?と思ったら、3形態ある方でしたか。2の形態時は左手ドリル希望。 バージョンアップしていくのかな?「G」とか「號」とか「真」とか……。
色々てんこ盛りの戦いでしたねw できた巨大な穴はシェムハザのへそとか呼ばれそう
 幼女天使のごっこ遊びで消滅した名古屋( ̄∀ ̄)あー、まあ「昔の戦争で全部燃やされたから街の道路が日本1大きく出来た!」事を誇りにしてた人たちだから更地にされても「今度は12車線オーバーの世界1の道路…
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