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追放されしニート。土地持ちとなり、異世界との交易で村興しをする  作者: バッド
4章 再会を楽しもう

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65話 ミカリンと話す僕

 怪しげな妖精ミカリン。白い翼をパタパタ羽ばたかせて、僕の周りを回りながらスマイルを見せるけど、どうにもあざとい感じがするよ。


 とりあえずは、ルルたちを弾くほどの力の持ち主だ。話を聞いてみるかな。


「『謙譲』と『節制』ということは、僕は『謙譲のダンジョン』で『謙譲』を手に入れていた、ということですか?」


 目を細めて警戒しながらミカリンを見ると、パンと手を打ち我が意を得たりと、ニコニコと顔を近づけてくる。無邪気な可愛らしいスマイルに見えるけど、演技しているな、これは。


「そのとおりですぅ、まーたん。簡単に推測してくれて助かります〜、キャピッ」


 目の前でブイサインをして嬉しそうに笑うミカリンだけど………どうしよう、この妖精ウザい。はっ、いやいや、清廉潔白、品行方正な気弱なお人好しのマセット君はそんなこと思わないよ、本当だよ。話が終わったら、殴ってやろうとか思わないよ。


「『謙譲』の印を手に入れたまーたんはぁ、なんと『譲りません』!」


「? 何を讓らなくなれるんですか?」


「それはですねぇ〜、な、なんとぉ〜、『魂を讓らない』んです! パチパチパチパチ〜、すごいですよね?」


 拍手をするミカリンの言葉に、ピクリと眉を跳ね上げる。『魂を讓らない』? それはもしかして………。


「ジュデッカ皇子たちを唆したのは貴女ですか? 『魂支配』を解除させましたね?」


「えへへ、そのとおりぃ〜。彼らにはそんな神級の力を持つ6個の印を渡しました。既にまーたんが1個回収しましたが、どの印もルシフェルからの『魂支配』を逃れる能力を持ち、しかもルシフェルからの力の供給は得られるんです。夢のような力ですよね? ね、ね?」


「………力の供給を得ながら魂は渡さないのは契約不履行に見えますが、神様は気にしないでしょう。その力が僕にも宿ってると?」


「は~い、そしてぇ、『魂を捧げた相手を眷属にできる』が、『魂を讓らない』ことに繋がるのです〜、即ち、ルシフェルの力の供給を得つつ、まーたんの眷属にすることができるんです!」


 なんか、国の中に国を作るような卑怯な力に聞こえるけど………。


「土竜人を唆したのも貴女ですか。魂を捧げれば良いことが起こるとでも説明しましたか?」


「ふふっ、ビンチョーには貴方を殺して、マセット村を支配するか、負けたら貴方に魂を捧げて、眷属となり保護されるか、を囁いただけですよぉ〜。キャピッ」


 どうりで怯懦な土竜人が僕に喧嘩を売るはずだ。にしても、この妖精の囁きを信じるとは……土竜人は相変わらず、目の前の利益しか見えない人たちだ。


「『魂を讓らない』のが、謙譲。『魂を太らせない』のが節制かな?」


「せいかーい! まーたんの魂を太らせないで、その力を直にエネルギーに変換出来ます〜。なので、まーたんの経験値テーブルは他よりも遥かに低いはず。これから先も印を集めていけば、さらなる強力な力を手に入れることができますよぉ」


 キャピッと笑うミカリンだけど、予想以上に良い効果があった模様。だから階位を29までたった3日間で上げられたのか。少し早いなぁとは思ってたんだよね。


「ここまでしてくれる理由はなんでしょうか? ミカリンにどんな利益があるのですか?」


「それは〜、今はヒ・ミ・ツだよっ! それじゃ、ミカリンは帰るねぇ、そろそろ気づかれそうだし。キャピッ」


 そう言うと、ミカリンは姿を消して、停止していた時間が動き出す。


「許してくれるもぐ? サプライズだったもぐよ? マセット様に忠誠を誓うもぐ」


 ビンチョーさんとの話が再開された時点に戻り、ビンチョーさんは鼻をヒクヒクとさせて、ねぇねぇとつついてくる。


 その可愛らしいもこもこの姿に、頭を撫でてあげつつ、横目でこっそりとルルたちの様子を窺う。たしかにミカリンの言っていたとおりに、次元の位相がズレていたことに気づいてはいないようだった。


「あっという間に終わっちゃいました……もう少し見応えがあると思ってたのに………」


 ワンカップ片手にスルメをはむはむして残念そうにしているので、普通に気づかない可能性は大だけどね。だけど、なんでルルたちが急に僕の周りに居着いたのかの理由は判明した。


(『魂支配』は相手のステータスや所在地、そしてその記憶や考えていることを全て見ることができると推測されている。なのに、僕の力が見えなくなったから、違和感を持ったに違いない)


 単に僕の様子を見れないだけなら、すぐに対応をしてくるはず。違和感を持ったけど、確信がないから、近くにいるんだな。


 神様は常に地上にいるが、同じ人のそばにいるのは長くて数週間。おかしいとは思ってたんだよね。


 『魂支配』。神様の絶対なる優位は『魂支配』にあるのだ。その優位が世界を支配する絶対の力になっている。それが崩された時に神様がなにを思うかというと………。


 うん、笑って気にしない予感がする。彼女は面白いことが大好きだ。自分の支配体制が崩されても、面白い結果になる方を楽しむからね。のんびりとした支配体系よりも、争いの世界を望むのが神様ルシフェルという存在だ。


 ならば、僕も神様ルシフェルの望む方向に行動するとしよう。愛すべき神様ルシフェルの望みとおりにね。


 それに僕にも眷属ができるなんて、とっても興味津々だよ。きっと性格の良い善人軍団になると思うんだよね!


「ビンチョーさん。貴方の忠誠をもらいましょう。その魂も」


 ニコニコと土竜人の毛皮を撫でる。うさぎとはまた違ったもふもふで、撫で心地が良い。でも、僕が素直に返答したのに、なぜかビンチョーさんは怯んだ顔で口元を引きつかせる。


「魂も!? え~と、それは言葉の綾と言いますか〜」


『謙譲の力により、土竜人たちを眷属にしました』


 ピロンとログがでてきて、ビンチョーさんたちを眷属にしたお知らせがくる。でも、ログの声が神様ルシフェルではない。介入しているものがいるらしい。


「おめでとうございます、領主様。どうも面白い力を手に入れていたようですね」


 のしーと背中からのしかかり、ふ~と耳元に息をかけてくるルル。ルルの体温と柔らかさに少し照れちゃうよ。


「うん。気づいてたでしょ? 早く教えてくれれば良かったのに」


 まるでおもちゃを見つけたかのように、目をキラキラとさせて僕の肩に顔を乗せてルルが見つめてくるので、ジト目で言う。


「やですねぇ、領主様。レールの敷かれた決められた運命なんか面白くないじゃないですか。荒れ地を歩いていくのが面白いのです。なので、どんどん動いてくれて構いません。その結果が私の総取りでも、負けて破産しても。負けるつもりはサラサラありませんけど」


 スリスリと頬擦りをしてくるルルの口元は妖しい笑みが浮かんでおり、すべすべ肌を僕の頬に擦り付けられて、僕としては嬉しい限りだ。サラサラの銀髪が肌を撫でてこそばゆい。


「それじゃ、これからも僕は僕らしく行動するとするよ。でも、お人好しの僕だから、なかなか勝つのは難しいと思うけどね」


「私も気弱で受け身の小心者なので、勝つのは難しいかもしれません」


「あ~ちゃんはまぁしゃんの味方をするでつ! だから、抱っこして、抱っこして!」


 ふふふと笑い合う僕とルル。そして、よじよじと登って僕の腕にぽすんと滑り込むあ~ちゃんでした。


           ◇


「なるほど、眷属ということは、ビンチョーさんたちはうさぎ天使と同じ感じになったのか」


「完全ではないですよ。半分天使になっただけなので、不死ではありません。ですが、『幻想の扉』を潜り抜けることは可能となったようです、領主様」


 マセット村に鉱石を満載した大八車をビンチョーさんたちの操るゴーレムで引いて帰還して、眷属となったビンチョーさんたちの力を検証していたところ、予想外の力に驚いてしまった。


 ライバル関係になっても仲良くする僕とルルです。それにしても性能を調べるのに、ルル以上の凄腕はいない。


「えーと、もぐたちは鉱石を運んでくれば良いんでもぐよね? この扉を潜り抜ける必要あるもぐ?」


 ビンチョーさんは幻想の扉をペタペタと触り、鼻をヒクヒクとさせて、僕をチラチラと見てきて不安げだ。僕は優しい主人公だから、そんな無茶な仕事はさせないのに心外だよ。


 なんと『幻想の扉』を認識できることが判明したのだ。扉を触ることができるのが、その証明だ。


 でも、異世界に移動できるとなると………だいぶ助かるな。


「ひぃ~、親方が恐ろしい笑みをしているもぐ」


「可愛らしい顔なのに、恐怖を感じさせるって、ある意味すごい親方もぐ」


「あばばば、もぐ帰って良い?」


 ビンチョーさんたちが恐ろしいものでも見たかのように、プルプルと震えて部屋の隅に逃げてるけど逃がすわけがない。


「ビンチョーさん、鉱石の採掘と共にゴーレム作成の力をフルに使って欲しいんです。できますよね?」


「えぇ〜、もぐたちはのんびりと暮らしたい………なんでもないもぐ。了解したもぐよ、親方!」


 面倒くさそうに鼻をヒクヒクとさせるけど、僕がニコニコと微笑むのを見て、なぜか敬礼して返してくれる。うんうん、聞き分けの良い人は大好きだ。


「鉱石もたくさんあるし、火炎アリを倒した際の魔石も隠してませんか? それも全部ください」


「え~っ! それは税金にしても高いもぐよ?」


「以前から持っていた財産は領主暗殺の罪と相殺して、全て没収です」


 ブーブーと文句をつけるビンチョーさんたちにニコリと微笑む。僕はお人好しだから、それで終わりにする。優しすぎるかもしれない。


「もう火炎アリの産卵は不可能ですか? あれができれば、無限魔石稼ぎができるんだけど」


「元から産卵した状態のものしかなかったもぐよ。ゴーレムクイーンでは、支配はできても産卵して無限魔石稼ぎはできなかったもぐ」


「それは残念です。でも、それができれば帝国が同じことをやってますもんね」


 そう上手くいかないか。でも、山のように運ばれる鉱石と魔石があれば、マセット村2号もまともな村にすることができるかも。


「それじゃ、マセット村2号にしゅっぱーつ! しっかりとついてきてくださいね」

 

 まずは金属武具を作ろうかな。

アースウィズダンジョンのコミカライズがやってます。ピ〇コマなどで見れますので、よろしくお願いします!ピッ〇マなら、最新話以外は無料で見れます!

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― 新着の感想 ―
ほんと醜悪なモグラだなぁ。 開始からバリバリ裏切ってたし、好きになる要素無さすぎる。
なるほど急に付近うろうろ神が増えたのはそういう理由だったのですねぇ 悪魔たちは賑やかなのが好きだし確かに喜びそうでもあるなw これでマンマセットはコマからプレイヤーへ昇格みたいな感じなんですね 卵残念…
 やっぱりルルとあーちゃんはファンタジー世界の神々の地上での現し身な模様(´Д` )なろうやラノベを読み込んでる読者には混沌と秩序の担い手らしき連中の勢力争いとかすんげー厄介な事に巻き込まれてるのがわ…
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