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追放されしニート。土地持ちとなり、異世界との交易で村興しをする  作者: バッド
3章 村を復興させよう

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39話 野菜ダンジョンの報酬をもらう僕

 キングベジタブルが燃え尽きて、ズズンと倒れる。倒れた後に幹から巨大な水晶が姿を現す。ダンジョンコアだ。そこまで良いダンジョンコアではないが、願いは叶えてくれる。


 さて、なににしようかな?


「ジャジャジャ………」

「ににににに」

「キャ、キャキャロットォォォ」


 ビルの各所から、ダンジョンボスが倒されることにより、野菜魔物たちの断末魔が聞こえてくる。ダンジョンに属している魔物たちは倒された瞬間に消えるルールなのだ。


「ロロのキャロットがぁぁ〜」


 一羽だけ、悲しむ声が聞こえてくるけどスルーで良いだろう。食べすぎると太るからちょうど良いでしょ。お腹がぽっこり膨らんでるじゃん。


「ダンジョンコアのガチャも良いなぁ。あ~ちゃん連れてこようかな。きっと良いアイテムが出てくると思うんだ。恐らく確定で」


 ふふふーんと、ご機嫌マセット君が、ダンジョンコアを見上げて呟くと、


「それは禁止ですよ、マセット。単発ガチャULウルトラレジェンド確定とか、きっとまもるは憤死します。相変わらず酷いことばかり考えるのですね。運営ルシフェルが貴方に目をつけるわけです。最近の修正パッチは全部貴方が原因でしたから」


 後ろから冷ややかな声がかけられるが、驚くことなく振り返り、にこりと微笑む。


「これはベルさん。ローズさんの修行は終えたんですか?」


「今、彼女は誠心と料理の部屋で大根の桂剥きをしています。0.1ミリ以下の薄さで剥けないと最初からやり直しになる世界なので、あと数時間は出てこられないでしょう。ちなみに1時間が10年に感じられる部屋ですけど」


 淡々と言うのは、昨日から僕に仕えることになったベル・ルーザーさんだ。腰に手を当てて、黒曜石のような麗しい瞳に僕を映す冷たさを感じる整った小顔に、鴉羽根のように艷やかで滑らか黒髪を腰まで伸ばし、小柄な体躯の美少女だ。黒いドレスを着ており、ふわりとスカートが花咲くようにたなびく。胸はこれからの成長を祈りましょうという感じ。


「ローズさんは帰ったときには料理の達人になってそうですね。で、なぜここにいらしたのですか? そして、なぜ僕の頬を抓るんですか?」


 むにーんと、頬を伸ばされているマセット君です。人の心を読まないでほしい、一応人間ということにしてるでしょ。あんまり隠す気が無いのはいつも通りだけどさ。


「それはもちろん美味しいもののため、です。いい加減、グーマの土地で作物を作って至高の料理を目指してほしいんです。あそこがどれだけ放置されていたことか。やきもきしてたんです。あと、世間はこのスタイルを望んでるんです」


「てい、あだっ」


 胸をそらしてアピールしてくるので、たしかに小ぶりでも柔らかで気持ちいいねとワキワキさせたらポカリと殴られた。


「躊躇いという言葉を辞書に書いていてください、マセット。で、話を戻しますが、そのダンジョンコアに願うのは『太陽たるバアルの世界野菜樹の苗』にしましょう」


 全然恥ずかしく思ってないのに殴ってきたベルさんがダンジョンコアに願うものを勧めてくれるけど、それって駄目なんじゃないのかな?


「直接伝えて良いんですか? 直接干渉するのはルール違反では?」


「なんのことか分かりませんが、世界のルールに反すると言われると、答えは一つです。この世界は異世界なので、世界のルールにはあまり縛られないと」


「あまり縛られない?」


「運営は直接戦闘などはできませんが、このくらいの忠告はできる、と言うことです。なにせ、異世界であり、このダンジョンは運営が用意したものではありませんので」


 キングベジタブルの残骸にぽふんと座ると、僕を見て、少し困った顔になるベルさん。ふむ? ダンジョンは神様からの人類への試練と贈り物。なのに、違う?


 僕の戸惑った顔を見ながら、残骸となった枯れ木をベルさんはポンポンともて遊ぶ。どうやら深刻な理由があるらしい。


「それは追々と分かることでしょう。今言えるのは運営はこの世界のダンジョンや『魔の亀裂』に関わっていないということ。干渉できませんが、ダンジョンや魔物のルールは同じということ。それだけです」


「なるほど………何者かに丸パクリされたと。セキュリティどうなってます? ルールが同じということは、敵は丸パクリはできたものの中身を弄ることはできないんですね」


 ゲームを盗まれたようなもんか。ルールを変えられないのは、盗んだだけで、管理者権限は奪えなかったからに違いない。だから、丸パクリでダンジョンや魔物を出現させていると。でも、あ~ちゃんのガチャは反応してたから………もしかしなくても、瘴気エネルギーの出処は同じなんじゃ………。本当に干渉できないのかな?


「鋭い推論をしなくても良いですよ。運営は予想外なれど、この状況を楽しんでいます」


 考え込むとポカンと枯れ木で叩かれちゃった。まぁ、神様がこの状況を楽しんでいるのなら、神様を愛する僕は気にすることはない。


「わかりました。では、ダンジョンコアに願いますね」


『太陽たるバアルの野菜世界樹の苗をください』


 ダンジョンコアに願うと、発光してコアはその姿を変えてゆく。光でできたスライムのように変形をして、やがて一つの苗へと変わるのだった。


「考えましたね。たしかにこの苗ならグーマをなんとかできるかもです」


「そうでしょう。美味しい物を作れる肥沃なる土地。それを利用する方法は少し考えれば思いつくはずなのに、これまで誰も思いつきませんでした。私は今か今かと、料理が奉納されるのをお箸を持ってワクワクと待ってたのに」


「一応ベルゼブブ様がということにしておいてください」


「言い間違えました」


 苗を拾い上げて振り向くと、けろりとした顔で宣うベルさんでした。


 とはいえ、たしかにこの苗を使うのは盲点だったよ。誰も思わないに違いない。


 ━━━なにせ、この苗は呪われているからね。


           ◇


「マセットさん、無事だったか! 心配したぞ」


 帰途につく僕たちに追ってきたのだろう礼場さんたちが安堵の表情で駆け寄ってきた。


 ベルさんはさっさと帰ったので、僕とロロはポテポテとのんびりと帰ることにした。リュックには枯れ木が満載されており、ロープで残りの枯れ木も纏めて引き摺っています。キングベジタブルの枯れ木は良い素材なんだ。放置することはできないんだよね。


「心配おかけしました。でもそれだけの苦労はあったようです」


「なんでそんなにたくさん枯れ木を運んでるんですか? 薪に使うんです?」


 実乃梨さんが僕が引き摺っているものをちらりと見て、不思議そうに首を傾げる。たしかによく乾いた枯れ木なので薪にピッタリだ。でも、違うよ。


「この枯れ木は後でヒノキの棒や棍棒にしようかと思ってるんです。木刀も良いですね」


「魔物を使って武器を作ろうというのかい? だが、加工してもゲームのように武器を作れないのは企業が失敗しているからわかって………そうか、クラフト系の持ち主なら、君ならできるのか」


 なかなか鋭い礼場さんだ。


「でも、木刀やヒノキの棒じゃなぁ。俺たちこれでも合金製の武器を使ってるんだ。これは鉄よりも硬く、しなやかで、斬れ味は悪いけど高価なんだぜ」


 幼女を信仰する小鉄さんが自慢げに斧を見せてくるが、それ魔力含まれてないから。コケ脅しの武器だから。


「そうそう。この槍も五百万円したんだ。冒険者になる前なら、鼻で笑って絶対に買わないものだったけどな」


「へー。それが五百万円ですか。なるほど参考になります」


 これから売る武器の参考にしよっと。もちろんお人好しの僕は格安で売るつもりだ。


 そうして、この周辺の魔物が消滅し、のんびりと『陸の家』に帰る。


「ただいま帰りました。ローズさん、大丈夫でしたか?」


 魔物との命懸けの戦闘を繰り広げていた僕よりも、ローズさんが心配です。扉を開けてチリンとドアベルが鳴る。


「イラッシャイマセ、イラッシャイマセ。アイテルセキニドウゾ」


「良かった、大丈夫のようですね」


 ふぅ、良かった、良かった。


「いやいや、動きがなんかカクカクとしてるよ? 私たちが出ていった後になにが起きたんですか!?」


 実乃梨さんがはわわと口を押さえてるけど大丈夫。


「接客を学んだんですよ。立派になりましたね、ローズさん」


「全て私の教育の賜物です。この子はもうどこに出してもおかしくない立派な料理人になりました。とりあえず私にたっぷり野菜のハムサンドをください」


「ハムサンドヒトツウケタマワリマシタ」


 うぅと感動で泣いちゃう僕に、先に帰っていたベルさんが胸を張り、注文を口にする。注文を受けてカクカクと動き出すローズさん。


「おかしいですよ!? おかしい料理人になっちゃってますよ?」


「あまり気にしないでください。きっと話し方はすぐに戻りますよ」


 信じる者は救われる。ローズさんはいつかは元に戻ると思うんだ。


 実乃梨さんはアワアワと心配げにローズさんを見ているが、手慣れた様子でサンドイッチを作っているので大丈夫だよ。メニューもいつの間にか『美味しいカレー』と『ソースの匂いが香ばしい焼きそば』と『たっぷり豚骨醤油ラーメン』に変わっていて美味しそう。僕も頼もうかな。礼場さんたちも少し戸惑ってはいるが、注文を始める。


 備え付けのテレビを見ながら、氷の入った水を飲む。疲れた身体に冷たい水が染み渡って美味しい。あ〜、疲れた。それにしてもテレビって、不思議だなぁ。ホログラムの神託に似てるな。


 画面には老人が出演しており、なにか重々しい雰囲気だ。


「あれは首相じゃないか? なにかあるのか?」


「いやーな予感しない? 最近は首相が出ると増税とか、土地の放棄とかじゃない」


「しっ。話し始めるぞ」


「カレーを追加で注文お願いします」


 礼場さんたちが顔をしかめて静かになり、バイトで来たはずのベルさんはパクパクと料理を食べまくる。そうして首相とやらが口を開き━━━。


「今回の発表は正式な国土の一部治安放棄です。遺憾ながら、魔物の数は多く、治安維持のための警察官の死亡率は高い。そのため、発表する区域においては防衛、治安を放棄します。安全区域への移動の補助金を出しますので、対象区域の国民はすぐに避難を開始してください。繰り返します………」


「おいおい………ここらへんも放棄区域に入っちまってるぞ………」


「わ、私の住む区域もだ………」


 どうやらなにかとんでもない発表があったらしい。礼場さんたちが騒然となる中で、僕は水をもう一口飲むのだった。うん、お水美味しい。

アースウィズダンジョンのコミカライズがやってます。ピ〇コマなどで見れますので、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
ご飯は美味しい方が良いし、手抜きでボッタクリ考えてたより良いでしょう。
ニート時代も気になる関係性ですねぇ ローズさんこれでどこに出荷しても恥ずかしくない子に……
最初の話で攻略されたダンジョンの時に何度もクリアできて王子が即再挑戦してクリアできるから崩壊させなきゃってなってたからもしかしてショートカットが容易いこのダンジョンは周回に最高なのでは?
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