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第十八話 ➂ ユーネの勝ちだ!


「キョ~ウ!一人で先行し過ぎだ~!」

どうやら、パーティー闇夜のナントカ団のメンバーのようだ。

森から現れたのっぽ男とぽっちゃり男はユーネ達を見ると同じように一通り驚くと、こちらの意見は聞かずに迷子だと決めつけ村に連れて戻った方がいいだろうと言いはじめる。


「ねぇ?ルウ。あんなこと言ってるけど、どうする?巻き込みたくも、込まれたくもないしドロンしちゃう?」

「ん~ちょっと待って。私は一応その開拓村ってところに行ってみたいわ。そしたらここが何処かわかるかもしれないし」

正直ユーネとしてはこんなダサい名前のパーティーに平気で所属している人間とはあまり関わり合いたくないというのが本音だけど、ルウの言う通り今いる場所すらわからないのはそれはそれで問題だ。


すぐにあの遺跡男が見つかればいいけど、あいつはもうユーエルに関わりたくないと言っていたし、もし数日かかるとなったら食事や寝る場所など色々考えなきゃいけなくなる。

そうなれば、ユーネ達の街と同じ名前の怪しい村に行ったほうが便利であることは間違いない。


「気持ちはわかるけど、少し気を抜いた方がいいわ。勿論あなたが早くあいつを倒したいというのはわかるけど、だからこそ万全の準備しておくべきでしょ」

「まぁ…ね」

「ユーネの考えているとおり、確かに疑問に思うところは多々あるけど、少なくとも敵意があるようには思えないわ」

「まぁ…ね」


「何してんだよ。ほら早く準備しろって。裸足で森の中を歩くつもりか?それともおぶった方がいいか?」

ユーネの不安をぶった切るようにキョウが、空気を読まずに割り込んでくる。

しかも、もう村に行く事は決定しているようだ。


「ほら、行きましょ」

ルウのダメ押しにやむなく靴を履き、キョウの質問を無視して先行して歩き出す。

数メートル進んだところで呆気に取られる面々を振り返り、両手を腰に当てる。


「もう何してるの!?早く行くよ!」

まったくとため息をつく幼女に、すまなさそうに駆けよる大人たちの姿は、なんとも言えないものがあった。



     ◇



ユーネは互いに自己紹介をしてから、夜のナントカ団と他愛もない会話を交わしながら森を進んでいく。

無言で歩いいていると変な空気が広がって、居心地が悪いから仕方なくだ。

そう、別に心を許したわけじゃあない!


「そう言えばあんた達はなんで、こんな深い森まで来てたの?やっぱ魔物退治?」

「いつもそうなんだが、今回は一時間ぐらい前に突然森がピカーって光ったせいさ。もの凄い光でよ。ほっとくわけにもいかないってことで調査の為に組んだパーティーがぁ~~~」


「「「闇夜を切り裂く月影の牙!」」」(ヤミヨヲキリサクゲツエイノキバ!)


突然メンバー全員で森の狭い獣道を塞ぎ組体操もどきを決めて声は張る。

ぴったりと息があっているとこから、こんな日の為に常に三人で練習していたのだろう。

一糸乱れぬそのポーズをとる彼らの顔はかなり誇らしげだ。


「あ~。そう。うん。わかった」

勿論、ユーネ達にそんな想いなど届くわけはないのだが。一応満足したのか、今度はキョウから質問が飛んでくる。


「そうかそれは良かった。で、鑑定スキルも効かない怪しいお前たちはなんであんなところにいたんだよ。間違っても子供が行けるようなところじゃないぞ」


気軽に話すその目には笑っているように見えて、奥に冷たい光が灯っている。

こっちが疑っていたように、あっちも疑っていたようだ。

調査に来たと言っているのだから、当然といえば当然の話だ。

危険な森の奥で猫と話す少女が無邪気に水浴びをしているのだ。どう考えても普通じゃない。


だが、このユーネちゃんにぬかりはない!

伊達に日頃からルウに怒られているわけじゃないからな!


「それがユーネ達にもわかんないだって。いきなり怪人がぴかーって光ったら、ここに居てさ。ほら迷ったら下手に動かない方がいいって言うじゃん?だから、取り敢えずあそこに居たってわけ!あ、怪人ってのは人を襲う悪いやつね」


「怪人?人を襲うだと?」


ほ~らね!こんな時は嘘とホントを混ぜて、相手にハテナマークが浮かぶワードを入れてやることで気を逸らしてやる!しかもカワイイ女の子ポーズでだ!

フヒッ!どうだ!ルウにも効くとっておきだ!


「おい、キョウ。今の話が本当なら、あの魔力を含んだ光もその怪人とかいうヤツのせいかもしれない。これは村の連中にも警戒するように伝えておくべきじゃないか」

ナントカ団の仲間たちも話に入り深刻に話始めた。

彼らにとってもここは、まだ未開の地であるのだから子供の発言でも警戒しておくに限るというのは当たり前の話だろう。

ククク、ユーネの勝ちだな!



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