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第十八話 ➀ ここはどこ?


予想外の光景にユーネがポカンとしていると、逆さのピラミッドから倒したはずの遺跡男の声が聞こえてくる。


「お前に対して思うところはあるが、正直もう関わりたくない。いや関わることはないというべきか。どっちにしろ準備は整った今、私は私の目的を優先させてもらう」


渦巻く雲がピラミッドを中心に一瞬で消えさる。

それはそれだけの力がピラミッドから発せられたという事だ。

何をするつもりかしらないが放たれた魔力があのデカブツを遺跡男で間違いないと伝えてくる。


「逃がしはしないって言ったよな!」

色々と疑問はあるが今はそんなのどうでもいい。倒しきれていないなら今度こそ!と地面を蹴り飛び立つ。

それに明らかに何かしようとしているのだ。それをのんびり見ているほどユーネは空気を読むタイプじゃない。


ピラミッドの周りの景色が回るように歪んでいく。やられる前にやらなければならない!


「ユーネわかってる?アレはワールドエンドクラッシュが効かなかったから、まだあそこで浮いているのよ」

「わかってるって!半端な攻撃は効かないってことだよね!」


ピラミッドの先端にひっかき傷のようなものがあるのが見える。

あの程度しかダメージが入ってないことに、正直ちょっとビビった。だってさ、なんだかんだで大真面目に撃った必殺技なのよ。

それがあの程度って…たまたまか。それともトリックか…いや、今はそんな事はどうでもいいね。

とにかく全身全霊で握りしめるバイトオフザソウルを直接叩きこむだけだ。


そんなことを考えていると歪む景色はピラミッドを巻き込み、絵具を混ぜたようにグルグルと溶けていく。

見た事のない異様な光景だが、躊躇してはいられない。

体を真っ直ぐ伸ばし更に加速して、魔力の膜のようなものを突破すると、目の前のピラミッドに向け大きく振り被る。


「どおおおりゃああ!!!」

消えゆこうとしているピラミッドの先端に振り下ろされた大斧はぐにゃりとスライムでも切ったかのような感触を手に伝え、先端から溢れ出る光に包まれていく。


「ユーネ!離れて!」

「わかって、わああああああ!!!」


ユーネ達の悲鳴が鳴り響き真っ白な光が街を染めあげると、フジザクラタウンではさっきまでの喧騒は嘘だったかのように静まりかえっていった。


突如襲った眩しさに閉じていた瞼を開けたリーヴルの目には、今の今まで戦闘を行っていたはずの黒騎士と怪人の姿はもう何処にも見当たらない。

ただ晴れ渡った夜空にうさぎが餅をつく姿だけがあるだけだった。


「どこに行ったんだよ。ユーネ…」


     ◇


眩い光包まれると、大きな流れに巻き込まれどこかに流されるていく感覚に包まれる。

抵抗しようにも様々な景色が無理矢理、頭に入り込んで来て痛みでそれどころではない。

いつの間にか意識が途絶え、気が付いた時にはうっすら濡れた下草の上で横になっていた。


「え?ここ…どこ?」


強引に目の奥へと入り込んでくる木漏れ日を無視しながら目を開けると、まず胸の上で寝ているルウが目に入る。

勝手に変身が解けているようだ。

「ルウ。ちょっと起きて。ユーネ達なんか変な所にいるよ」

艶々な毛をさすると、大きなあくびをしながら目を覚ます。


「ねぇ変なところにいるって」

ルウも辺りを見回し慌てて起き上がる。

「何処よここ!?」

「そんなのユーネが知りたいよ!」


圧倒されて半開きの口をそのままにした二人がいる場所は濃い緑に包まれたどこかの森の中だった。

人が踏み入った痕跡もなく、フジザクラタウンの森と比べて明らかに大きな原生的な植物が生い茂っていることからかなり深い森の中にいるのではと思われた。


しかもだ。さっきまで真夜中だったのに、いつの間にか太陽が真上に見える。

時間がズレてる?…それだけ長いこと眠っていたのだろうか?

同じ様に驚くルウの耳が向きを変えながらピクピクと動く。


「あっちに水の流れる音がするわね。取り敢えずあっちに向かいましょ」

遺跡男の気配も無いし、取り敢えずはルウの言う通りそっちに向かう事にした。




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