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第十七話 ⑦ あそばせだ!



さくらみこさん(ホロライブ二次創作)を書いてみましたので、お時間があるときに読んで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。



「なんでオレが自分の店をわざわざ燃やさなきゃいけないんだ!」

「そんな事は知りません。が、聞き込みによると火事のあった時あなたは近くの酒場で食事を摂っていたそうですね。おかしいですね。店主が店にいないのに使用していないオーブンが爆発した。…あれ?マッシさん。あなたもしかして、すぐに帰ってくるからとか思って火を消さずにそのままで出かけたりしてませんよねぇ~」


「なっ…そんな訳ない!オレはプロだぞ!火なんか消したに決まっているだろ!!」

「そうですか。ではもう一つお伺いしたいのですが、先程あなたこの瓦礫の山を見て、開口一番、爆発するかもしれない危ない場所と仰っていました。火事なのに爆発するとか実に不思議な言い回しです。そもそも外にいたミトラちゃんの魔法が原因だと主張するあなたから、また爆発がおこるかもしれないという言葉が真っ先に出てくるのは何故ですか?」

「そ、それは…」

後ずさるマッシを取り囲むように衛兵たちがゆっくりと動き出す。


「答えられないなら、ユーネが答えてあげましょう。それはあなた自身が、オーブンが爆発した事を始めからわかっていたからです。あなたはケーキを焼くプロであっても犯罪のプロじゃあない。爆発で火事が起こった証拠が見つかってしまうかもしれない、もしかすると女神石にまだ魔力が残っていて引火するかもしれないという危機感から、一刻も早く現場を離れたくなってつい口をついてしまったのでしょう」

ユーネ言葉に虫眼鏡が中の歪んだマッシの顔色がどんどん青ざめ俯き始める。


「うぅ…そうだ。お前の言う通りだ。やり直す金が欲しくてつい…そうすれば、マウイの店にだって…」

だが、彼はそこまで言うと急に顔を上げてユーネを睨みつける。


「だがな!オレの店は領主さまのご用達なんだぞ!オレが一言進言するだけでお前らなんか、どうとでもなるんだ!」

支離滅裂な言葉を発しながらマッシは腰の包丁を抜き、ギラりと光らせる。

やっぱり様子がおかしい。


「御用達まで受けたフジザクラで一番のケーキ屋なんだ!そうだ一番だ!マウイの店にも負けてない最高のケーキを出しているんだ!それをこんな所で終わらせてたまるか!邪魔すると言うなら容赦はしない!」


「…お前の店の御用達は随分と前に取り消したはずなんだがな」

突然どすの聞いた女性の声が狂気が溢れる場に響く。

一瞬みんなユーネかと思ったが本人も首を振って否定する。


そんな戸惑いの中をブーツの足音と共に現れたのは、ふわりとパーマのかかったピンクのモヒカンに大量のピアス。

鋲の目立つレザージャケットといういかにもな、パンクファッションに身をつつんだ年齢不詳の女性だった。

その女性を見た大人達が一斉にハモる。


「「「領主さま!?」」」


当然ユーネたちは、領主の顔など知らないものだから目を丸くして驚く。

本物だったら申し訳ないが、これは仕方がないだろう。


「領主さまって、もっと、こう…」ミトラちゃんがぼそりと呟く。

「うん。わかる。わかる。領主って字ズラは、あんなシャウトしそうな感じじゃないもん」

「でも間違いないんだよな~もう昔からあんな感じで、若い時なんかもっと尖っててさ」

ポンと肩に手を置かれ振り返ると、お父さんとマウイのおっちゃんが立っていた。


「お父さん!もしかして、お父さんが呼んできたとか!?」

「ああ。昔からの顔見知りだから、なんとかしてもらおうと思ってな」

肩をすくめるアキラに不敵な笑顔で領主の女が振り返る。


「もちろん領主の私にわざわざ足を運ばせたんだ。これは貸しだからな。アキラ」

「わかってるって。何か困りごとがあったら一つだけ手伝ってやるよ」

言質を取ったといわんばかりにふんと笑い、マッシへと向き直る。


「さて、それでだ。街のケーキ屋でしかないお前が、なんの権限があって私の名前を勝手に使っているんだ?」

「いやだってオレの店が無くなるのは領主様だって困るでしょ?だからですよ。むしろ感謝してもらっていいですか?」


「はぁ?…なんだコイツは…」

「でしょ?だから、ユーネがぶん殴ってやろうとしてたの」

「あぁ?アキラの娘か…?うん、まぁそうだな。気持ちはわからんでもないが…」

と言葉を濁し、顔をしかめて横から出てきた少女に少し黙っていて欲しいなという思いを乗せた目を向けるが、少女はそんな事まったく気にした様子はない。


「だからぁ、今から根性の(フィスト)くらわせたるから覚悟しろよ!」

それどころか、拳を鳴らしながら歩を進めていく。

「ちょっ!待て!待て!待て!お前あのナイフが見えないのか!」

鼻息荒く踏み出す少女を、領主が即座に後から抱え上げる。


「こら、ガキ!あれはオモチャじゃないんだぞ!大怪我をするんだぞ!」

彼女はきょとんとする少女に話が通じないことがわかると、親へと矛先を変える。

「アキラ!お前自分の娘にどんな教育をしてんだ!刃物をもった男に拳を振り上げようなんて、どう考えても異常だぞ!」


いや、まぁ確かに。言われてみるとそうだとユーネも反省する。

もうちょっとおしとやかな感じで、覚悟あそばせ!って語尾に入れておけばよかったのだろう。

うん、次から気を付けよう。覚えていたらだけど。




読んで頂きありがとうございます!

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