表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/171

第十六話 こぼれ話 ② 守らなければならない。


カードゲームのイベントがあったり、ワイバーンが着たりと昼間は色々あったが、深夜になるといつものように街は静まりかえっていた。


ある家の屋根裏では、無遠慮に入りこむ月の光がベッドで横になる兄弟を照らしている。


目を閉じる弟の隣で、月の光から目を逸らすように兄は天井を睨んでいる。


「…兄ちゃん」

「まだ起きてたのか?明日起きれないぞ」

そう弟をたしなめながらも、自分も目が冴えて眠気など一分もありはしない。


理由はわかっている。

この街中に充満するワイバーンの血と肉の匂いが否応がなく兄弟の本能がくすぐるのだ。

だが、これだけならまだ我慢できた。

困ったことに理由はもう一つあり、そちらがなんとも頂けない。


そいつは、心の奥底の衝動を強制的に膨らませれくる。

どこか馴染みがあって、霧のように思考を覆い隠す不思議なマナ。

幸いそれは、何かしらの意図があったわけでは無く、ただ漏れ出たというだけのモノだったようで、オレはなんとか抵抗する事ができた。

だが、まだ幼い弟は強く影響を受けてしまった。


「兄ちゃん、なんか美味しそうな臭いがするね」

「駄目だ。我慢するんだ。オレ達はもう人間なんだぞ」

「…うん」

「明日、仕事が終わったら兄ちゃんと一緒に牛丼食べにいこうな」

「…うん。わかった」


兄は弟を頭から強く抱きしめると、何かから逃げるようにギュッと目を閉じた。


守らなきゃいけない。

守るんだ。あらゆるものから…




読んで頂きありがとうございます!

宜しければ、評価やコメントをして頂けると、

励みになりますのでよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ