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第十三話 ⑥ スキルってなんだ?


やっぱり、盗まれていたんだと思うが、骸骨のような男が剣を振り上げたので、一旦思考を中断する。

取り返そうにもまずは、この状況をどうにかするのが先だ。


「そうか…邪魔されるなら、仕方ないなよなぁ!」

振りげられた剣は、そのまますぐ横に倒れる仲間の首元に突き刺ささる。

あまりに意外な行動にあっけにとられるユーネたちをよそに、その剣は何度も絶叫する仲間へと突き立てられる。

ついには動かなくなった元仲間の体で剣を拭うと、やっとコチラに向き直る。


「おい、変なガキ。お前のせいで仲間が死んじまったぞ?どうしてくれるんだ?」

「ふざけんな!なんで他人のせいにしてんだよ!大体、そのお遊戯会野郎は仲間じゃないのか!?」

「ん?あぁ元な。も・と。もういらないんだよ。だって生かしておいたら、オレのことをチクられかもしれないからな。だったら処理しておかなきゃって思うのは普通のことだろぉ?」


「…お前、ユーネが見て来た中でも最高にクソ野郎だぞ」

「ハハ!それはお前の人生経験が浅いんだよ!ガキンちょ。世の中にはオレより何倍も凄い悪党がいっぱいいるんだ。例えばほら、お前の後の奴とか…」


古典的な罠ではあったが、頭に血が登っていたユーネは簡単に振り向いてしまう。

「ユーネ…」

呆れたようなルウの声にはっとして向き直ると、男が切りかかってきていた。


ビックリしたが、まぁいくら不意打ちといってもちょっと変わった普通の人間が、普通に剣を振ってくることなど、変身していなくても鼻ホジだ。

しかし、だからといってリーヴルでも騙されないような嘘に引っかかったという事実にプライドが傷ついたのも事実だ。


この精神的苦痛をどうにかして解消しなければという思いから、目の前を通りすぎる剣の腹に、指先を彩る鼻クソをそっと添えてやる。

さぁ良い反応を見せてくれよ~!なんてどっちが悪者かわからないことを考えながら声高らかに叫ぶ!


「サぁぁぁティスファクションだ!」

「まったく…満足してもいいから、帰ったらちゃんと手を洗いなさいよ」

既に帰ったときのことを考えているルウの態度からしても、相手の力量は大したことがないと分かる。


「躱しただと!?」

しかし、当のリーダーは湧き出るイヤな汗に背中を湿らせる。

完全な不意打ちを、なんなく避けられたのだから普通はそうなる。

しかも相手は歴戦の騎士でもなんでもないただガキにだ。

慌てるDDの背中にさらに声が響く。


「躱しただと!?とかそんなことはいいから、早くその剣を見ろって!こっちがリアクション待ちなことぐらいすぐにわかるだろって!ちゃんと一回冷静になれよ!お前!な?」


ガキの言葉に更に変な汗が噴き出る。

こいつは何を言っているんだ?そもそも、こんな時間のこんな場所に子供がいるのがおかしかったのだ。

なんでもっと早く気が付かなかったのかとDDは小さく独り言を呟くと、即座にユーネ達に背を向け建物を飛び出していく。


「あ!あいつ逃げやがった!逃げるんだったらリアクション…じゃなかった、栞返しやがれ!」

すぐに後を追うが、そこにはもうリーダーとかいうやつの姿なく、樹の化け物たちとみんなが戦っているだけだった。


「今の一瞬で消えた?…さっきの棺桶を出現させたスキルと関係しているのかしら…」

「スキル?…あ~…そうだね。スキルスキル。ユーネもスキルのせいだと思うわ!」

「あら、こんな時間でも家に帰ったら勉強したいだなんて、偉いわね~」

「違うの!勉強なんてしたくないの!」

喉を押さえながら、本当は知っているけど、もう少しで思い出せるフリをするユーネにもう。とため息を吐きながらルウが説明を始める。


「スキルというのはその人固有の特殊な力のことよ。魔法を使える人なんかよりずっと数も少なくて、女神教なんかじゃ神の加護を魂に刻まれて生まれてきた人なんて呼ばれているわ」

「あ~思いだした!お父さんがよくケンセーとかカンテーとか言ってるやつね」

「そうね。でもアキラは参考にはならないわよ。世界中探したって一人で何十個もスキルを持っている人なんていないんだから」

「ふ~ん。じゃあ、リーダーってやつはその一個だけの不思議な力で隠れているってわけだね。楽勝じゃん!」




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