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第十二話 ➉ 青い本だ!


<シーン:???>


モグラ達の世界よりも更に地下深く、湖を思わせる淡い光の淵に腰掛る人影は、手に持っていた青い表紙の本をパタリと閉じる。


「やっぱり本物みたいにはいかないか…」

少しの残念さを振り切るように、その人影が立ち上がると腰にかかる銀髪が緑色の光を映しながら揺らめく。


揺らめく光が不意にくすむ。

緑光の湖の三分一ほどが、くすみ、淀み、他の部分まで浸食しようとしているのだ。


塵も積もればというけど、今回の騒ぎでとうとう皆の不安が爆発してしまったようだ。

ユーネちゃんのおかげでこのくらいですんでいるけど、それもいつまでもつか分からない。


まったく。こんなに足を引っ張られるぐらいなら、あのときもっと執拗に、魂も残らぬぐらいに粉々に殺しておけばよかったよ。


後悔に背を向けるように両手をマナの泉へと向けると、赤い光が手に吸い込まれていく。

しかし、ほんの数秒で息を切らし膝を付いてしまう。


「クッ…やっぱりボクじゃこのくらいが精いっぱいか。土竜たちには上手くユーネちゃんをここまで誘導して貰う予定だったのに。ほんと都合よくはいかないものだね」


ユーネちゃんはここ何百年、いや過去最高の出来なのは間違いない。

彼女ならこれだけ大量の穢れたマナであっても何とか出来るかもしれない。


しかし同時に貴重な鍵である。あまり無理をさせて失うような事になってしまうと、次の機会はまた何百年と掛ってしまうかもしれない。そうなれば…。


見間違えてはならない。主の目的が自分の目的なのだ。

と自分に言い聞かせるが、どうしても目的の成就がチラついてきたことで多くの不安が沸いては消えていく。

なんで千年も掛けてきた計画にユーネちゃんという偶然がかさなったのだ。

慎重に慎重を重ねたくもなる。


「ふぅ」

無意味な堂々巡りを始める思考追い出すように、大きく息を吐く。


「今はまだ見守るしかないか…」

可能性を信じて。

…信じる?あの方以外を?

またおかしなことを言っているな。ぼくは。


「フフフ。…本当に面白いね」


     ◇



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