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第十一話 <シーンアキラ:遠く離れたどこかの山の中>



「チッ。流石にドラゴンってわけか。思い通りにはいかないな」

木の葉を穿つ鋭い雨粒が降り注ぐ中で、濡れた黒髪をかき上げながら男が愚痴をこぼす。

何だかんだでもう半日は戦いっぱなしだ。流石に疲労困憊だ。

現役の時だってこんな長時間戦った事はない。いや、あの頃はそんな歯ごたえのある敵なんて居なかったから、それはそうなのだが。


「本当に大丈夫なのか?お前だけでも、撤退して構わないんだぞ。そもそも、本部からの依頼は情報収集だ。討伐じゃない。それに進路は充分に変えた」

隣の初老の男が黒髪の男を気遣いながら、木々の隙間からこちらを見失ったドラゴンの様子を探る。


「いや、ここで倒しておかなきゃフジザクラまで来る可能性はゼロじゃないだろ。あの街には世話になっている人も多いんだよ。それに、街に現れたらまたユーネに無理させちまうからな」

「ハッ。わかったよ。お前は昔からそう言う奴だったな。だが、その体で無理はするなよ」

ギャランがアキラの破れたシャツから覗く灰色の手に目をやると、アキラもつられて血の通わない自身の左腕に視線をやる。


あの時、体の半分以上を失ったオレが今こうして生きていられるのもあの子のおかげだ。

だからってわけじゃないけど、この残りの命はあの子の未来の為に使うと決めている。

特別じゃなくていい、良い事も悪い事もある普通の未来の為に。


ゆっくりと目を閉じ灰色の手をギュッと握りしめる。


「ああ。わかっているさ。オレの力はどう見積もっても全盛期の半分以下だからな。ただ、コチラと経験ってやつがあるんだよッと!」

示し合わせたように会話の終わりを合図にウォータードラゴンの背後に躍り出る。


「アイスフィールド!!」

アキラの魔法がドラゴンを包み込むように地面を凍らせていく。


「さぁ、お父さんの自慢話を待っててね!ユーネちゃ~ん!」


     ◇



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