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原作や原案ありの小説

Ωの自分とαの幼馴染

作者: 本羽 香那

しいな ここみ様主催の「リライト企画」の参加作品です。

島猫。様の「第二性 0910」をリライトさせていただきました。

 https://ncode.syosetu.com/n7422il/


 この世の中には、第一性として男と女、第二性としてアルファとベータとオメガが存在する。


 第二性はほとんどがベータで、能力も普通である。

 その中に、アルファがあり、アルファは元々様々なことに長けている優秀な存在で重宝される。

 しかし、アルファよりも少ないレアな存在がオメガであり、オメガは発情期を迎えると大量のフェロモンを出して、アルファの理性をかき乱す。そのため、社会的には忌避されることが多い。


 この国では、中学3年になると、第二性を強制的に調べられる。

 中学3年になった俺も当然調べられ、今結果が返ってきたのだ。

 

    検査結果: Ω ーオメガー


 俺は別に優れているところもないから、普通にベータだろうと思っていた。しかし、まさかのオメガだとは夢にも思わず困惑してしまう。

 

「よう翠、結果どうだった?」

「……別に、どうもしない」


 声を掛けてきたのは、下杉道明。家が近所の幼馴染で、同じクラス。同じ部活の仲間でもある。

 彼の質問に、咄嗟的に答えていた。それも嘘を付かない方向で。嘘を付けない自分がもどかしい。


「ふぅーん? あのさ、俺、アルファだった」


 彼は元々様々なことで優秀だったし、驚きもしなかった。ただ、彼がアルファだと確定したことで、さらなる不安を抱えることになってしまった。


 それはもう長い間一緒に過ごすことは難しいだろうと言うこと。


 オメガの発情期は年が取るにつれ、頻度も量も増えてくる。

 また、アルファとオメガの関係には、特別な関係が存在する。それは、もし結ばれたらお互いに番となり、それ以外の相手とは2度と結ばれることはないのだ。

 万が一、番となってしまったら取り返しの付かないことになる。

 

 もう一緒の高校を目指すことも出来ないと考えると少し虚無感を感じてしまった。今までずっと一緒だったから、離れることは想像したことがなかったのだ。

 

「翠、何で泣いてんだ?」


 彼に言われて、自分が今涙を流していることに気づいた。慌てて手で涙を拭き取って、涙を止めようと思っても、ただ流れるばかり。しかもその量は増えていた。そこで、やはり彼と離れたくないのだと嫌でも分かったのだ。しかし、やはり離れるしかないのだと思うと、尚更悲しくなり、ますます涙が止まらなくなった。

 

「なあ翠、もしかしてオメガだったりする?」


 彼の顔は真剣そのものであった。この圧力に負けて、嘘を付けない俺は首を縦に振ってしまった。

 自分の涙さえ止まり、沈黙が流れる。暫くして彼は口を開いた。


「なら、僕から離れるなよ。万が一のことがあったら面倒だろ?」


 普通自分がアルファで、相手がオメガだと嫌がるはずだ。そのため、彼の言っている意味が分からず、キョトンとしてしまう。

 彼は俺の表情を見て、髪をかきむしった。


「どうせ俺と一緒にいられなくなるって泣いていたんだろ。そんなこと思うんじゃねえよ。俺だって、翠と一緒にいたいんだよ」


 彼の顔はとても真っ赤だった。今までこんな顔を見たことがないので驚いてしまう。なんだかその顔を見て安心してしまった。勿論このまま同じ関係が続くわけではないが、まだ暫くの間はこの関係を続けることが出来るのだと思うと、嬉しくて笑みを浮かべた。

 

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