灰になりたい
〈灰になりたい〉
乾いた唇の皮噛む
転んで泣く子を嗤って
こんな自分が わたしはだいすきで
だいすきで とてもいとしくて
ライムグリーンの炎が吹きすさぶ
まだ足りない まだ 満ち足りない
こんな自分がすきで ずっとすきで
やさしい嵐 光塗りつぶす音がうるさければ
蒼白の劣情の果てに 意味があるの?
置いてきぼり 炎 指先焦がし
光の帝国に ひとり
割れた爪の先端ねじり切る
できなかった 痛み慣れてなかった
だからこそ自分をあいしてる
あいさなきゃ 誰が愛するのか
ロマンチシズムの宵 空明かり
まだ足りない まだ なにもうまれてない
こんな自分がすきで もっとすきで
愛を知り召されたゾンビみたいに従順だったならば
夜明けはまだ遠い 神は許さない
死ねば終わり 死んではいけないと
他人の涙で 呪われて
自分の肉引っ掻きたい 手のひら刺してみたい
魔物がゲラゲラ笑ってる
自分を憎みたい やるならまず奴を殺してみたいから
自分をあいしてる
呪いを解くな
解くなつらい 解くなつらい
一軒の光の帝国にひっそり暮らせればそれでいい
化けの皮がはがれそう 炎で燃えそう
誰も見てはいけない グロテスクな正体
試しにすこし
ルネ・マグリットの「光の帝国」という絵が好きです。