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四魂《Tetra Spirit》  作者: yuzoku
第1章 Intersection
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改まって自己紹介

「あー腹一杯」

「なんで人の奢りの時に3杯も喰うのよ!」

「さっきのお返しだよ!笑 言っとくけど、それでもステーキの半額以下なんだぜ?」

「ちょっと贅沢すると、お金ってあっという間に無くなるのよねー。よし、これから稼ぎまくるわよ!」

「なんか欲しいモノでもあるの?」

「違うわよ。これから本格的に旅をするなら、この街で少しでも路銀を貯めておかないとね。言っとくけど野宿生活なんてイヤだからね!」

「そうか?野宿も割と楽しいぜ」

「アンタみたいな野生児と一緒にしないで!アタシは毎日美味しいご飯が食べれなきゃムリな体質なの。とりあえず明日ウチのホテルの裏の広場に10時集合ね!」


翌日、ジンセンフはいつも通り早起きして、言われた通り広場へ着いた。

「じゃーん」

そう言って、リフレーンは、1枚のチラシを見せてきた。

「なになに、ドッグレース?」

「そう、ちょうど3日後にあるみたいだし、これで効率良く稼いじゃおうと思って。優勝賞金の30万ソルが手に入れればステーキ1月分にはなるわね!」

「たしかにスゲー賞金!でも今からワンコ買って仕込みのはムリじゃね?」

「なに言ってんの、昨日ウチのわんちゃん達わざわざ見せたでしょ」

「あーなるほど、アイツらにやらすのね。あ、でも召喚獣だけど大丈夫か?」

「別にチラシの要項に『召喚獣お断り』なんて書いてないから大丈夫でしょ。あの仔達も紛れもなく『犬』だし。」

「そういうもんか。じゃあオレもなんか仕事探してくるわ」

「別にしなくていいわよ。むしろジンセンフにも大事なお仕事があるの。」

「どう言うこと?」

「それはね、アタシのボディガードをお願いしたいの。ワンちゃん達を召喚している間は結構魔力を消費するのよね。その後に襲われたりしたら抵抗できないから、大会翌日まではちゃんとアタシを護ってて欲しいの。」

「なるほど、そう言うことね。承知!」

「よし、そうと決まれば特訓よ!《仔犬のワルツ》」



「やっぱり3時間も召喚しっぱなしだと流石に疲れるわね。当日はちゃんと魔力マンタンで迎えないと結構厳しいかも」

「便利そうだけど、結構大変なんだな。」

「まぁ魔法って言っても万能じゃないからね。ワンちゃん達はまだ消費魔力が小さいほうだけど、それこそドラゴン級ってなったら、同じ魔力量でも数分間召喚するだけで枯れちゃうだろうし。」

「そういえばどうやって魔法って使えんの?」

「まだ話してなかったね。アタシ達は音楽を魔法で具現化する、《音楽魔導士》なの。《ムジカ》と言われることが多いわ。ムジカはみんな、音楽魔法専用の楽器と演奏技術を持っているの。

 ジンセンフも知ってると思うけど、人間はみんな《スピリット》を持ってるじゃない?スピリットは生命エネルギーみたいなものなんだけど、ムジカは楽器を使って、スピリットを魔法に変換してるんだよね。

 1つの魔法を身につけるためにはね、まず過去のムジカが作曲して音楽魔法として完成された曲を、完璧に演奏できるまで練習するの。そのあと《レコーディング》と呼ばれる儀式をして、そのレコーディングの中で曲を通しで完璧に演奏することができれば自分の魔法として習得できるんだ。一度習得してしまえば、さっきみたいに念じながら曲名を唱えるだけで魔法の発生ってわけ。」

「へー、覚えるまでけっこう大変なんだな。」


「アタシは召喚魔法が多いけど、炎や氷を出す属性魔法を得意とする人もいるわ。自分がどんな魔法を使えるかは、レコーディングで試してみるしかないのよね。いくら演奏自体は完璧にできたとしても、ムジカとしての技量が足りなかったり、曲との相性が悪ければその魔法を使うことはできないわ。」

「ふーん、魔法って言ってもちゃんと努力と相性が大事ってことか。」

「そういうこと。アタシが丁寧に教えてあげたんだから、今度はジンセンフの能力を教えてよ。《気流士》なんでしょ?」

「よくわかったね、その通り!オレは師匠のじいちゃんに全部教えてもらったんだ。

 って言ってもオレらの技は感覚的な部分が大きいから、説明が難しいんだけどね。

 まず修行の始まりは、《スピリット》が体内で《気流》になっているのを《感じる》ことなんだ。体の中の気流を自由に操れるようになればパワーやスピードも上がるし、体力や傷の回復もしやすくなる。で、その気流を体の外で操れるようになれば、オレの場合は《風》として周りの人やモノを動かせるってわけ。物質をゼロから生み出すことはできないけど、水やガスみたいな特定の流動的な物体を操ることもできる気流士もいるね。」

「軽く話ししてるけど、『体内の気流を感じる』っていうのがすごく難しそうね。」

「そうなんだよ!その《感じる》って修行がイチバン意味わかんなくて。ただじっとしてて退屈だし、ちっちゃい頃は《感じる修行》の時によく逃げ出したよ。」

「わかる、わかる。でもそう言う基礎練が一番大事なのよね。」

「大人になるとそれがわかるんだよなー。そういえば他の術士のことって知ってる?」

「もちろん!この世界には4種類の術士がいるわ。ジンセンフ達は気流士、アタシ達はムジカ、そしてあと2種。

 1つは錬金術や結晶術を学問的に習得することで、モノにスピリットを流して自由に加工する《マテリアリスト》。

 そしてもう1つが、身体能力や五感の一部を極限までに鍛え上げることで、人智を超えた能力を持つ《特身族》。他の3種は後天的な修行でもある程度身に付けられるんだけども、特身族に関しては生まれ持った体質がないと難しいと言われているわ。」

「へーそんな面白い術士もいるんだ。いつか会ってみたいな。」

「どれも珍しいけど、世界中でそれぞれ流派があって存在しているから、旅を続けていれば会えるかもね。」

「そうなんだ。これで旅の楽しみが1個増えたよ。」

「そのためにもドッグレースは絶対に優勝しないとね!護衛頼んだわよ!」

「任せとけ!」

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