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ゴブリンの襲撃

 翌朝、女性の悲鳴で目を覚ましました。何とゴブリンの集団が街を襲ってきたではありませんか。それを聞きつけ、ディアたんはすぐにゴブリンの駆逐へと出かけて行きました。


 某は戦闘経験が無いものですから、宿屋の部屋で待機させて頂くことにいたしました。そしてあまりの恐怖に、某はベッドの上で一人シーツに包まりながら、その身を縮こませていたのでありました。


 一時間ほどで騒動は収まりましたが、某は怖かったのでしばらく部屋からは出ませんでした。それから何時間経過した頃でしょうか、ディアたんが帰ってきていないことに某は気付いてしまったのです。


 ディアたんのことが心配になり、某は部屋を借りたままにして宿屋を出ました。そしてディアたんを探しました。するとすぐに彼女は見つかりました。幸いにもディアたんは無事でした。


 しかしディアたんは街の路上の真ん中で、地面に剣を突き立てたまま一人泣き崩れていました。某はすぐに彼女の元へと駆け寄りました。そして「ディアたん!」と呼びかけました。するとディアたんは某の方を見上げました。


 「勇者様……」とまるで捨てられた子猫のようにボロボロの姿で泣いている彼女のことが、某は堪らなく愛おしく思いました。そして某はディアたんの体ことがとても心配になってしまいました。


 「だ、大丈夫ですか?」と某はディアたんに尋ねました。うん、と一言彼女は答えました。


 「ご、強姦されなかったですか?」と某は続けて尋ねました。


 ディアたんは泥に塗れてボロボロの姿になってしまってはいるものの、ビキニアーマーの衣服の乱れなどは無さそうなので大丈夫だとは思うのですが、やっぱり某は心配なのです。


 「はい、私は勇者様のために、操を守り通しました」とディアたんはそう答えてくれました。しかしそれでも某は彼女のことが心配で堪りませんでした。


 「む、胸とか、あ、アソコとか触られなかったですか?」と某はさらにディアたんにそう尋ねました。


 「はい、安心してください。私はゴブリンたちから指一本触れられておりません」と彼女は瞳を涙で潤ませながら某の顔を優しく見つめてくれました。


 ディアたんの御身はゴブリンたちに汚されることはなく、清らかな生娘のままでした。その事実を知った瞬間、やっと某の心は平穏を取り戻すことができました。


 「あ、ど、どうして泣いているのですか?」と某はディアたんに尋ねました。


 「私、守ってあげられなかったの……」と彼女は泣き崩れている幼女のかたわらで、虫の息で横たわっている犬の方を指差しました。


 どうやらディアたんは、幼女が大切に飼っていた犬を守ってあげられなかったことを悔やんで泣いてしまっているようです。


 某がディアたんを慰めて、彼女の元気を取り戻さなければなりません。そして某は覚悟を決めました。


 「あの、その、で、ディアたんのディアはし、親愛なるとも、い、言えます……」と某は恥ずかしさを押し殺しつつディアたんにそう告げました。


 「え?」と彼女はキョトンとした顔をしました。


 「そ、某にと、とって、し、親愛なる、で、ディアたんに、には、な、泣いて、ほしく、ない……」と某は必死に声を絞り出しました。


 「だ、だから、で、ディア、たんには、い、いつも、わ、笑って、いて、ほ、ほしい……」と某は恥ずかしさのあまり、最後には彼女の顔を見ることすらできませんでした。なぜだか全然関係のない村の男の人に顔を向けてしまった何とも情けない某であります。


 するとディアたんはゆっくりと立ち上がり、某のことをそっと優しく抱きしめてくれたのであります。その瞬間、彼女からほのかに甘いキンモクセイのようなとてもいい香りがしました。


 (む、胸が、当たっている……)


 何とディアたんの豊満かつ清らかで柔らかな乳房が、某の薄い胸板に密着しているではありませんか。


 某の心臓は張り裂けんばかりに激しく波打っております。某の足の付け根の中心にあるアイデンティティが今にも強大化しそうであります。


(抑えろ! ユニコーン! 今は抑えるんだ!)


 某は必死に自らにそう言い聞かせました。しばらくの間そんな葛藤を続けながら、某はディアたんの柔らかくてぬくもりのある女の子の肌の質感を、全身で貪るようにして堪能したのであります。


              ❇︎❇︎


 ゴブリンたちの襲撃による街の被害は、牛一頭と羊が五匹連れ去られてしまいました。そしてその家畜たちを守ろうとした番犬一匹が、ゴブリンたちの手によりその尊い命を落してしまいました。


 そんな中、幸いにも街の住人たちからは一人も死傷者は出ませんでした。これは本当に不幸中の幸いと言えましょう。


 街の住人たちからの情報によると、ゴブリンたちは丘の上の洞窟を巣穴にしているようです。そしてそのゴブリンたちがその洞窟に住みつく以前は、この街は狩猟が盛んで鹿が豊富に獲れていたそうです。


 ゴブリンたちが現れたことにより街の繁栄は途絶えてしまい、農業を中心とした産業に頼らなければならないほどまでに、この街の経済は衰退してしまったとのことです。


 街の住人たちの生活の向上、そして文明の発展を邪魔しているのは、紛れもなくゴブリンたちなのです。だから某はこの世界に転生してきた勇者として、ゴブリンたちの悪態を見逃すわけにはいきません。


 某はこれより、丘の上の洞窟に巣食う全てのゴブリンたちを退治しようと決意いたしました。作戦決行は本日の丑三つ時。某の親愛なるディアたんを悲しませる者は、絶対に許すわけにはいかないのであります。


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