ディアたんとお泊まり
着いた先の街はとても静かでのどかな街でありました。一面に広がる麦畑の他に、羊や牛などを放牧させている。そんなゆっくりとした時間が流れているような街でございます。
某とディアたんは早速宿を探しました。すると街の入り口のすぐそばに、一軒の小さな宿屋がありました。そして今晩はそこに宿泊することを決めたのであります。
宿屋に入ると、髭を蓄えた小太りの初老の男性が立っておりました。そしてその男性は「いらっしゃいませ」と優しく出迎えてくれました。どうやら彼はこの宿屋の主人のようです。
「お部屋の広さはどうなさいますか?」と店の主人は尋ねてきました。
(部屋の広さ……)
某はその言葉を聞いて、とあることを連想してしまいました。
(某とディアたんは店の主人に夫婦もしくはアベックと思われているのでは?)
そう、ということは、某はこの後ディアたんと同じ部屋に宿泊することになります。となると、某が望めば、ディアたんと一つのベッドの上で、あんなことやこんなことまでできたりするのではと予想してしまうのであります。
「どぅふふふふふふ……」
某は喜びのあまり、つい笑い声を漏らしてしまいました。
「勇者様?」とディアたんは怪訝そうな顔で某の顔を見つめていたではありませんか。
「あ、ああ、申し訳ありません。やっと休めるのかと思うと、つい嬉しくなってしまいました」と某は適当な誤魔化しの言葉を並べてディアたんにそう答えました。
(転生してすぐに、某は晴れて卒業することができそうです。そしてこのディアたんの豊満かつ清らかな乳房がこの手の中に……)
某の心は高揚感でいっぱいであります。そしてすぐにでも宿泊する部屋に向かいたくて仕方がありません。
「一人部屋を二つお願いします」とディアたんは店の主人に答えました。
「かしこまりました。すぐにお部屋のご用意をいたします。暫しお待ちを……」と店の主人。
「え?」
某は自分の耳を疑いました。
「どうかなさいましたか?」とディアたんは不思議そうに尋ねてきました。
「お、同じ部屋に宿泊した方が安くす、済むのでは?」と某は彼女に訊き返しました。
「いけません! 私たちはまだ結婚の約束すらしておりません。そんな二人が同じ部屋に泊まるだなんて、はしたないじゃありませんか!」とディアたんは突然怖い顔を某に向けてきました。
そんな彼女に圧倒されてしまい、某はこれ以上何も返すことができませんでした。
無念!
そして某とディアたんは、別々の部屋に一晩泊まることになったのであります。