第2話 食料問題
ふむふむ。まず名前がソウサクっと。ソウサク、そうさく、宗作……俺のことだろうな。そして、年齢0歳ってやっぱり赤ちゃんだよな。
次に職業が発明家……か、これはもう一度俺にやり直せっていっているのか? どうなんだよ大天使様よ。いや、蛇よ、お前のことではないぞ。
そして、「HP」と「MP」か。あまりこの手のゲームをしたことがないが、この数値が高いということはないだろう。HPがもし0になれば、ゲームみたいに死亡ということだろうか。流石に確かめるわけにもいかないし、そう思って行動はしておいた方が良さそうだな。というか、そんなことよりも「MP」ってことはもしかして魔法が使える!? なにそれちょっと憧れる。
魔法が扱えるのであれば、今まで不可能であった様々なことが可能になる無限の可能性を秘めているのではないだろうか? いや、そんな建前はどうでもいいか。俺はこれでも男の子が全員通るであろう闇の時代を経験している。魔法が使えるかもしれないという可能性を前にごちゃごちゃ考えるのはよそう。さぁ、俺の隠された力を教えてくれ!!
『魔法 無し』
………………ん? 目がちょっと霞んでいるのかな。
『魔法 無し』
ふぅ、やれやれ、どうやら見間違いではなさそうだ。そうだよね、そんな都合のいいことがあるわけないよね。知っていたよ。昔から、ね。
はぁ、最後は『スキル』か。はいはい、どうせろくなものないんでしょ。えーと、『異世界言』『異世界文字』『Creative card』っと。
おそらく、『異世界言語』は異世界の言葉が理解できる、話せるってことだろう。『異世界文字』もそのままの意味で、異世界の文字が読めるのだろう。異世界とは文字通り異なる世界のことであり、つまりは地球ではないこの世界を刺していると考えて間違いない。世界が違えば言葉や文字が違うのは当然のことであろう。本来であれば、一から覚えなくてはいけない所をこのスキルで補ってくれるというのはなんて便利なことだろうか。
それにしても異世界か。そんな物が存在するなんて聞いたことがないし、存在したとして、何故記憶が保持できているのか、赤ちゃんの姿なのか、色々疑問に思うことも多いが、今考えた所で答えは出ないだろう。
問題は最後のスキルだな。
Creative card?
どんな能力かまったく予想がつかない。なんとかして、この能力を調べることができないだろうか。
「あうあうあ~……たっぷ(この金属板が電子機器ならば、タッチするとより詳細な情報が開示されるんだけどね。ポチっとな)」
おいおい、冗談で押したら本当に表示されたよ。なんてファンタジー。
固有スキル
『Creative card【ver.1】』
能力詳細
【ver.1】
・自分の腕力で持つことが可能な対象に限り、対象に触れ『チェンジ』と唱えるとカードに変化する。(消費魔力 10)
・カード化したものは『リリース』と唱えると元に戻る。
・カード化している間は、対象の時間が停止する。
※一定の対象物はカード化出来ない、カードは術者のみ使用可能
☆一定の条件を満たすことにより、【ver.2】を解放。
なるほど、摩訶不思議な能力だな。最後の説明を見る限り、この能力はまだ進化するということか。
しかし、進化条件は不明で、一定の対象物とはなんのことかわからない。これは、色々と検証しなければならないな。
だが、それよりも前にやらなければいけないことがある。
ぐぅぅぅぅぅぅ~
うん、まずは、食料を確保しないと飢え死にしちゃうな。
周囲を軽く散策したが、少なくとも人が住む場所とは考えられないし、町や集落がすぐ近くにあると楽観視しないほうがいいだろう。せめて、食べられる草があればいいのだが……。
昔から、研究にお金を費やしたばかりに、数ヶ月、山の恵みをとって生きてきた経験がある。そんな俺ならば、食べられる植物は知り尽くしているし、多分生きていけるはず。
そうと決まれば、まずは外だ。キノコとかもあれば御の字だ、色々な種類があればいいな。
…………まさか、こんな結末が待ち受けているとは。知っている植物が1つもない。
「あうあ!(そんなことだろうと思ったよ!)」
それに、地球に存在しているか怪しい植物も多々みられる。直径15センチ程の茎を持つ白い植物、透明な植物、虹色の植物なんかもある。
「ばぶあ(どうしよう)」
このまま、当てなく歩き回ったとしても、餓死するのは時間の問題だろう。何か便利な能力があればよいのだが。どんな植物か分かる能力とかね。ま、そんな都合のいい能力が…………。
「だ、あぅあ?(いや、まてよ?)」
俺には『Creative card』があったはずだ。カード化するということは、そのカードに説明文が記載されるのではないだろうか。地球で流行していたカードゲームにも、大体能力が書かれていたはずだ。
そうと決まれば実験開始だ!
といっても、魔力には限りがあるし、慎重にしなければいけない。まずは、足元にある茎が丸々としてる雑草から調べてみよう。
「あぅあ!(チェンジ)」
あ、そういえば喋れないんだった。これで無理なら完全に詰むことになるんだが――ああ、よかった。植物が一瞬のうちにカードになったぞ! どうやら無事成功したみたいだ。俺の手のひらにカードが1枚収まっている。
【名称】 ミルク草
【クラス】植物
【詳細】 ミノタウロスの乳より栄養が少ないが、味はまろやかであり、小さい子どもでも飲みやすい。
「あぅっだばー! (ミルクキター!)」
ミノタウロスとか雄だった気がするし、ちょっと意味が分からないが、とにかく当たりを引けたようだ。
やっぱり、赤ちゃんにはミルクだよな。
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