『火炎』Ⅰ
現在、俺の目の前には大きな建物と鳥居がある。
月明かりに照らされて、薄い影を作り出してる姿は少し幻想的に見えるな。
ここは何処かって?……ここが、白石島神社だ。
前回、悪魔の奴に『今すぐ行くぞ!』的な感じで言われた後に反論したのだが、聞いてもらえず、ここまで連れてこられた。
ちなみに、俺の家からここは凄い離れているが、悪魔が瞬間移動みたいな事を連続して行ったので、さっきから時間はあまり進んでない。
「ふう、ようやく着きましたね。魔界なら一瞬でつけるうえ、ここまで疲れないのですが……人界だとこれが限界です」
「そんなに疲れるなら日を置いてからでもよかっただろ。いきなり今日やる俺の気持ちも考えてくれ」
「まあまあ……そんなに怒らないで下さい。早く動いた方が効率がいいですし、時間が経てば私の情報と違う点がでてきて、作戦に支障をきたすかもしれませんから。ここは、協力していきましょう」
もちろん協力はする。俺の願いの為にもな。
でも、だからって早すぎだ。もうちょっと準備する時間をとってもらいたかった。
……まあ、もう目的地に着いたんだ。今さらうじうじしても仕方ない。やるか。
刀を持つ右手に力を入れ、悪魔に作戦の確認を行う。
「はぁ……とりあえず、俺が『火炎』の所有者と戦えばいいんだろ?」
「はい。その時ですが……なるべく目立って下さい」
「目立たせて注意を俺に向けるんだな」
「ええ、その間に刃の情報を手にします」
よし分かった。ある程度は目立つようにしよう。
ただ目立ち過ぎると、別の奴らが邪魔が入る可能性があるから調整はしないとな。
じゃあさっさと所有者を探さないと……いや、こいつが知ってるか。
「で、ここの刃の所有者は何処にいるんだ?そこそこ広いから何処か教えてくれないと……」
「いや、その必要はないですね。あちらから来てくれたようです。後は任せます!」
「あ!おい、置いていく「そこにいる方」……はい」
悪魔に置いて行かれた俺に、鳥居の方から声がかけられた。
悪魔が去り際に言ったから、振り向かなくても分かるが……所有者か。
どうする?ますは話かけるか、それとも……。
「聞こえていますか?先程まで悪しき者と共に居たそこの方。どうやら、手を組んで何かしようとしている様子……何をしようとしてるのですか?」
あ、ダメだ。これ完全に悪魔の存在ばれてるわ。
こっちの事探りにきてるし、多分話し合いとかできないやつだ。
だったら……言葉はいらないよな?先手必勝だ!
俺は返事もせず、声の方向へ振り向きながら、刀で斬りかかった。
ろくに訓練もしてなかったが、刀の一閃は良く、相手の懐を斬り裂く…………前で相手の刀により防がれた。
「ッ⁉︎防いだだと!」
「ふぅ、いきなり刀で斬りかかって来るとは……どうやら悪魔と完全に手を組んでいる様子ですね」
「は、ははっ!ならどうするんだ?」
「簡単です……俺の炎で焼き尽くしてやるよ‼︎」
「うおっ⁉︎」
クソッ!力づくで刀を弾かれ後ろへと吹き飛ばされてしまった。
てか、こいつ急に口調が変わったぞ?そっちが素か!
「って、そんな事考えてる余裕ねぇ!炎に囲まれてる!」
あの野郎、俺を吹き飛ばしてすぐに刀身から炎をだして、周りを囲みやがった。
逃さないつもりか?
「ふん、悪魔に加担してるんだ。覚悟はできてるよな?」
「はん、覚悟はできてるよ!テメェをぶっ潰す覚悟はな!」
「そうか……なら、死ね‼︎」
その言葉と同時に周りの炎が俺めがけて襲ってきた。
次は1週間以内にしたい。