説明Ⅲ
「私が知っている刃は全部で七つです」
「……随分少ないな」
手元にある刀を除いても、詳細が分からない刃が92本もあるじゃないか。
全部の刃を手にする事なんてできるのかよ?
「不安そうな顔をしていますね。そんなので全ての刃を手にできるかと」
「まあな、だって残り92本だぞ?普通に考えて、その刃達の情報はどこで手にするんだよ?」
「大丈夫ですよ。実は知っている刃七つの内の一つ……『火炎』の刃を保管している白石島神社。そこに他の刃の情報があります」
「どういうことだ?」
話しが気になり、早く喋るように促す。
「そこの神社ですが……古くから刃を受け継ぎし家系の一つなのです。そして他の刃を持つ家系を纏める役割も果たしているのです。ですから」
「情報があると」
「そうです。まず間違いなく」
そうだな。刃のまとめ役みたいな、その家になら情報もあるだろう。
ただ、そんな家から情報を盗み取るなんてかなり難しいんじゃないか?
「質問。どうやって情報を盗むんだ?」
「簡単ですよ?」
「簡単?」
「貴方が突撃し、『火炎』の刃の所有者と戦い、その隙に私が情報が書かれた書物か何かを奪って戻り、最後は『火炎』の刃を破壊。刃を一つ、私達の物にすると同時に情報も得られる完璧な作戦です」
おい待て……どこが簡単だ!どこが完璧な作戦だ‼︎
俺が『火炎』と戦う?
相手は何代にも渡って刃を継承してきた家だぞ。刃の扱いだってきっと並じゃない。
そんな奴と戦って、更にこの悪魔が情報を手に入れるまで時間を稼ぐ?
そして、最後は戦って勝つだと?
……無理だろ。どうして成功すると思ったんだこの作戦。
俺は呆れて悪魔へと、ため息まじりに作戦の欠点を話すが。
「そんな事は分かっています」
まるで気にしていないといった様子。
「いや、分かってるなら……」
「それを加味しても十分に成功する可能性があるんですよ。まず『火炎』の所有者ですが……つい先日、代替わりをしたばかり。新代はまだ完全に刃を操りきれていません」
所有者が変わったばかり、それなら何とかなるか?
それだったら火炎を吸収し続けて、相手が刃で攻撃を仕掛けてきたら、吸収した火炎で牽制すれば……。
うん、いけるかも知れない。
「所有者は確かに何とか戦えるかも知れない……だが、お前の情報を探す時間が長ければ、所有者以外の奴らに邪魔される可能性もあるぞ?」
「安心して下さい。情報がある場所はおおよそ見当がついています。長くても2分以内には戻れます」
2分か、短いような長いような……。
でもその位の時間なら他の人達には邪魔されないか。
「……分かった時間についても問題ないなら良い。ただ、勝てるのか?」
「勝てます。私達の目的である刃を手にすることは、刃を破壊することと同義。それは可能です。貴方が刃に一定のダメージを与えてくれれば……最後に私が破壊するだけですから」
なるほど。最後はこの悪魔が決めてくると。
なら俺が敵の刃へとダメージを的確に与えるのが大切になるな。
……さっきまで欠点しかないと思っていたが、この作戦でもいけるな。
「あー、後ですが。今、話した『火炎』が最初の相手になります」
「いきなり戦うのか」
「はい。そうしないと、他の刃が襲われた事を察知して、厳重な警備をされてしまいますから」
なら仕方ないな。そんな状態になったら他の刃について分からなくなる。
……あ、そう言えば。
「話しは少し変わるが、最初に言ってた『火炎』以外の六本の刃はなんだ?」
「それらは『障壁』『音』『消失』『圧縮』『停止』『輪廻』ですね。全て場所については把握しているので大丈夫です……それより、もしよろしければ行きますか?」
「へ?行くって……まさか?」
「はい。『火炎』の刃を持つ……白石島神社です」
そう言って、悪魔は片手を出してきた。
恐らく、「手を掴め、早く行くぞ」と言うことだろうが……。
いきなり過ぎるだろ!もう少し、この刀を扱えるようにしてからにしろ!
次は6日以内に書きたい。