説明Ⅱ
「その刀は現状、普通の刀です。所有者の身体能力を向上させる程度の力はありますが」
「……特殊な力があるんじゃなかったか?」
「ありますよ。しかし、今は力を発揮できません」
……?どういうことだ。
今は使えないって事は、一定の状況下でしか力を発揮できないって事なのか?
それは使いづらいな。
手に持っている刀を見て、不安になって来たぞ。
これで戦うとなるとかなり辛いんじゃないか?
「なんとか力を発揮できないのか?」
「できないですね。なにせ……力が発動するのは、他の刃と戦っている時ですから」
他の刃と戦っている時に発動する力?……それってなんだ?
普通に考えれば、刃の力を無力化する力とかだが……悪魔とかへ対抗する為に作られたのに、味方側の力を邪魔するなんてしないだろうし。
色々と考えるが、分からないな。
「考えてみたが、さっぱり分からない。この刀にはどんな力がある」
「その刀の力、それは『吸収』です」
「『吸収』?……あっ!もしかして他の刃の力を?」
「はい、その通りです。刀の刀身に、他の刃の力が当たれば、それを吸収します」
だから他の刃と戦っている時にしか発動しないか。
でも、おかしくないか?
さっき考えた無力化と同じで、吸収も味方側の力を邪魔するタイプの力だ。
そんなものをどうして?
いや待てよ、吸収した力はどうなるんだ?
……そうか、そういう事か!
「ちなみにですが、吸収した力は……」
「放出する。自分で使用することもできる、だろ?」
「おや!今の話でそこまで分かりましたか」
「ああ、吸収しかできないのなら味方の邪魔でしかない……が、それを使用できるのなら強い力になる」
吸収しかしなければ意味はないが、この刀は放出もできる。
つまり、他の刃達の力を吸収すれば多様な戦いができるし、全ての力を操れたりもできる訳だ。
……これって他の刃依存だけど最強じゃないか?
「言われた通り、この刀は吸収した力を放出する強い力を持っていますが、逆を言えば、吸収した量しか放出できないとも言えます」
「吸収した量が少なければ、放出できる量も少ないってことか」
「はい。先祖がこの刀を奪った時は、放出切れを狙ったらしいので……他の刃と戦う時はそこだけは気をつけて下さい」
あー、だからこの刀持ってたのね。
奪ったとはいえ、吸収の力のこの刀を相手にどうやって?とは思ったが。
とにかく、放出切れには注意だな。
「分かった、気をつける……それで、この刀の力は分かったが、他の刃についても教えてくれ」
「分かっています。教えられるのはあくまで詳細が分かる刃だけですが……よく聞いて下さい。貴方が最初に戦う相手の情報もあります」
俺が最初に戦う相手か!
……しっかりと聞いておこう。何せ、今は何の力もない刀で戦うんだからな。
耳をたてて、話を聞く準備をすると同時に、悪魔は話し始めた。
次も1週間以内にしたい。