プロローグ
そいつが俺の前に現れたのは、なんでもない高校二年の夏休み始めだった。
部活にも入っておらず、宿題は2日で終わらせ退屈し、部屋でゲームをしていたら後ろから声をかけられたのだ。
「こんにちは」
「…………こんにちは。てか、どちら様?どうやって部屋へ?」
「おや?この状況をさほど驚いていない様子。もっと悲鳴をあげたりするかと思いましたが」
そいつはクツクツと笑いながら、俺を見続けた。
正直、驚きすぎて頭が働かなかっただけだ。いきなり鍵かけてある自室に見ず知らずの奴が音もなく居るとか驚くに決まってる。
「……それより何の用ですか。用がないなら早く出て行って下さい、警察呼びますよ」
「おっと!警察は勘弁してもらいたいですね。あんな脆弱な組織、大したことはないが……証拠を消すのは色々大変で」
「……まるで警察よりも強いみたいな言い方ですね」
「ええ、強いですよ。悪魔ですから」
悪魔。目の前の男はそう言った。
何を言ってるんだ。そんなのは、漫画や小説や「ファンタジーの世界にしかない」……ッ‼︎
こ、こいつ⁉︎
「どうですか?人間あいてならば軽い読心など簡単にできます。まだ信じませんか?」
「……一応、一応信じます。ただ悪魔が何の用で来たんですか?」
悪魔となると命、もしくは魂でも奪いに来たのか?
それとも理不尽な遊びの相手でもさせられるのか?
「安心して下さい。頼みごとをしに来ただけです」
「頼みごと?」
「そうです。貴方はそれを断ってもいいし、受けてもいい」
断ってもいいし、受けてもいい?一体を何を頼むって言うんだ?
「貴方には69本目の刃の持ち主……私の相棒になって頂きたい」
「69本目の刃?」
「意味が分からないでしょう。今から説明します。私について、69本目の刃について、そして……それで得られる物についても」
そして悪魔は、まず自分語りを始めた。
次は3日以内にしたい。