初めての
その後数日様子見で入院したのち、母の実家(故雪乃の実家)に戻ることとなった。
入ったことが無かった叔母雪乃の部屋はとても可愛らしい「女の子の部屋」だった。
あたしの部屋とは大違い!!
ベットのカバーは大きいレトロな花柄、カーペットは愛らしい薄紅色、机には大きなテディベアが置いてあったりと、幾分か落ち着かない部屋である。
壁に掛けてある鏡を見て思う。本当にタイムスリップをしてしまったのだと。
「さっきの新聞に今は1993年って書いてあったわよね・・・・。じゃ、私は17年前の世界に来て、雪乃叔母さんの意識を乗っ取ってるってわけだ。しかも、もしかしたら私のせいで叔母さんは死なずに済んだとしたら・・・。」
う~んと悩むが、解決策が見つかるわけでもない。
今は平日なので母はいない。大学へ行っているはずだ。
祖母(現母)も下の部屋にいる。何かあったら声をかけて、と言われている。
そろそろお昼時なのでお腹が空いててきた。ぐ~と鳴りはしないが、空腹感はしっかりとある。
階段を下り、居間にいる祖母に声をかける。
「お母さん、そろそろお腹が空いたんだけど、何かある?」
やっぱり祖母のことを母と呼ぶのは違和感がある。
「あら、もうお昼時なのね。お母さん全く気づかなかったわ。今から作るから、ちょっと待っててちょうだい。」
いそいそとエプロンをつけ、台所に立つ祖母。
その間に私は居間のソファーに座ってテレビを見る。
2010年の番組とはまったく違うな~・・。なんか、あんまり面白くないような・・・。
「あら~、お塩がないわ。どうしましょう・・。」
これは私が買いに行かなきゃいけないフラグ!?
「私行ってくるよ~・・・。」
少し嫌そうな顔を隠すためにひきつった笑顔で答える。