「私の美しさに嫉妬して、池に突き落としてきた!」と言われましても、私、目が見えないのですが?
私の名前はリーリエ・クロワーズ、侯爵令嬢です。私は生まれつき、目が見えません。ですが、聴覚と嗅覚、魔力感知能力が優れているので、どこに障害物があるのか、どこに人がいるのか、すぐに分かります。その代わり、人の顔を見ることはできません。
今日は、学園の庭でゆっくりと読書をしてました。何故目が見えないのに読書をできるのかって?それは簡単な話です。文字を書くためのインクには、魔力が宿っているからです。その魔力を読み取っているので、本を読むことができるんですよ。
私が一人、読書を楽しんでいると、誰かが近づいてきました。
「ようやく見つけましたわ!こんなところにいたんですのね、リーリエ?」
この魔力の感じは、公爵令嬢のフェリナ様ですね。
「私に何か御用ですか?」
「えぇ、用がなければあなたみたいな老婆に声をかけませんよ。」
私の髪の色は白だった。だから、学園ではフェリナさんとその取り巻きさん達に「老婆」と呼ばれています。
「それで?何の用ですか?」
「あなた、ハーベスト様の婚約者になれたからって調子に乗りすぎてはありませんか?」
そう、私は先日、ハーベスト第1王子様に婚約者になってくれと言われて了承致しました。
なので、私は今、フェリナさんよりも高い地位についたというわけなのです。
それが気に食わないようですが、何がしたいのでしょう。
「あなたには、破滅していただきます。」
フェリナさんがコソッとそう言ったかと思うと急に倒れ、池へと落ちました。
「なっ!何をしているのですか!?」
「きゃぁぁーー!!リーリエ様が、フェリナ様を突き落としましたわぁー!」
フェリナさんの取り巻きさんたちが、私が突き落とした人に仕立てあげてきました。
そんなにも、私がハーベスト様の婚約者になったのが、許せませんでしたか。
こんなこと、やっても無駄なんですけどね。
この人達はひとつ勘違いをしている。それは、私の目は見えていると思っていることだ。私は、人がどこにいるのか、大体の場所は分かりますが、何処に肩があるのか、何処に腰があるのか、などは分かりません。
なので、私を犯人だと言うのは難しいのです。
でも私は、目が見えないことを周りの人には言っていません。多分近くにいる人達は、私が突き落としたと信じていることでしょう。
さて、どうしましょうか。
そう考えていると、騒ぎを聞き続けたハーベスト様がこちらにいらっしゃいました。
「何事だ!」
「ハ、ハーベスト様!私、リーリエ様に池に突き落とされたのです!!こんな者と婚約だなんて、考え直してください!」
あぁこの方は、助けを求める人を完全に間違えましたね。なぜならハーベスト様は、目が見えないと伝えても、「それでもいい!君が好きなんだ!!」と言ってくれたからだ。それだけで、彼がどれだけ私を愛してくれているのかわかる。
「で?彼女はなぜ君を突き落とす必要が?」
「リーリエ様は、仰っていました。私の美しさに嫉妬したと。だから、お前など溺れじんでしまえと。」
「私達も聞いておりました!」
あらま、いちばん無理な理由を言ってきましたね?そんなにも自分の容姿に自信があるのでしょうか。
「そうか、わかった。」
「わかってくださったのですね?では、その者とは婚約破棄を...」
「お前たちが嘘をついていたということがな。」
「「え?」」
「お前の美しさに嫉妬?出来るわけがないだろう!!彼女は目が見えないのだからな!」
それを聞いたフェリナさん達は顔を青ざめた。
「え?目が見えない?」
「そうだ。彼女は、聴覚、嗅覚、魔力感知能力に優れていたから、今まで誰も気づかなかったが。確かに見えていない。それは、王宮専属の医師に聞いたので間違いない!」
「そ、そんな...」
フェリナさんと取り巻きさんたちは崩れ落ちた。
そしてさらに、追い打ちをかけた。
「それと、お前の美しさに嫉妬だったか?何を言っているだ、お前は、お前の何倍もリーリエの方が美しいさ!」
それを聞いた私は、顔を真っ赤にした。
そして、それを見たハーベスト様は私に抱きついてきた。とても恥ずかしかったが、それと同じくらい嬉しかった。目が見えない私でも、愛してくれる人がいる喜び。これからも、この喜びが、消えないことを願う。
フェリナさんたちは、未来の王妃をはめようとしたことを罪に問われ、貴族ではなくなったそうだ。




