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追放魔法少女は隣国で最強になる  作者: finalphase
第1章 追放と僅かな希望
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第4話 優しさは罪なの?

 私と仲間たちは、今日もモンスター退治に励んでいた。ゴリラのような見た目で素早く動き回るターゲットBと蛇のような見た目で口から毒を吐くターゲットCを倒すことが目標だ。

「ミナ、あんた、私たちにあんな酷い目に遭わされたのに、良くこの場に来れたわね。その図太さだけは認めてやるわ。」とクラリス。

「いやぁ、それほどでも。」、そう言って頭をかく私。この天然の行動が、クラリスの神経を逆なでした。

「褒めてるわけじゃねーよ。あのまま餓死すりゃ良かったのに。能無しが。」

彼女が心の中で毒づく。敵は二匹いるから、私たちは二手に分かれた。アメリア、イザベラがターゲットBを、私とクラリスとシャーロットがターゲットBを追った。アメリアは物凄い速さでターゲットBに追いつくと、弓矢を放った。ターゲットBも負けじと物凄いスピードで攻撃をかわす。そして、アメリアの身体に体当たりしようとした。だが、その身体はイザベラのバリアによって弾き飛ばされる。アメリアは一瞬の隙をついて、ターゲットAの心臓部を弓矢で貫いた。

 一方の私たちは苦戦を強いられていた。ターゲットCは口から何メートルもの範囲にわたって毒を飛ばすため、迂闊に近づくことができないのだ。

「ちっ。仕方ないわね。こうなったら、遠距離攻撃よ。」

クラリスはいつものように銃乱射する。

「ちょっ、クラリスさん。そんなことしたらまた周りが壊れるよ。」

「クズで能無しのあんたは少し黙ってな。」

クラリスは私の声を無視して、ターゲットCに向かい銃を発砲し続けた。周りの建物が壊れ、自然が破壊される。

「もう止めて!」、私がそう言いかけた時ターゲットCの横を真っ白な猫が横切った。白い毛並みで、私はおもちのことを思い出していた。おもちというのは、お母さんとお父さんが生きていた頃、私が飼っていた猫だ。毛がモフモフで、綺麗な白猫だった。おもちはもう死んでしまったけれど、もっと一緒に過ごしていたかった。目の前の猫はおもちに少し似ていた。次の瞬間、私は咄嗟にアメリアの動きを止めようとしていた。

「ちっ。邪魔すんなよ。せっかくの獲物が逃げるじゃない。」

「あの猫を巻き込まないで。」

「猫何てこの世のどこにでもいるわよ。たがが一匹死ぬくらい大丈夫よ。」

「そう言うことじゃなくて…」

シャーロットは、私たちの様子を黙って見ていた。

そして、私たちが言い合っているうちにいつの間にか猫もターゲットCも姿を消していた。私が安堵の息をついたのもつかの間、アメリアが私の胸ぐらを掴んだ。

「あんた、どういうつもり?モンスターに逃げられたじゃない。」

怒りを込めて徐々に手の力を強めていくクラリス。苦しくて視界がぼやける。

「あんたってやっぱ駄目ね、あんたのせいでモンスターを逃がしちゃった。」

さっきまで黙っていたシャーロットが口を開く。アメリアとイザベラが私たちのところに駆け寄ってきた。

「この状況、一体何がどうなってるのよ?」とアメリア。

「ああ、こいつのせいでターゲットCを逃がした。」、クラリスが私を指さす。

「逃がした?」、軽蔑するような目で私を見つめるアメリア。

「私は、ターゲットCの前に猫がいたから、猫を巻き添えにして欲しくなかっただけなの。」

「ふーん、そんな見苦しい言い訳までするんだ。あんたって、ほんと使えないクズね。私たちの仲間には相応しくない。このことを、ルドルフ陛下に報告しようと思うの。」

 クラリスは、私のせいでターゲットCを逃がしたことを国王に報告した。

「ルドルフ陛下、ミナという女は魔法少女の風上にも置けません。一刻も早い処罰をなされるのが良いかと。」

陛下はクラリスの進言にゆっくりと頷き、それから、他の魔法少女の意見も聞いた。当然、アメリア、イザベラ、シャーロットもクラリスと口裏を合わせているので、私が悪いという結論になった。その後、陛下は私にも意見を求めた。

「信じていただけないかもしれませんが、倒そうとしたモンスターの目の前に白い猫がおりました。私は小さな命を奪いたくはございませんでした。」

陛下は私の言葉に黙って頷いた。そして、一同に向かって尋ねた。

「その時の戦闘の証拠のような物はないかね?」

「申し訳ありませんが、そのような物はございません。」とクラリス。

「そうか。決定的な証拠がない以上、どちらの言い分が正しいということもできない。だが、ミナ、仮に君の言い分が正しいとしても、君がもっと優秀な魔法少女だったら、猫を助けつつモンスターを倒すことができたのではないかね?」

「それは…」

陛下の鋭い指摘に私は声を詰まらせた。そう、私がもっと強い魔法少女だったら、戦闘スキルが高かったら、白猫を守りつつモンスターを倒せたかもしれない。そう思うと胸が苦しかった。思わず目を伏せる私に陛下は静かに声をかけてくださった。

「まあ良い。翌日、そなたの処遇をどうするか決定しようと思う。」

私は沈んだ気持ちで陛下に深々と頭を下げた。


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