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追放魔法少女は隣国で最強になる  作者: finalphase
第1章 追放と僅かな希望
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第2話 初めてのモンスター退治!

「今日から皆さんのお世話になります。ミナと申します。宜しくお願い致します。」

私は魔法少女団に配属されると、仲間たちに深々と頭を下げた。

「あーら、誰かと思えば孤児院出身の貧相な、あのミナじゃない。」とアメリア。そして、「貧乏人が、調子に乗るなよ。」と心の中で呟いた。アメリアは上流階級の家庭に生まれ、金に困ったことはなかった。欲しい物は何でも手に入ったし、食事も毎日高級品だった。彼女は、自分が選ばれた人間だと錯覚し、次第に自分より貧しい人間を見下すようになっていた。そして、私に向かって嫌味を言った。

「まあ、せいぜい育ちの良い私たちの足を引っ張らないことね。」

「貧乏人は戦闘力に傷を負っても自分で治してよね。私、貧相な人間に触れたくないから。いつも唾とかつけてるんでしょ。」、とクラリス。クラリスも上流階級の家庭に生まれ、貧乏人とはできるだけ関わるなという教育を受けてきた。貧乏人の頭の悪さや皮膚の汚れがうつるのは嫌だし、ましてや孤児院育ちならなおさらだ。

 「あたしはあんたなんて認めないね。ルドルフ陛下が魔法少女は全員で協力すべきっておっしゃっているから形式上仲間に入れてあげてるだけで、貧乏人と同じ空気なんて吸いたくないもの。」とクラリス。

「貧乏人で孤児院育ちってだけで軽蔑しちゃうけどさ、あんた魔法少女学校でも有名な落ちこぼれだったよね。ほんとに私たちの力になってくれるのかしら?」とシャーロット。イザベラは、私のことに興味すらない様子だった。

「みんなごめん。私は確かに落ちこぼれだし、上手くいかないこともあるかもしれないけど、役に立てるように頑張るから!」

私がそう言った瞬間、携帯の着信のような音が鳴った。

「ピロピロピロリン」

「丁度良いや、モンスターが現れたみたいだぜ。」とクラリス。

彼女はモンスターが出現すると着信音がなる携帯電話を開発していたのだ。

「みんな、行くよ!」

彼女が掛け声をかけると、私たちは現場に向かった。目の前のモンスターは、巨大な鳥のような姿をしている。

「ターゲットAを確認」とクラリス。以下、このモンスターをターゲットAと呼ぶことにしよう。ターゲットAは、私たちの存在に気づくと、私たちに向かって口から炎を吐いた。イザベラがバリアでそれを防ぐ。ターゲットAが再び空高く舞い上がり、宙返りをしてこちらに向かってくる。アメリアが素早く弓矢を放つ。空中で彼女の矢とターゲットAの炎が衝突する。矢も炎も空中で消えた。私も弓矢を取り出して、ターゲットAに標的を定めた。矢はしっかりとした軌道を描いてターゲットAの方向に飛んでいった。しかし、次の瞬間、あっけなくかわされた。クラリアが自作の銃を乱射する。周りの建造物が次々に破壊される。

「クラリスさん、周りの建物を壊さないであげて。そこには住んでる人がいるから。」

「うるさいなー。ミナ、そんなに言うならあんた1人で周りを傷つけることなく、ターゲットAを倒してみなさいよ。できるの?」

「それは…」

「できもしないこと言わないで。モンスターを倒せれば何でも良いのよ。魔法少女の仕事は、奴らを倒すことなんだから。」

クラリアは昔から運動が苦手だった。運動音痴というのは、戦闘において支障をきたす特性だ。クラリスはそんな自分でもどうしたらモンスターを倒せるのかを研究し、この戦闘スタイルにたどり着いたのである。

彼女の乱射した銃弾の何発かがターゲットAに命中し、モンスターはダメージを負って地面に落下した。

「こいつ死んだかなぁ?」

クラリスが生死を確かめるかのように、モンスターAの目玉を撃ちぬく。

「ちょっと、そこまでしなくても良いじゃない。もう生きていないんだし。いくらモンスターでも可哀そうだわ。」

私は思わずターゲットAの身体を優しく撫でていた。

「きもっ。あんた、バカなんじゃないのっ。こんな人間を襲う化け物を優しく撫でるなんて。これだから貧乏人は…」とアメリア。

「ほんとよね。アメリアの言う通りだわ…」とイザベラ。

その日、他の魔法少女たちは、私一人を残してその場をあとにした。取り残された私は、モンスターAのお墓を作って、成仏できることを祈って御祈りをした。いくら人を襲う怪物とはいっても、あんな形で命を落としたことはいたたまれなかった。良く見ると結構可愛い顔をしていたし、彼にだって大切な家族や友達がいたかもしれない。私が魔法少女になろうと思った理由、それは誰もが幸せになれる平和な世界を作りたかったからだ。人間も、モンスターも、動物も、昆虫も、誰もが幸福な気持ちで暮らせる世界。それは理想論かもしれない。けれど、そんな世界を作りたいと私は思う。今までだって、そのために努力を重ねてきた。いじめられていた時もその場では笑顔を振るまって、酷いことを言われても気に留めないように心がけてきた。けど、今、私の心は揺らぎかけている。クラリスの言うように、できもしないことばかり言っても駄目なのかもしれない。でも、私は平和な世界を諦めたくない。今までだって、そのために努力してきたんだから!


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