第22話「最終結界、黒い校舎」
1.閉ざされた世界
「ここは……どこだ?」
智久が目を開けると、見慣れたはずの学園が異様に歪んで見えた。
壁は黒い霧のようなものに覆われ、空は厚い闇に閉ざされている。
「――スキマ結界に囚われたんだ」
真白が冷静に説明した。
「この校舎全体が“境界”の中にある。
時間も外の世界とずれている。逃げられない」
澪や凛、クラスメイトたちも混乱した表情で周囲を見渡している。
2.「誰かを救うことは、誰かを犠牲にすることか?」
リヴィエルの声が空間を満たした。
「ここが、君たちの最後の試練だ。
“誰かを救う”ことは、果たして“誰かを犠牲にする”ことなのか?」
彼は一歩一歩、校舎の中心に歩みを進める。
「選択の時だ。君たちが守りたい“心”を示せ」
3.仲間たちの決意
凛が真剣な表情で言う。
「私は、みんなを守りたい。
誰かを犠牲にしてなんていられない」
澪も同意した。
「私も……みんなで、乗り越えよう」
真白は智久の肩に手を置き、静かに頷く。
「智久、私たちは“悪魔”じゃない。
人間の“心”を信じよう」
4.智久の決断
智久は深く息を吸い、周囲を見回した。
「俺は……誰の痛みも、見捨てたくない。
だけど、誰かを犠牲にする選択は、絶対にしない」
「じゃあ、どうする?」
リヴィエルが冷笑した。
「それでも“最初の契約者”である君は、悪魔の一部だ。
君自身のスキマも、満たされなければ、世界は壊れる」
5.スキマの共鳴
その瞬間、智久の心の中で何かが弾けた。
痛みや孤独、恐怖が鮮やかな光となって飛び出す。
それは周囲の仲間たちの心とも共鳴し、結界に変化をもたらす。
「みんなの痛みも、孤独も、俺たちが受け止める。
だから、誰も犠牲にしないんだ」
真白の瞳も強く輝いた。
「境界は越えられる。私たちが証明する」
6.決戦の幕開け
校舎を包んでいた黒い霧が一気に晴れ始める。
だがリヴィエルは諦めない。
「甘い。境界を越える力はまだ足りない!」
彼は大きく翼を広げ、黒い闇を纏った剣を振りかざした。
智久たちはそれぞれの力を結集し、最後の闘いに挑む。




