第四十六話怪しげな影
「ハハハハハハハ」
悪魔のような笑い声で笑い、チェーンを振り回しながら紀村は周りを蹴散らす。
「鎖分銅にでも変えるか…」
すると後ろからバチンと言う音が聞こえ、紀村がよろめく
「あぁ!?」
チェーンから鉄パイプに切り替えた紀村は後ろを向くとそこにいたのはある意味場違いな服装の特攻服の男がいた。
「俺が相手だぁ!紀村ぁ!」
そして金髪のリーゼントうん十年前のヤンキーのコスプレと言った方が近いが警棒を持ち、こちらを殴ったので渋谷デベロッパーズ側の人間なことは間違いない。
「誰だぁ…」
(本当に何なんだこいつ?あれはアイツなりのファッションか?それともただバカなのか?)
「俺は鳴神だ」
鉄パイプに鎖を括り付け引きずりながら紀村は鳴神の顔面にフルスイングする、それをよけ懐に入りわき腹を殴る。だが元の威力がかなり弱いためすぐにカウンターを打たれてしまう。
「お前なんも格闘技やってねぇだろ?」
鉄パイプのスイングを鳴神は警棒で受け止める。
「それで?武器使うからいいんだよ」
鳴神の顔面を左で殴り、嘲笑う。
「折角武器使うならさぁ…色んな武器使った方がいいぜぇ…」
顔面の片側が痛い、紀村の左手にはメリケンサックも握られていた。
「そうかな、でも生憎そんなに金がないんだよ」
鉄パイプとメリケンサック巧みに扱う紀村のポケットにはほかにも何か暗器を隠してるようだ。
(こいつは他にどんな武器を持ってるんだ?もしかするとナイフを持っている可能性もあるな)
鳴神が考える暇もなく、紀村は鉄パイプとメリケンサックで鳴神を翻弄する。
「クソクソクソクソ!!!!」
それに続き鳴神も警棒を振り続ける。思考などできず、ただ武器を振り回し相手を倒すことに精一杯になっている。だがその中でも鳴神龍生という初対面の敵を紀村は分析していた。
(こいつは力は俺に比べる大したことないな…だがその力の弱さをスピードで補っている、単純な力ならば俺の方が上のはず!)
鳴神の警棒がぶつかる前に紀村が鉄パイプで殴る、だが紀村は自分の手を捨てる覚悟で鉄パイプを手放し警棒を掴む。
「ゲへへへェ……」
そしてその警棒を鳴神ごと振り回す。
(こいつ!自分の手がボロボロになると考えないのかよ!)
思わず警棒を引っ込ませようとするも紀村は思った以上に強く掴んでいるため中々外すことが出来ない。だが空いている左手に握られているメリケンサックのせいで紀村が殴り掛かれないのも事実だ
(一回手放すのか?だが…)
一か八かの勘で鳴神は紀村の足を蹴る。
「はぁっ!」
そしてよろめいたところの顔面を殴る。
「ぐはぁ!!」
唇が切れ血が垂れる。
(こいつ!俺より手足が長いな!)
この二人の身長はあまり変わらないものの胴自体が長い紀村に対し、手足も長い鳴神…そしてそれに武器が合わさればかなりのリーチの違いが生まれる。
「結構早めに形勢逆転で来たなぁ!!」
首を掴み、バシバシと顔面を殴る。
「あははッ…」
だがこんな状況で紀村は笑ってやがった。
「何だよお前…」
ここまでくると鳴神はこの紀村乃武彦という男に嫌悪感を抱いていた。
(時間稼ぎにしては…結構いいじゃん)
そして数条の硬直状態が続き。そのまま二人が突進する。
「ふん!!」
そして頭突きがぶつかる、先に出したのは紀村の方だった。
「ぐっ!」
頭を押さえながらも鳴神はパンチを繰り出す。それに負けじと紀村もその攻撃を避けつつ殴る…素人同士の戦いではあったがメリケンサックや経験を込みして紀村の方が優勢だった。
(どこかであの鉄パイプを拾えたらな…)
その考えは紀村も同じだった。二人とも鉄パイプに目が行く。
(今だ!)
(今!)
そして二人で同じところに手が伸び、互いの腕を掴んでしまう。
「離せよ馬鹿!」
紀村は左拳で鳴神の顔面を殴るが腕でもう片方の腕でそれをガードする。腕を振り払いそれが顔面に当たる。だがそのまま紀村はこの短距離を走り鳴神の首元を掴み、膝蹴りをする。
「ぐぁ…!クソが…!」
足に付いた鼻血を拭く。
「へぇ~ムエタイとかマジで知らないけど…結構いいダメージ与えられんじゃん?」
「そうかよぉ!」
直行で顔面を殴るがたまたま額に激突に相殺されてしまう。
(もう何個か武器持ってればよかったな…)
そのまま腕を掴まれ折ろうとばかりに力を強める。
「がぁあああああああああああああ!」
本当に折れそうな勢いだがビキッという音がし、本当に骨にひびが入る。
「クソがぁああ!!」
そのままガムシャラに拳を振るい続けるが紀村はその攻撃を受け続ける。胸ぐらを掴み鳴神を殴り続け、そして鳴神を攻め続ける。
「ハハハッ!どうした!?お前はそんだけか!?幹部じゃねぇのか!?あぁ!?」
鳴神は腕を掴む。
「俺は…幹部なんじゃねぇよ…ただ強かったから戦力に追加されたヤンキー漫画好きの一般人だよ」
「はぁぁぁぁぁぁ…?」
紀村は大きなため息をつき、鳴神の首を絞める。
「呆れた…俺はそんな生半可な覚悟でやってんじゃないんだぞ?」
「そうかよ…でも俺は…」
直後紀村に激しい何かがぶつかる。
「げッ!?」
鳴神の首が介抱される。そしてその手には鉄パイプが握られていた。
「俺は…!」
そして紀村をフルスイングする。
「ヤンキーはヤンキーでも…漫画の方みたいな奴に俺はなりてぇ!」
そう宣言した。
「けっぇ…やっぱバカじゃん…」
警棒と鉄パイプの二刀流で紀村を殴る。
「クソッ!ただの時間稼ぎだと思ったら!めちゃくちゃ強いじゃねぇか!お前は一体何なんだよ!?」
鳴神は体中に付いた血を手で拭う。
「あー確かに…俺何がしたいんだろうな…勉強も上手くできないから…腕っぷしだけで生きてきたけど…将来の夢や進路なんてちっとも考えてなかったしな…」
「ふーん、お前結局行き当たりばったりな野郎だな」
そして懐からアーミーナイフとクボタンを取り出す。
「どっちがいい?」
そうニヤリと笑いながら言う紀村に対し
「どっちも使えよ」
鳴神は挑発めいたことを言う。
「そうか…じゃあ、俺はこっちを使うぜ!」
そして鎖分銅を取り出し鳴神に投擲する、それを間一髪で見切り鉄パイプで殴る。
「クソッ…」
鉄パイプは実際結構重い、それに比べて警棒はかなり軽い、だが大きさを考慮すると鉄パイプでガードし警棒で殴る作戦が一番適切だろう。だが一か八か…やるしかない!
「うぉおおおおおお!」
気合を入れ、叫びながら突進する。
「さっきみたいにはいかねぇぞ!!」
紀村の投げた鎖分銅を鉄パイプ…ではなく警棒で跳ね返す、安物の警棒だったため警棒は簡単に折れてしまったが鉄パイプで紀村の顔面を殴ることに成功した。
「がぁ…そっち…ね…」
紀村は少し吹き飛ばされる。鳴神もふらつく体を鉄パイプを杖代わりにし、何とか支える。
「俺…めっちゃ強いじゃん…」
だがその体には耐えれず、鳴神は倒れてしまった。紀村を撃破することには成功したものの、相打ちという形になってしまった。
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「紀村さん?」
関西弁の男、宮下が倒れている紀村のところに向かう。
「待て!!」
だが後ろにいるテオジンがまだ追いかけてくる。
「何や!?お前しつこすぎやろ!」
宮下はテオジンの腹に蹴りを入れる。元々ボロボロだったテオジンは腹を抱えその場に倒れた。倒れる一瞬鳴神が倒れていることが分かる。
(アイツ…この感じだと紀村を倒したのか!?すげぇな…)
宮下は紀村の体をあちこち触り、紀村を起こす。
「何だよ…気持ちわりぃな…」
「紀村さん、そろそろ行きましょか」
紀村はあくびをかいた後背伸びをする。そして鳴神に視線を向ける。
「返してもらうぜ~♪」
紀村は鉄パイプを手にし宮下とともにどこかに向かっていった。




