第四十五話ヤギと忠犬
天道との戦いで蛇山がナイフを警戒し始めたのは佐鹿純生…こいつが原因だ。そんな佐鹿は真崎との闘いでもナイフを扱うがそれに対し真崎はその辺の石で迎え撃つ。
「渋谷デベロッパーズのリーダーに対して石で?俺も舐められたな」
そう軽口を叩く佐鹿のナイフを火花でも散らすような勢いで石ではじき返す。
「渋谷今落ち目だからな」
真崎は佐鹿の腹部を蹴る。
「アがぁ!?」
(トラックか!?)
真崎厚治という男はあのウルフガングのNo.2、天道とは違い頭脳派の一面を見せるものの体はかなりゴツゴツしい…まるでドーベルマンとでも言えるだろう。
その2Mはあるであろう大男に蹴られたら一溜りもない、大きく後退した後そのままタックルでぶつかる。壁に打ち付けられるもののの体制を整え再び立ち向かう。
「真崎ッー!」
一瞬、ナイフから手を放す。
(ナイフを捨てた?)
だがそれはブラフだ左側から真崎の顔面を殴る。だが全く効いている気配はしない。まるで壁を殴っているかのようだった。
(こいつの格闘スタイルは確か合気道…受け流すのが主な行動こちらから行動しなければどうってことないはず!)
だがその読み通り相手からの打撃は大したことがない、カウンター前提の攻撃受け返してからナイフでの斬撃が主なメインになってくる。真崎の読みはそうのはずだった。だが実際の佐鹿の攻撃は違った、佐鹿は真崎の腕を掴み逆方向に曲げて腕を折り曲げようとする。
「おいおいおいおい!」
佐鹿の足を蹴り振りほどこうとするのだが佐鹿の腕への執着は変わらない。ここで真崎は理解する、佐鹿の強さの本質というのは技術や武器もあるがその手段を選ばない残虐性…それが佐鹿純生が渋谷の王にまで上り詰めた理由…パキと腕がなる中真崎は推理する。
(折られてたまるかよ!)
この細身に反してとんでもない握力を持つこの男を振りほどくというのは困難に近い、そこで真崎は方向を変え振りほどくのではなく壁に叩きつける方向性に舵を切った。この公園は遊具はないものの広めの公園として知られている、だがウルフガングの半分…つまり四十人ほどの構成員が参加する中で三分の一が参加している渋谷デベロッパーズでも六十人ほど、ちょうど百人ほどの軍勢がいるとなるとかなり狭くなる。
(そうか…ここは狭いんだったな)
この公園が狭く感じるのは佐鹿も同感だった。そこで近くにいた人物を見る、ウルフガングは成馬高校と龍申高校の生徒で基本構成されている。
(成馬の学ランは赤で…龍申は青のブレザーだったな…)
近くの人物は青のブレザーつまり龍申の生徒のはずだから…
(こいつなら巻き込んでいい!!)
佐鹿は片手を話し龍申の生徒の襟を掴む
「はぁ!?ちょ…!?」
勿論困惑しているもしているがそいつを武器として真崎にぶつけた。
「正気かこいつ!?」
真崎はギリギリで避けるだ人をも武器として扱う佐鹿に対して手段は選べなくなってきた。
「ここからは俺も手段を選ばない!!」
佐鹿の腕を掴む
(さてどう抜け出すか)
だが考えているうちに佐鹿の視点は上下反転していた。
「は?」
レスリングに置いて投げ技というのはかなり重要だ。今真崎したのは相手の腕を取り転がすように投げる一本背負いという技…かなり普通の技だがそれを常人ではありえない筋肉と気力で補っている。
「てか…いつの間にか敬語外れてんじゃないの…」
真崎は手首をぐりぐりと回しながらほぐす。
「お前もいつまでその口調でいられるかな?」
血を吹き出しながら立ち上がろうとする様子を見下しながら何度も、何度も間髪れずに顔面を蹴り上げる。
(起き上がらなきゃなのに…ここで勝たなきゃBIRDを潰すなんて夢の又夢だぞ…)
だがその思い虚しくこの状況から立ち上がることが出来ない。
「終わりだ」
最後にかかとを落とし佐鹿の元を去ろうとする。しかし彼奴はまだ足を掴み地面をナイフに突き立てる。
「まて…よ……」
息も絶え絶えな声で真崎ににじり寄る。
(少し煽ってみるか)
「愚かだ…なぜここまでする?そっちが勝てるビジョンはどう考えても見えないはずだ」
そこで真崎が取った手段は相手を挑発させることだった。
「お前は何が目的だ?」
なおも立ち上がる佐鹿に呆れながら問う。だがその発言は佐鹿の地雷を見事に踏んだのだった…
「大切な人を…無茶苦茶にされたことはあるか?」
「ん?どうした?」
バタフライナイフを回すながらじりじりと距離を詰めていく。
「そいつらは今のうのうと生きてるのに…その子彼氏と幸せになるってのに、つけられた傷は癒えないんだ」
真崎はファイティングポーズを構える。
「あぁ…俺にも大切な人はいる…だがそっちの状況を俺は何も知らないんだ」
壁でナイフをギリギリと削り。どんどんと幅を狭めていく。
「そいつはBIRDにいる、だから俺はBIRDを潰さなきゃならないんだよ!!」
そしてナイフを構え飛び出す。
「俺もなあ…引き下がれないんだよ!!」
双方陣営の強豪が再度ぶつかり、激しすぎる火花を散らした。




