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Snake Skin  作者: 中野震斗
S1表裏一体編
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第四十一話総長補佐たち

「コージ?あいつら、いつになったら襲撃するの?」


そう呼びかける天道に真崎は呆れながらも返答する


「お前がウルフガングのリーダーだろ?」


「え?俺が計画を立てるの?めんどくさ…」


ウルフガングとしての自覚がないのか、天道はどうもこういう面倒ごとには積極的ではない。だがその実力は本物なので真崎以外はかなり扱いに困っているようだった。


「しゃーないな…計画立ててくれてたら。今度の映画代おごるからさ」


「じゃ、やるしかねーか…」


映画の料金を奢ってもらえるとなっては天道は断る理由がない。


二人で話しながらいつものアジトに着くと一触即発状態の光源クルーメンバーたちがいる。


「なあお前らどうし…」


するとメンバーの一人南田がその巨体で殴り掛かってくる、だがそれを天道は難なく受け流し顔面を殴る。

____________________________________

時は数時間前に巻き戻る、先にアジトに来ていた光源クルーのメンバー全員がリーダーである藤森に招集されていた、もちろんそこに元リーダーの柘植の姿はなかった。


この不良連合組織BIRDには普通のルールに加え暗黙のルールがある。それはそれぞれが持つ事業だ、例えば渋谷デベロッパーズ鈴木が主導でケツ持ちをしている。現在事業の存在がないのは光源クルーのみ、だが同じく事業を持たないウルフガングは本部直属の殺し屋ならぬ壊し屋事業をしている。


「何であいつらだけ…」


「おかしいっすよ!藤森さん!」


南田や松岡などの幹部は不満でイライラを募らせていたが榊原と藤森はただ冷静に今の状況を俯瞰していた。


(どうする?そもそもこいつは柘植についていたのかすら怪しくなってきたな…)


藤森の算段は柘植を失脚させたのち、榊原の次の最高幹部としての座を置くつもりだった。それは柘植についてきていた他の構成員を取り戻すためだったが、柘植についてくる間もなく先の忠誠心はどこへやら…皆藤森に乗り換えた。


「どうすればいいんだって聞いてんだよ!俺らは舐められっぱなしだぞ!せっかくの光源高校の面子が丸つぶれだ!」


榊原以外の構成員が騒ぎ立てる中、藤森は壁を叩き皆を黙らせる。


「黙ってろ…!今は構成員の問題を俺は考える、事業はてめーらで決めてろ!」


そして他の構成員と榊原指導で事業についての会議が始まる。


「どうする?ギリギリ逮捕(オセワ)にならない程度かバレにくいやつじゃないとダメだべ?」


「ケツ持ちか…金貸しか…違法賭博(ギャンブル)か…」


何故か文化祭の出し物を決めるクラスメイトとそれをまとめる委員長榊原、そして結果を待つ先生の藤森という謎な構成になってきたころだった…その時に全く空気を読まずに悩みの種の一つであるウルフガングが入って来たのだ。

____________________________________

「いや俺関係なくね」


要するに南田の完全な八つ当たりというのが結論である。


「クソが…てめぇら潰してやろうか?」


すると何故か隣の部屋からいつも通り喧嘩用のアーマーリング、そして今回は鉄パイプではなく木刀を持った紀村がいた。


「この場所の構造どうなってんの?」


「建築途中で放置されたマンションだからけっこー部屋数あんのよ」


紀村は後ろを振り返る


「それより!てめぇらなんだ?所詮光源クルー…俺らの下の癖に喧嘩売ってんの?」


紀村の完全に見下した態度とその言動は近くにいた松岡を地雷を踏んだ。


「俺らが下だと…ふざけやがって!」


すると松岡が拳を降り上げる、だがその拳は紀村に届く前に真崎の体当たり一撃で吹き飛ばされる。


「おっとすいません…つい体が…」


その真崎の体当たりの音はこのフロア全体に鳴り響き、榊原の目にも届く。


「何だ!どうした!」


榊原がドアを開けるとそこには倒れている南田と松岡…そしてウルフガングの面々がいた。


「てめぇらか?」


榊原はファイティングポーズを取る。


「いやいや…そちらから来たもので…お詫び申し上げます」

(あ!やべ!また敬語になっちまった!)


そう心の中で思うのも束の間榊原の拳がこちらに飛んでくる。


「グッ!」


だが真崎はそれを自身の大胸筋でガードする。


「気持ちわりぃんだよ敬語やろう…てめぇーは警察(イヌ)じゃあるめーし」


榊原はなおもかなり重いジャブとストレートの1,2を真崎へと打ち込む。


警察サツねぇ…」


真崎は榊原の顔面を思い切り殴る。だが鼻血を流しながらも立ち向かう。


「でも警察《イヌ》は警察《イヌ》でもお前は天道のイヌだな!」


先ほどまでパンチばかりだった榊原が回し下蹴りで真崎のちょうどアバラを狙う。


「うぐっ!」


別にアバラが折れたわけではないが骨が浮き出やすい部分であるためかなりのダメージを負わされたことが身体で分かる。

アバラにダメージを負いながらも真崎は榊原に突進する。


「イヌはイヌでも政府の犬の方ならまだいいな、お前みたいな駄犬と違って」


その発せられた言葉に右ストレート...つまり拳で返す。


「駄犬?ふざけやがって!」


そして腕の位置からつぎに来るであろう右フックに備え真崎は右方向をガードする。

しかし榊原が繰り出したのは左ストレートだった。


「なに!?」


先程まで右利きだった奴は急にサウスポーに動きを変えてきた。そこから導かれる結論は1つしかない、真崎はその剛腕で榊原の顔面を殴る。


「アイツ...まさか」


天道が呟く、その言葉にいつの間にか来ていた藤森が食いつく


「そう...俺が榊原をNo.2に選んだ理由はあいつが両利きだからだ」


クロスドミナンスという言葉がある。それは使う動作によって利き手を変える言わば両利きと呼ばれるもの、しかし本当の両利きというのは右でも左でも、まるで機械のように完璧に使いこなす者のことを言う...


榊原がサウスポーに切り替えるとなると真崎は先程までの戦術が使えなくなる。だが真崎はサカキと違い二年生だ、くぐり抜けてきた修羅場まだ高校に入って数ヶ月の榊原とは違う。


「お前はまだゴリ押しで行く気か?」


すると真崎は榊原から放たれた左ストレートを掴む。


「そちらもサウスポーに変えただけでゴリ押しでしょう?」


掴んだ腕を押さえつけられしゃがんだ榊原の顔面を思い蹴り上げる。


「がは…!!??」


それは一瞬の出来事だった…榊原は今何が起こったかを理解できていないはず…鼻血を吹き出しそのままその場にぶっ倒れた…


「おっとそこまで~」


天道が二人の間に入り、藤森の方を向く。


「ね?だから俺はこんなに強靭(タフ)で頼れる友達(ダチ)のコージを選んだわけ」


その言葉に藤森は軽く微笑む。


「お互い良いNo.2を持ってんじゃねーか」


二人が笑い合うその後ろでぶっ倒れた榊原を真崎は振る。


(クソー!こういう時リーダーはいいよな、何もしなくていいんだから)


「つかさー天道さん、今日はどうするんすか?」


先ほどまで完全に蚊帳の外だった紀村が話に割り込む。


「うーんそうだな…やることないし帰りたいけど…」


すると後ろから少し不気味な気配を感じる。


「誰だ!」


瞬間的に振り返るがそこにいたのは佐鹿だった。


「おん?何そとんの?呼び出しとかあんじゃないの?アンタラ」


そういう佐鹿だがここにいるということは彼をサボりだろう。


「お前もサボりだろ?」


「あっいっけね☆」


佐鹿は藤森のその言葉の後そそくさとその場を離れていった。だが皆が一瞬感じたように佐鹿には謎の威圧感(プレッシャー)恐怖的オカルスティックというかあの男には不思議な気配が漂っている。まるでヤギの顔を持つ悪魔(デビル)バフォメットのようだ…


「あいつ一体何なんだ?お前らも感じたよな」


藤森がそう尋ねると他のメンバーといつの前にか起きていた榊原がうなづく。


「なーんかねーあいつ何かよからぬことを考えてるのは確実だよな」

天道は言う


「でも…あの明るいのは演技なんでしょうか?」

真崎が疑問を呈す。


「一回あいつと戦ったけど、俺ですら出すのに躊躇するナイフを平然と出すあたり典型的なサイコパスだよな…」


紀村が答えるように佐鹿の目はいつもマッシュヘアーで隠れているため、他の人からすると思考が読み取りづらいと感じるだろう。


「でもなんだろ…俺たちのことを敵対視でもしているのか?」


榊原の言葉で真崎はあることを思い出す。


「すいませんちょっと一旦帰ります」


「いい加減やめろ!敬語野郎!」


いつもはその言葉に食いつく真崎だが今回は天道にも目もくれず走り去っていった。


「どうしたんだコージ?」

____________________________________

「佐鹿…佐鹿…」


ここはウルフガングのパソコンルーム、主に真崎などの幹部が池袋を中心とする情報を集めたデータがこのパソコンに入っている。そして真崎はあるファイルに行きつく。


「これだ…」


それは現在追っている男蛇山葉月に関する情報をまとめた情報だ、そして蛇山が戦った相手を時系列に見ていくと最初に鈴木と戦い、その次に寺尾と戦う、そして近い日に再戦し佐鹿と戦う、そこから蛇山の情報を鈴木から仕入れたであろう柘植が光源クルーの構成員を向かわせその後藤森と戦う…


蛇山は佐鹿と戦っている…普通なら他の組織とともに渋谷デベロッパーズも向かうこともあり得るがそれ以降渋谷デベロッパーズと戦った記録はない。それに光源クルーの構成員からの情報によると幹部の松岡は佐鹿が倒したという情報まである。


「アイツは…もしかし蛇山側についているのか?」


真崎の結論はこうだ。そしてもっと蛇山葉月という男について調べていく。


「似た名前の有名人…似た顔の同級生…」


そのサーチ力は常軌を逸しており、物理的に血眼になって情報を調べあさっていた。する一人の人物に行きつく。


「NAOFUMI…」


NOFUMI…彼はかなり有名なボクサーであったが心不全のため亡くなった。そして彼の追悼のネットニュースにはこんなことが書いていた。


「NAOFUMIこと本名蛇山尚文さん…」


蛇山…探せばいそうな苗字ではあるがかなり珍しい苗字であることは確実だ…そして事実を決定づける一文があった、それは過去のニュースにさかのぼる。


「息子の葉月くん…?」


ここで完全に結びつく、蛇山葉月は蛇山尚文の息子だった。

____________________________________

だがこれの情報を掴んだところで何になるのだろうか?別に強い理由がボクサーの息子だからということは考えられるがそれ以上でもそれ以下でもない。


「だがここから奴の戦闘スタイルをなんとなくまねることが出来そうだ…」

____________________________________


そして後日改めて開かれた幹部会議の直前。真崎は天道にあるデータを渡す。


「何でこれ?コージ」


「とりあえず内容目通しとけ。」


天道が目を通すとその内容驚愕を隠し切れない様子だった。


「こっコレ!?マジか!?こんなの話して俺ら殺されないか!?」


そう騒ぎ立てる天道だが真崎は彼の背中を叩く。


「お前はそんなもんで殺られる玉じゃねーだろ?いざとなればあれ使え」


そう勇気づけたあと天道を会議へと送り出していった。そして姿の見えないBOSSが会議を始まった


さて、どうなるものか…それぞれ色んな族やチーマーの(ヘッド)が結果を話し出す。そしてウルフガングの番になった直後、天道は立ち上がり、佐鹿の方を指さした。


「こいつは現在俺たちと敵対状態にある蛇山葉月との接触と協力が見えた。」


すぐに場がざわめきだす。すると事の張本人佐鹿が立ち上がる。


「あ~そっか...バレちゃった?」


「悪く思うなよ?佐鹿」


すると佐鹿が髪をかき上げる。普段は見えないあの悪魔のような眼差しが天道を睨みつける。


「俺…ここ抜けるわ」

遅くなりましたが明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!

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