第三十九話狼
成馬高校の天道悠仁と真崎厚治…この二人は池袋で猛威を振るっているが実際の戦闘スタイルや行動は分からぬままだ。
「はぁ…あいつらにやられたままでいいのかよ…」
BIRDに属していない不良はごまんといる、山野がリーダーを務める風利宇須はウルフガングの真崎に敗北し、それの報復をしに行く予定だ。
「あんたも協力してくれんだよな」
「ああ」
山野と合流したのは立川を拠点とするチームサークル666のNo.2長井峰人と
「BIRD所属なら…俺らの敵だ」
リーダーの高橋泰典だ
「あいつらの居場所は分かってんのか?」
山野の問いに高橋と長井は無言のまま頷いた
「その感じを見ると分かるんだな?」
「ククク…ここまで近いからな…」
高橋は指を鳴らす
「さぁ行こうぜ」
____________________________________
ウルフガングは特定のアジトを持たず、成馬高校の屋上を根城にしている。
「おらぁ!天道!真崎!出てこい!」
ドアを蹴破り風利宇須とサークル666が入ってくる
「誰だぁ…」
そこにいたのは幹部の連中とプラスして宮下がいた
「行くぞぉ!」
山野の掛け声とともに構成員たちが飛び掛かる
「はぁ…めんど」
早速向かってきた長井の顔面を回し蹴りで蹴る。長井は吹き飛ばされながら冷静に分析をする
(何だ…この蹴り)
回し蹴りを使う格闘技はいくつかある
(どこかのタイミングで掴めたら…)
だが予想は完璧に外れ長井は想像以上に吹き飛ばされ、フェンスに激突する
「掴めるとでも思ったか?」
隙が空きまっくた長井は攻撃が当たる覚悟で拳を振るうが天道に受け流される
(この型は…!)
長井は気づくも時すでに遅し、顔面に突きが直撃する。
「掴めるとでも思ったか?」
長井の単純な考えを読むかのように天道が端に長井を追い詰る、これで完全に逃げ道はなくなった
(クソがぁ!こいつは…でも…)
などと考えを巡らせているうちにお長井は殴られ続けている。
(あの長井があんなにもあっさりと!?)
井の中の蛙大海を知らずとはこのこと、東京ですら狭い領域なのにその中の立川の中のチームの強者で合ったカエルは天道という狼に食べられてしまった。
だが長井はあの殴られている間に分析し天道の戦闘スタイルを見つけ出した。攻撃の受け流し方や仕方…天道が主に使うのは”空手”だ
それは別組織のリーダーである山野も気づいていた
(やっぱ東京は広いな)
そして山野の拳を紀村は顔面で受ける。これで与えた攻撃は十数回になる
「紀村ぁ!お前本当にやる気あんのか?」
けだるそうな表情と言い殴られっぱなしな態度と言いい、こいつからはやる気を感じられない。だがこれは山野が一方的に攻撃できるチャンスだ
「おら!おら!どうしたぁ!受けているだけかぁ!」
山野の拳や蹴りを紀村は一方的に受けもせずただ単純に殴られ続けている
「そろそろかな…」
そう聞えた紀村の小声は山野には聞こえなかった。そして山野は勢いをつけるためにバックステップを取る。
「行くぞぉ!紀む…」
が、次の瞬間山野の視線に写ったのは鉄パイプを持ちこちらにとびかかってくる紀村だった
「え…」
山野が驚きの言葉を発する前に鉄パイプのフルスイングが決まった。
「まだだろぉ!山野!これは一応小規模抗争なんだからなぁ!」
「イカれ野郎が!」
紀村はあくびをしながら自身の髪を掴む
「ちょっと色々図りたかったんだけどなぁ…これでわかったぜ井の中の蛙!!」
体制を立て直し降り上げられた山野の拳を鉄パイプで払い落とす
「ぐぁあ!」
呻き声を上げた山野の腕を集中に鉄パイプで殴り続ける。
「止めろッお!止めろッお!」
紀村は静止を求める山野の声を無視続ける
「腕中心にボコボコにしてやる…!」
狂気を孕み、ギンギラの眼で山野の腕のみをボコボコにした。
そして少し前…サークル666のリーダー高橋は真崎に殴り掛かった
(拳が全く効いていない!?)
勢いで殴り掛かったため気づかなかったが真崎は明らかに百九十を超える身長。端正な顔立ちをしてはいるがそれに見合わないとてつもない肩幅をしている。
(なんの格闘技を使ってんだ?)
高橋は顔面に狙い撃つため回し蹴りが顔面に直撃するが真崎には一ミリも効いていない様子だった。
(顔面でもダメか!?)
そうこの時の真崎は高橋のことなど眼中に入っていなかった。
(ゆーと宮下はちゃんと戦えてるとして…紀村は何であの雑魚相手に攻撃を受けまくってるんだ?相手の技量を図るためにしてもかなり時間がかかってるな)
周りを見渡しながら考えを巡らせている途中に高橋から攻撃されていることに気づく。
(かなり弱いな…スピードはいいが威力がないな)
「素人が…」
真崎はかがみ、タックルで高橋を突き飛ばす
(どうした!急に動き出しやがって!)
倒れた高橋の足首を真崎は掴み、そして捻る。
「ぐがああああ!」
高橋の叫び声は真崎に届かず、腹部を殴られ失神とともに嘔吐する。
「汚い…紀村は何してんだ?」
紀村はまだ山野の腕を鉄パイプで殴打し続けていた。だが山野の敗北は確定しているのに紀村は一向にやめる気配を見せない
「紀村さん、やめましょう」
真崎は紀村を後ろから羽交い締めにし山野から引きはがした。やはりというか当然というか…真崎の敬語癖は幹部相手であっても抜けない
「ちっもうチョイ楽しめると思ったのに…サークル666と風利宇須の構成員はまだいるか?」
成馬高校の屋上には大量の構成員の倒れた姿があった。他のメンバーを蹴散らしていた宮下は限界を迎え今にもフラフラになっていた。
「真崎さん、紀村はん……俺ごっつええ感じっすよね…」
「宮下!」
「あれ…無視…」
無視かに思えた紀村の言葉は後ろから向かってくる高橋の忠告だった
「高橋!!」
「一人くらいブチ殺してやる!」
すると
ドガッ
といい音がした、振り返ると天道が高橋の顔面を蹴り飛ばしていた
「うん、大丈夫だな」
宮下を見るその視線はいつものだらしない天道とは違い、かなり頼もしく見えた。
「サークル666と風利宇須だっけ?何で攻めてきたんだ?」
天道の疑問に真崎が口を挟む
「多分前ゆーを車で引こうとした奴じゃないか?」
「まっどうでもいいや。帰るぞー!」
屋上のドアに向かい帰ろうとする天道の後ろを長井が飛び掛かっていた
「天道!」
紀村の呼びかけに反応する間もなく長井が天道の首を絞める。
「長井っ…だっけ?」
息も絶え絶えな長井と違って首を絞められているはずの天道は余裕しゃくしゃくと言った感じだ。
「ああてめえの噂はよく聞いてるぜ…」
「改造人間…天道」
だがン長井がその言葉を放った瞬間。天道の顔が静かに憤怒の表情に変わる。まるで獲物を狩る狼のようだ。
「そ」
「何で改造人間って言われているかは知らねーが、こんくらいの実力だったら俺でも勝てるじゃ…」
天道の前蹴りが長井に突き刺さる
「ねぇ…か…やっぱ強ええな」
長井は天道の蹴りに感心しているようだったが自身の服が少し破れていることに気づく。
(経年劣化か?)
飛んできた天道の拳を長井は掴む、だが話した途端手のひらに強烈な痛みが走ったことに気づく。
「!?」
覆わず手のひらを見つめると血だらけなうえカミソリを掴んでいた。
天道の拳もカミソリを張り付けていたため血だらけになっている。天道はそれを地面に投げつけた後長井に向かって全速力で回し蹴りを放つ。
(ガードが崩れない限り!!大丈夫だ!)
長井は天道の蹴りなど大したことないと思っていたが突如腕に電撃のような激痛が走る。
(スタンガンか!?だとしてもが使うのは空手のはず…)
先ほどの戦いで天道の戦闘スタイルはある程度分かったはず
(ただの空手に負けるような玉じゃねぇよ!)
極真などの空手なら程度が知れている…はずだったが、どうも天道の技とはわけが違う。威力ではなく正確に大量に技を打ち込まれる感覚だった。格闘ゲームで端に追い込まれ、相手の隙を作らないために大量の弱攻撃を打たれている感覚だった。
(このままじゃガードが崩れるのも時間の問題だ!!)
長井の策略は、カードを一時的に外し横から回り込む作戦だった。がそれは失敗に終わる。
「クソがよぉ!天道!」
横に周り天道を殴ろうとしたとき天道の腕が長井の首を絞める、さっき自分がやった行動と同じだ。
「ぐっがっ…」
今にも気絶しそうにな長井を天道はただ詰めたく見つめる。そして長井の気絶により戦いは幕を閉じた。
「ふ~結構いいじゃん、長井って奴…」
まるでスポーツで負えたかのように幹部たちをボコボコにしウルフガングたちは去っていった
去っていく中紀村と宮下は疑問に思っていることがあった
「紀村さん、何で天道さん改造人間言われてキレとったんですかね?」
「さぁな…なんか言われたくねぇんだろ?」
口ではそういったものの紀村は分析をしていた
(いつの間に手にカミソリとか足にスタンガンとか仕込んでたんだ?そもそも足にスタンガンとか痛覚がない限りできないだろ?俺みたいに懐にいつも武器を仕込んでいる気配もない…どうすればあんなに武器を仕込めるんだ?改造人間ってあだ名もここから来てんのか?)
紀村が頭を巡らせてど、天道に直接効かない限り分からぬままだ。
その後ウルフガング恐れをなした風利宇須は解散、サークル666は息をひそめ、一部の構成員はBIRDに吸収されていった。
その様子をあの抗争の様子を名取はもちろん情報に入れていた。
「あいつらが何か聞けば渡すがな…もしウルフガングから来たらどうしよ」
名取は得も言ぬ不安のようなものを感じていた。
____________________________________
ウルフガングに狙われている中でも日常は進んでいく、一応格闘技をやっている身ではあるが、敵は未知数だ。でもそんな事ばかり考えていては日常生活も困難だ。
蛇山は明日に向けてスマホでネットサーフィンをしていた。明日はバンドバトルのことで何かオーナーから話があるらしく、ライブハウスに集まることになっている。そこで黒川に何かアプローチをしてお近づきになりたいな...というのが蛇山の考えだった。
「デートなんか行ったこともないしな…何に誘えば…」
すると映画の広告が目に付く
「これ…黒川が見たいって言ってたな…」
すぐに映画館などの情報を調べるが、かなり人気の映画なのか中々空いている映画館はない
「クソ…何でこんな映画が…」
黒川に近づきたいがためにわざわざ映画まで見に行くのはどうかと思う気持ちもありつつ、空いているシアターを探す。
「お…やっと空いている場所あった…」
小さなミニシアターだがここなら人気のこの映画でもかなり客席が空いている。
「場所は…」
「池袋か…」




