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Snake Skin  作者: 中野震斗
S1バンドバトル
37/42

第三十七話結果発表

ライブハウスの裏で柳田は鳴神を呼び出した。


「柳田さん…話って?」


「鳴神くん…あのね…」


「僕と…その…色々あったじゃん?」


鳴神平静を保っていたが内心は(あー!それのことかー!)という気持ちで柳田の話を聞いていた。


「どうする?」


(確かに俺が柳田さんのことを好きだったときは、女子だと思ってたけど今は…)

「どうすればいいんだー!」


「鳴神くん…多分心の声と言いたいことが逆になってるんじゃないかな?」


「ああごめんなさい…」


だが鳴神は今の数秒で脳内に結論を出した。


「俺は確かに柳田さんのことが好きでした…でもそれは柳田さんを異性として見ていたから…」


鳴神は頭を下げる。


「俺は多分柳田さんのドラマーの部分に惚れたんです!だから、俺の師匠になってください!」


予想外の言葉に柳田は拍子抜けだった。


「師匠…?」


「はい!」


柳田はまるで石、いやコンクリートのように固まった後に


「それなら…まぁ…うん!いいよ!」


柳田は鳴神の手を握る。


「…はい!」


鳴神にとって柳田は恋愛対象ではなくなった。


「あれ?鳴神どこに行ってたんだ」


「ん?まあな…」


だがこれからも友に音楽の道を歩んでいくことは変わらないだろう。

____________________________________

結果の発表は明日、なので用がない五人はもう帰ることになった。


「葉月ー!」


黒川が蛇山に横に来る。


「黒川…」


距離が近いというわけではないが…こうしてみると身長差が十センチほどあることに気が付く。


「ねぇ葉月…」


「どうした?」


「ライブ終わったからさ…今後は割となんもないと思うの…だから…私…学校行ってみる!!なんか覚悟決まった!」


初めて二人っきりで話したときは黒川も精神的につらい時期だっただろう、彼女が初めて見せた表情は悲しみだった…


でも最近の黒川はいつにも増していい笑顔をするようになった気がする。


「やっぱさ…黒川は笑顔の方が似合うよ」


「え?」


そんなことを言われた黒川はこっぱずかしさからゆでだこのように真っ赤な顔になる。


(ちょっとカッコつけすぎたかな…)


その言葉と発した蛇山も自身の発言を振り返り恥ずかしさを覚える。


(でもなんか…ドキドキする…かも?)


黒川もこういう経験は初めてではないはずだ。二人は初々しい雰囲気で初夏の帰路に着いた。

____________________________________

そして今日バンドバトルの結果がGOD立川に張り出された。


「あ~マジで腹痛くなって来た…」


いつもは馬鹿なはずの蛇山も緊張で胃がキリキリしていた。


「私は…頭かな…」


いつも元気な黒川も流石に頭が痛くなっていた。


「さっ結果みよーぜ」


やはりこんな時でも鳴神は能天気なままのようだ。


「えっと順位は…」


しかしかなり狭いため、なかなか結果が見えずらい。


「どれだ…」


澤村が撮った写真から結果を見る。


下位の順位には名前はない。そして五位、四位にも名前はない。もしかすると…と一位には一石一鳥の名があった。


「ていうことは…私たちのはこの写ってない二位…だね」


「うわ…悔し!」


「でも二位だよ!二位!凄くない!私たち!」


かなり上位の順位にこれたことか黒川はかなり興奮しているようだった。結果を直に見ることは出来なかったがそのモヤモヤと同時に色々なしがらみがスッキリしたような気がする…

____________________________________

スネークスキンの面々は気づいていなかったが一石一鳥も結果発表を見に来ていた。


「おっ…うぉぉおおおおお!私たち一位だよ!」


沖野が報告すると海堂が何故か瓶のコーラを持っている。


「しゃおらぁ!」


そして飲み干したコーラの瓶を机でたたき割る。すぐさま柳田が海堂の口を塞ぎフロアの奥に押し込む


「虹乃ちゃん!?何してんの!?」


「嬉しさのあまり…一位だよ!!もっと驚いてもいいでしょ!」


「まあでも確かに…」


海堂の言葉に同意する千歳は何故かいつものライブの衣装で来ていた


「何でその服なの…もっと普通の格好で来た方がよかったんじゃないの?」


沖野はそう冷たく言い放つ。


「でも…優香ちゃんの格好の方が変でしょ?」


確かに沖野のライブの格好は制服にビキニを合体させた過激な格好だ。


「あれは…確かに…そうだけど!」


沖野のあの格好はバニーガールと狼のマスクの面々に負けないインパクトが欲しいと思い。中学の制服を改造したものだ。沖野はぐぅの音も出なかった。

____________________________________

こうしてバンドバトルの結果も発表され、澤村は落ち着いて気持ちで学校に行く。澤村の学校での立ち位置はというと所謂陽キャというやつではないがクラスの下の下というわけでもない一番ちょうどいいいちだ。そもそもそういうスクールカーストを気にしているわけでないし、別に目立ちたいというわけではない。ただバイトのせいであまり遊びに行っていないのが現実である。


「ひ~よちゃん」


すると机の後ろから誰かが肩を叩いてきた


(あれ?私って一番後ろだった気が…)

そう思いつつも後ろを振り返るとそこにいたのは満面の笑みでこちらを見つめる黒川だった。


「そっか…詩音ちゃんもここの高校だったんだね」


「うん、まだ7月だし今くれば間に合うかなって」


その後二人は授業が始まるまでの数十分間話していたが澤村は心の中で思うことがあった


(何で詩音ちゃんは急に学校に来るようになったんだろう?そもそも今までも何で来てなかったんだろ?)


だがそれは本人にしかわからない事情があるはず…だから澤村はその言葉を発することを控えた。

____________________________________

蛇山たちの高校、大堂高校では部費の申請を溝呂木先生に相談していた。


「顧問だし、出来るなら国の負債くらいの額上げてやりたいんだけどな……」


「兆単位ですやん…」


「とういうか三人しかいないから実質同好会みたいなもんだしな…」


溝呂木先生に言われ思い出したが、確かにバンドとしては五人だが大堂に属しているのは川と蛇山と鳴神しかいない。


「だから…その…申し訳ないんだがこの話はまた今度ということで…」


「はい…」


川は肩をすくませ職員室を出ていった。この内容を二人に言わなければいけないとなると


「どうだった?」


「やっぱり駄目だった?」


「うん…」


あのライブにて鳴神のスティックが壊れてしまい、それは部費からどうにかしようとしたものの今はガムテープで補強したみすぼらしい状態で鳴神に演奏させることになってしまう。


「ごめん!鳴神!」


すると蛇山がそのガムテープ部分に何か書き始めた


「蛇山…何してんの?」


蛇山が書き終わったガムテープには”夜露死苦!”や愛羅武勇などと昭和のヤンキーのような文字が書かれていた。


「…なにこれ」


「何か鳴神のその服、衣装としての評判いいらしいからここにこういうの書いたらいいんじゃないかなって」


「蛇山…お前天才か!?」


「だろ!?お前のキャラにあってると思うんだよな~!」


なんだかトンチキな雰囲気で意気投合している二人だったが川はそれを冷め切った目で見つめる…これがいつもの…平和な日常だった…

____________________________________

鳴神は不良に憧れこの格好をしているが不良と言えばあのライブハウスの中で情報屋の名取はある人影を目撃していた。


(あの二人…なんだか見たことあるな…)


だがライブハウスの暗さでは録に顔も見えなかったうえ二人いたためはっきりとは確認出来ず、名取はその二人を取り逃がしてしまった。


そしてライブが終わり観客たちは外に出る。まだ初夏だというのにすっかり外は暗くなっていた。


「なぁ厚治、どうだったライブ」


「すげー良かったよなぁ」


「な!」

「潰しに行くのが惜しいよ…あんな素晴らしい同世代を…」


ライブを見に来ていたのは……池袋最大の不良集団ウルフガングのリーダー天道悠仁とNo.2の真崎厚治だった。

____________________________________

二人はBIRDの場所とは違う、ウルフガングのアジト…基天道と真崎が在籍する成馬(せいば)の屋上にメンバーを招集していた。


だがNo.3がいつまでたっても来ないため電話を掛ける。


「紀村~遅いよ~いつまで寝てんだよ~」


そして近くの佑正(ゆうせい)高校の屋上では緑髪の男が寝ていた。


「紀村さん!紀村さん!」


金髪オールバックの関西弁の男は緑川を揺らす


「ん~なんだよ…宮下…」


「もう会議やってますよ!」


「あ~大丈夫大丈夫、もうチョイで行くよ」

(うっわ…最悪やらかした)


緑髪の男は焦りを上手く隠しながら髪をかき上げ電話を切る。そして鉄パイプとライターを拾い椅子に腰かける。


「今からなら間に合うんでそろそろ行きましょか」


この男の名前は宮下昴(みやしたすばる)大阪から越してきたウルフガングのNo.4だ


「紀村さん」


「あぁ…行くか」


そしてこの緑髪の男は紀村乃武彦(きむらのぶひこ)ウルフガングのNo.3だ。

____________________________________

「やっと来ましたか…」


やはり紀村相手にも敬語が抜けない真崎はホワイトボードを持ってくる。屋上をアジトにするために蹴り壊して無理やりドアを開けたのだから使われていないホワイトボードを盗むくらい当然だろう。真崎はホワイトボードに説明を書き始めた。


「今私たちが狙っている男、蛇山は渋谷デベロッパーズと光源クルーに勝利したため、敵対勢力としてマークしました」


「人を呪わば穴二つってね」


天道のズレた発言により場が気まずい雰囲気に包まれる


(多分使い方ちゃうと思いますよ…)


宮下の中の関西人がツッコミそうになるが、心の中で抑えることが出来た。


「う”っう”うっう”ん!」


真崎がわざとらしく咳ばらいをした後会議が再開された。


「そして見つけ次第、我々に連絡し情報をください」


「はい!」


ウルフガングは圧倒的な戦力と隠密性で池袋という地をものにしてきた組織。そんな組織に蛇山は狙われてしまったということだ…

____________________________________

だがそんなこと蛇山が知る余地もない…いや知っていても今はどうすることもできないうえ別に今は何もしなくていい状況だ。それよりも蛇山の頭の中は黒川のことでいっぱいだった。やはりあの帰り道での発言はカッコつけすぎたと思っている。


次またライブが始まるまでかなり時間があるだろう、文化祭で行うとしてそれは二学期の後半だバンドとしての活動が暫くないとしたら、蛇山はしたいことがある、それは黒川との恋愛成就だ。

澤村と川がいい感じになっていたのは二人のお互いの呼び方を見れば早いだろう、鳴神だって男だと知らずに好きになった柳田先輩とも結局ちゃんと言いたいことを告げられた。


(でも…俺は何も誘えてない気がするな…なんかもっとちゃんと高校生っぽいことしたいよな…)


蛇山はツ〇ッターやイ〇スタで何か役に立つ情報がないか調べる。学生っぽいことというとカラオケやテーマパークに行ったり、少し遠いがビーチなんかもオシャレかもしれない。考えを巡らせると広告に目が行く。


「この映画…昨日公開したばっかなんだ…」


しかもよく見るとその映画の主題歌は黒川の好きなバンドだという


「よし!決まりだ!明日黒川を誘おう!」


蛇山は女性経験も少ないため、楽しみな反面ドキドキで胸がいっぱいになり目が完全に冴えていた。


すると蛇山に電話がかかる。


「誰だ?こんな時間に?」


電話の相手は


佐鹿だった。


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