第十五話黒川詩音
蛇山は佐鹿言う
「教えてくれ!何でお前がこの子の情報を売ったのか!それなのに…」
「何で逃げるよう言ったのか!」
「黙れ!」
佐鹿はナイフを振り続ける
「お前に何がわかるんだ!」
「分からないからこそ聞いてるんだ!」
お互いが顔に涙を浮かべながら攻撃と防御を繰り返す
「いいスピード持ってるね」
「こんなこと言って余裕が」
蛇山は佐鹿の顔面を殴る
「お前にあるのか!?」
後ろにのけ反った佐鹿はなおも攻撃を続ける
「お前に何が分かる!幼馴染なのか!?詩音の何を知っている!?」
質問攻めにされる蛇山は佐鹿の髪を掴み顔面を殴る。そしてまたしても腕を降り上げた蛇山の腕を掴み受け流す。
(何だこれ!?)
それにより倒れた蛇山を佐鹿は押さえつける
「お前…なんの格闘技やってんだ?」
掴まれた蛇山の腕をさらに強く握りしめる
「お前は知らなくていい」
だが過ぎに佐鹿の手を振り払う
「お前…本当そればっかだな」
そしてメリケンサックを取り出す
「もう終わらせよう、こんなくだらない戦い」
すると佐鹿のナイフが目の前に来る
(まずい!)
蛇山はナイフの刃を掴むことで何とか静止することができた、が言葉にならない痛みが押し寄せる
(痛い!痛い!痛い!)
その後ナイフを手から離ししゃがむ、そして佐鹿の腹を殴る
「はぁ…はぁ…」
蛇山の息が荒くなる
佐鹿がナイフを回しながら近づく
「どうした?もう限界か?」
「佐鹿!お前はなんなんだ!加害者か!?被害者か!?」
手のひらから血がダラダラと流れるがそんなことはお構いなしに佐鹿を殴るが全て受け流されてしまう、蛇山は佐鹿に問い続ける
「あの子がどうなったのか!?お前は知ってるのか!?」
佐鹿は蛇山を殴る
「知らない!でも…」
佐鹿はナイフを捨てる
「知りたくない…」
会話は静かだが、戦闘は終わらない
「これで終わらせよう!」
佐鹿は蛇山の顔面を殴る
「カハァ!…」
(まずい…力が入らない…)
蛇山は膝から崩れ落ちる
「終わりだ」
そして蛇山の顔面を蹴った。
これは完全に蛇山の敗北と言わざるを得ない状況だった。
佐鹿は涙をこらえながら、震えた声で言う
「もう…俺には関わらないでくれ…」
蛇山が立ち上がり
「ふざけんな!お前は詩音のことを俺よりも長くいたくせに知らないじゃねえか!」
「詩音はお前に会いたがってた!」
佐鹿はナイフを取り出しこちらに刺そうとする、蛇山も最後の力を振り絞り佐鹿を殴ろうとする。
しかし佐鹿と蛇山お互いの手が止まる
「葉月ー!……」
「詩音…?」
そこにいたのは蛇山を追いかけに来た黒川だった
「純…くん…」
佐鹿はナイフを捨て黒川に近づく、そして膝をつき顔を地面につける
「ごめん!!お前は俺のせいで!」
意識が朦朧としていた蛇山は会話を上手く聞き取れなかったが、ひたすらに謝っているのが分かった、後悔と悲しさが残る声で
すると黒川が手を伸ばす
「もうやめて…純」
「え?」
「立って三人で話そ?」
だいぶ落ち着いた三人はあの時起きたことについて話した、黒川にあったこと、蛇山との出会い、そしてバンドとしての夢を追ってること、佐鹿もあの時何があったのかを教えてくれた。
あの日、佐鹿は急に数十人の男たちに取り囲まれ、ひどい拷問を受けた、そのせいで黒川の居場所を犯人に告げてしまったこと、そしてそのせいで片耳の聴力を失ったことも佐鹿は教えてくれた
「なあ…俺はどうすればいい?」
佐鹿は黒川に言う
「許してくれなんて言わない…でも俺は取り返しのつかないことをした…」
黒川は佐鹿に言う
「もう…彼氏彼女の関係じゃないんだしさ…私とは別々の道で歩こうよ…」
「それでいいのか?お前は俺のせいで」
「そもそもはさ…犯人の奴が悪いだから、純くんが言うことじゃないよ」
佐鹿は何か覚悟を決めたような顔をし、立ち上がった
「決めた…俺はデベロッパーズの全勢力を使ってあいつらを見つける」
「…そう葉月はどう思う?」
「俺は…どうすることもできない…でも二人がいいなら、いいんじゃないかな?」
蛇山と黒川は立ち上がり、この二人は別々の道を追い始めた
去り際、佐鹿は黒川に言う
「俺のこのなんか忘れてさ…夢、追ってくれ」
「…うん」
そして蛇山にはあることを言う
「蛇山、バードに気を付けろ」
「バード?」
「俺が言えるのはこれだけだ」
あんな壮絶な戦いや話が合った後とは思えないくらい、静かに三人は去っていった




