魔法剣
「では、よろしくお願いします。シャルドネさん。」
「ああ。」
右手に持っていた木剣を構えた。すると、こちらを見ていたシャルドネさんが興味深そうな顔をした。
「グレイスといったか、その剣は誰に習った、フォール元騎士団長か?」
「ええ、お父さんに教わりました。では、いかせてもらいますね。」
魔法を剣にまとい身体強化、そして空属性を使い地を蹴った。シャルドネも剣に魔法を纏う。本来、火属性の魔法剣は青色にはならない。シャルドネの技術によりその火は、青色へと変貌を遂げていた。
「おい、シャルドネさんに初めて魔法剣使わせたぞ、マジか、グレイス。てゆうかあちぃな!」
「凄いですね、此処まで熱が伝わってくるなんて。」
その魔法剣をみたグレイスは、走りながら詠唱を放った。「スカイドル!。」すると、シャルドネの剣にまとわれていた青い炎は消えてしまった。
「そうか、空属性か。」
シャルドネは魔法剣を解かれた瞬間、自らの身体強化を強めグレイスの剣を防ぐが、魔法を纏った剣は纏っていない剣より物質的にも、概念的にも強い。一度目は防いだが、シャルドネはあと数度この状態の木剣で撃ち合えば自分の剣が先に折れることを理解していた。
「すこし、距離をおかせてもらう。」
シャルドネはバックステップで距離を取った。グレイスはそのまま斬りかかる為に、距離をつめるが、シャルドネが魔法を行使した。その瞬間、部屋が閃光に包まれる。グレイスはあまりの光に目を瞑ってしまった。
剣を握る手に強い衝撃、剣を叩き落されたのだろう。目を開くと、徐々に視界が鮮明になっていった。
「危ないところだった、グレイス、つい先程の魔法、スカイドルで私の魔法剣の周りの空気を掌握したな。体外系魔法を維持しつつ、その身体強化。やはり、フォール元騎士団長の子というわけか。」
「そこまで褒めらると、照れますね。」
「そうか、だがグレイス、そこまで体外系魔法を扱えるのなら、魔法剣の固有魔法も使えるんじゃないのか?」
「ええ、しかし、模擬戦にはあまり向いていなくて。」
魔法剣の固有魔法。魔法剣を習得した者達の中でも内包系、体外系どちらも高度に扱える強者だけが手にできる秘技。固有魔法というだけあって、効果は個人個人で変わるのだ。
「グレイスくん、魔法剣を使えるのは知っていましたが、固有魔法まで使えるんですね!。トール、驚いちゃいました。」
「おいおい、めちゃくちゃグレイス強いじゃん。」
「では、シャルドネさん。お手合わせ、ありがとうございました。」
「なに、気にするな。」
模擬戦も人通り終わり、トール先生の呼びかけのもと集まり終わりの挨拶をする。
「ヴェルス総合学園、生徒諸君、みないい腕前だった。時には、私でも肝を冷やさせられたものだ。どうか、自分の得意とする所を忘れず、鍛錬に励んでくれ。」
「シャルドネさん!、挨拶、ありがとうございました!。じゃあ、これで5時間目は終わり!。グレイスくんは、ごめんだけど、ちょっとお話があるから、待っててね。」
クラスメイト達は疲れたのか、殆どは寮へと向かっていき、興奮が冷めない生徒は仲間同士で先程の模擬戦を語り合っていた。
「グレイス、お前もうなんかやらかしたのか?。」
「まさか、グレイスくんがそんな事するわけないじゃないですか。」
「お、おう、そうだよな。」
何故か僕が否定する前に、アリスが否定していた。するとアリスがこちらを向き、少し顔を俯けながら話しかけてきた。
「グレイスくん、よかったら、トール先生の用事が終わったら、お話しませんか?。」
「うん、いつ終わるかは分からないけど、大丈夫だよ。」
「本当ですか?!、寮の32番に居るので、暇な時にいつでも訪ねてください!。」
ちょっと押しが強い。だが、今まであまり友達もいなかったし嬉しい限りだ。オルキは僕達の様子をみて、すこし恨めしそうに僕をみてくる。アリスは喋りたいことは言い切ったからかそのまま寮へと戻っていったようだった。
「オルキ、そんなに睨まないでくれ。」
「ああ、すまねぇ。アリスちゃんが可愛いせいでな。」
「大丈夫でしょ、オルキ、カッコいい所あるんだし。」
つい先程の槍捌きなど、特にそうだろう。そう伝えるとオルキは気分が良くなったのか、「グレイス、やっぱお前とは良い友達になれそうだな!。」と、したり顔で言い放っていた。




