魔力の高速化
寮に戻り、特にやることも無かったためそのまま就寝した。
目覚めよく起きることができ、シャワーを浴びた後に朝食のハンバーガーを食べる。学園周辺の店で買った物だ。
「んー、授業開始まで時間あるし、どうしようかな。ああ、エーテルとフェリスに会いに行ってみるか。」
エーテルとフォルス。ヴェルス総合学園に向かう道を共にした仲である。確か、二人共同じ寮部屋だったはずだ。
「えーと、部屋はたしか30番だったはず。」
自分の寮部屋から大して離れていないのもあり、すぐに着いた。ドアをノックし声をかけた。
「おはよう、グレイスです。エーテルとフォルスはいますか?」
「はーい、グレイス!久しぶりね。」
薄桃色の髪を揺らしながら、寝巻き姿のエーテルが扉を開けた。
「うん、エーテルは起きたばかりなの?よかったらなんだけど、授業まで時間があるし遊ぼうよ。」
「あれ、グレイスってたしか、決闘部に入ったんでしょ?決闘部の活動、1時間目の時間から始まるわよ?」
「え、授業はどうなるの?」
「同じ部員だし、教えてあげるわ。決闘部員は決闘祭まであと一ヶ月になると、授業を決闘祭まで免除されるのよ。その代わり、その時間は決闘部活動に充てられる、ってわけ!」
「エーテルも部員だったんだ。教えてくれてありがとうね。部員同士、これからもよろしく。」
「ええ!せっかくだし、部屋にはいっていいわよ。ボードゲームでもして時間を潰しましょ!」
エーテルに迎えられ、部屋へ入った。まだ寮にはいったばかりだからか、あまり物は置いていないようだ。奥にあるベッドではフォルスが気持ちよさそうに眠っている。
「あれ、フォルスはまだ寝ているんだ。邪魔しちゃ悪いし、外に行ったほうが良いんじゃない?」
「気にしなくていいわ。フォルスは、どんなときでも寝てるのよ。ところでグレイス、チェスは知ってる?」
エーテルは口の端を吊り上げ、ニヤリと笑った。
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チェスでエーテルと戦った僕は、赤子の手をひねるかのように負けた。あまりにも実力差があり、もう二度とチェスはやらなくていい、そう思わされるのだった。
「エーテル、凄いチェス強いね。チェスで世界取れるんじゃない?」
「なにそれ、流石に褒めすぎよ!でも、嬉しいわね。そろそろ時間だし、部室に向かいましょうか。」
エーテルと共に部室へ向かった。部室には上品にサラン先生とアリスが、そして退屈そうにオルキとアナスタシアさんがソファーに座っている。テーブルの上にはお菓子があり、オルキが差し入れした物だろう。
「グレイスとエーテル、来たね。んじゃ、ソファーに座って。今日の練習について話すね。」
アリスが隣に座って欲しい、そう言わんばかりに目をみつめてくるので、アリスの隣に座らせてもらった。
エーテルはオルキの隣に座ったようで、エーテルがやけにオルキをチラチラと見ているのが印象的だ。
サラン先生が黒板の前に立ち、チョークを手に取る。
「よし、みんな居るね。今日の練習目的、それは魔力の高速化だ。そのためにも、第二訓練場で身体強化や魔法を行使し、魔力を速める事を覚えてもらう。」
戦闘などで魔法を使用する際、身体強化を使用する時等、魔力の使い道は多く存在する。
戦場では1コンマの隙が勝敗を分かつ事もあり、身体強化、魔法行使の速度は最も重要視される物の一つと言って良いだろう。
サランはソレをよく知っているのだ。だからこそ、まず最初に教えるのである。
「じゃあ、第二訓練場へと向かおうか、ついてきて。」
僕達はサラン先生の後に続いた。アリスは僕の手を握りながら、嬉しそうに右側を歩いている。
僕達の前側であり、サラン先生達の後ろ側であるオルキの方では、エーテルがオルキを気に入ったのか、執拗に話しかけていた。見た感じだと、エーテルはオルキに気がありそうだ。
アナスタシアさんはサラン先生の左側を歩きながら、定期的にちょっかいをかけている。
「俺の前で一人ずつ、身体強化を使ってみて。その後にアドバイスするから。」
第二訓練場に着き、魔力高速化の訓練を練習を始めた。見本を見せるためか、アナスタシアさんが最初に前に出る。
「うおぉ!!どうよ、結構いいんじゃない?」
何故か、大きな声をあげながら身体強化をしている。気合でも入るのだろうか。サラン先生は苦笑いを浮かべていた。
「うん、前より魔力の伝わり方に偏りが減ってるね。だけど、右側の方がまだ伝わりが遅いかな。意識てみるといいよ。」
アナスタシアさんはキメ顔をしながら、こちら側を向いた。
「どうよ、部長の実力。尊敬しちゃったでしょ!」
やはり、サラン先生は苦笑いを浮かべたままだった。




