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空の愛し子  作者: uta
15/17

部長

 教室にトール先生が戻ってきて、授業を再開した。


 内容は魔法や魔物、周辺地理などに関する基礎的な授業内容である。

 授業中にオルキが退屈そうに机に伏すと、定期的にトール先生に起こされており、その循環となっていた。

 反してアリスは真面目で、話をしっかりと聞きながらペンを動かしている。授業の合間にある休憩時間、アリスは丁寧な字で書かれたメモを見せてくれた。なんと、可愛らしい動物のイラストも付いてくる。

 そうこうしていると、すぐに時間は流れ、本日最後の授業が終わった。


「しゃー、やっと授業終わったな。グレイス、腹減ったし飯どうよ?」


「あー、決闘部にいかなきゃいけないんだよね。その後でよかったら食べに行こうよ。」


 そう言うと、オルキは意外そうな顔でこっちを見る。すると、突然納得したような顔をした。


「もしかして、決闘祭のお誘い受けたか?グレイス。」


「そうだよ、サラン先生から話をされて、試験受けてきたんだ。ほら、1時間目は途中からだったでしょ?」


「ああ、そういやそうだっけ。」


 コイツ、授業中の大半を寝て過ごしていたからか、そもそも気付いていなかったようだ。


「グレイス、部室の場所は知ってんの?」


「知らない。でも、サラン先生が迎えに来てくれるらしいよ。」


 オルキは席に座り、足を組んだ。


「せっかくだし、オレもついてくかな。」


「え、部員じゃなくても入れるのかな。聞いてはみるけどさ。」


 すると、オルキは憎たらしい笑顔を浮かべる。


「おいおい、特待生クラス最強の男と呼ばれたオルキさんが、決闘部に誘われていないわけがないだろ?」


「部員だったの?!まぁ、確かにオルキは強かったし、納得かも。よかったら他の部員の事とか教えてよ。」


 オルキは冷や汗を浮かべながら、目を泳がせた。


「いやぁ、部に籍は置いてるんだけどねぇ、幽霊部員なんだよね。」


 役に立たないな。そう思いながらオルキとくっちゃべっていると、教室の扉が開いた。


「グレイスくん、お疲れ。あれ、隣にいるのはオルキじゃないか。」


 サラン先生はオルキを見ると、珍しいものでも見るような顔をした。


「なんすか、いくらオレがイケメンだからって。あんまり見つめないでくださいよ。」


「おっと、それは失礼したね。グレイスくんに用があってね。決闘部の部室に案内する為に来たんだ。」


 サラン先生は教師用のローブの裾をはたくと、僕に近寄った。


「じゃあ、グレイスくん。部室まで案内するよ。」


「サラン先生、せっかくなんでオレもついてきますよ。グレイスもいくみたいですしね。」


 オルキがそういうと、サラン先生はドラゴンでも見たかのような驚愕の表情を浮かべた。


「ええ、あの幽霊部員のオルキくんが?明日、魔法災害が起こるとかじゃないよね。」


 本気で驚いているようで、動揺しながらオルキのおでこに手を当て、熱を測っている。


「いやいや、サラン先生。それはオレが他の部員より強すぎて、申し訳が立たないんですよ。みんなやる気なくしちゃいますから、強すぎて。」


「強いのは否定しないが、みんな向上心の高い子達だ。逆にやる気を出してくれると思うよ?」


「サラン先生、取り敢えず三人で部室に向かいましょ?オルキも、早いほうがいいでしょ。」


 オルキは席を立ち上がり、サラン先生と僕、そしてオルキの三人で部室へと向かう。数分程歩くと、職員室の近くまできた。


「ここが部室だよ。職員室の隣にあるから、覚えやすいだろ?」


「ですね。もう他の部員さんも来ているんですか?サラン先生。」


「いや、今日来ているのは部長だけだ。取り敢えず慣れるためにも、って感じかな。」


「お、ラッキー。あの人、久々に来た時でも優しくしてくれるんだよなぁ。」


 部室の扉を開けて中に入った。部屋は広く、大きめのソファーとテーブルがあり、壁には横長の黒板があるのだった。


「サラン先生、その横にいるのがグレイスくんですか?イケメンじゃないですか、ナイスすぎます!」


「え、サラン先生。あの人が部長…ですか?」


 サラン先生はとても申し訳無さそうにしながら、僕に顔を下げた。


「本当にごめん、あんなだけど、ここの決闘部の部長だよ。彼女はアナスタシア。残念なことに、この学園でも屈指の実力者だ。」


 アナスタシアさん。ブロンドのロングヘアーを腰まで伸ばしていて、可愛らしい顔をしている。背丈は小柄な方だろう。その割にはスタイルがとても良く、目を向ける場所に困る。


「よろしくね、グレイスきゅん。てゆうか、後ろにオルキもいるじゃん。」


「へへ、部長。ご無沙汰してます。これ、献上品です。」


 オルキはポケットからチョコレートを取り出し、アナスタシアさんに渡していた。


 アナスタシアは満足そうに受け取り、自分のポケットに入れた。


「オルキ、よくわかってんじゃん。これからもサボりたいなら、お菓子ちょうだいね!」


「何してるんだ、アナスタシア。部長がサボりを見逃しているんじゃない。しかも賄賂受け取ってるし。」


 サラン先生は呆れ果てて、自らの額に手をあてている。


「うへ、ごめんなさいね。まぁでも、ようこそ、グレイスきゅん、イケメンは歓迎するよ!」


 僕はどう反応すればいいのか分からず、苦笑いを浮かべる他なかった。

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